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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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北大陸への船探し ③



 さて港街へと到着して俺達がやっていることと言えば、船探しである。

 北大陸を訪れようとする人はなかなかいないらしい。そもそもこの世界だと航海が地球よりも危険だったりする。


 海にはそれこそ人の手には負えないような危険な魔物が生きていたりもする。

 災害級の魔物なんかが現れたら正直対応のしようがないのだろう。俺はそう言う魔物が洗われても、なんとか生き延びようとはするだろうけれど。


 大体、北大陸への船って片道切符と言われているものだ。

 他の大陸へ向かうよりもずっと難しかったりするらしいと聞いている。



 海に存在する恐ろしい魔物は数え切れないほど存在しており、それこそ深海などには人々では想像の出来ないような魔物が生息していたりもする。

 船を転覆させたりなども簡単に出来たりする魔物がわんさかいるらしい。特に北大陸周辺の海域は魔物の量も多いらしいしなぁ。


 俺はそう言う魔物に襲われたところでどうにでも出来はするだろうけれど、普通の人達だとそうもいかない。

 最悪の場合、海に放り出されても魔法を使えばどうにでも出来る。クラの上に乗って移動すれば事なきを得そうだし。



 しかし北大陸を目指す人たちって悲観的っていうか、後がない人多すぎないか? 俺達との感覚の温度差とかが酷い。

 この大陸に居ることが出来なくなったから逃げるために危険な来た大陸へ向かおうとしているとかそういうのもあるらしい。



 前世よりもこの世界だと逃亡が楽そうだよな。インターネットがあると、すぐさま情報が出回って逃げようにも逃げられないとかも当然あるだろうし。

 この世界だと街や国が変われば追っ手は中々ついては来れない。それこそ大陸が変わればそこまでしてついていこうとは思わないだろうしなぁ。



 自分の命を全て投げ出してでも捕まえようとすることなんてほとんどないだろうし。

 そんなことを考えながら俺は北大陸へ向かうための交渉を引き続きしている。ただ俺は舐められやすい。同行者であるフォンセーラとノスタもそう。

 戦う力があるように見えないらしく、「悪いことは言わないからやめた方がいい」なんて言われたりもする。



 ……クラがそれを聞いて怒った様子を見せていた。

 流石に暴れないようには言ったけれど。



 魔法が使える世界だからこそ、見た目で侮ることってしない方がいいのだろうけれど。ただ俺達の雰囲気とかも見て、やはり強くは視えないからっていうのはありそう。

 ……考えてみれば母さんや伯母さん達だってそう言う意味では強く見えないんだよな。

 神様だからこそ、人とは違う雰囲気は当然あるけれども。



 それにしても北大陸行きの船を探すのは結構大変だ。明らかに犯罪者が関わってそうな船に乗る気はないしなぁ。

 何も知らない、世間知らずの旅人の身ぐるみをはごうとしているような一味も見られた。


 そんな明らかに盗賊団もどきみたいな連中はさっさと捕まえたらいいのにと思うものの、中々手出しは出来ないらしい。

 というか、その盗賊団もどきの連中は「他大陸に向かう」と言いつつ旅人をのせ、途中で処分をして戻ってきたりなどという非道な行いを繰り返しているようだ。



 うん、こんな連中が平然と街を歩いている段階でやばいだろう。この街の治安はどうなっているのだか。

 ただあくまでメインターゲットは旅人で街の住民たちには迷惑をかけたりはしていないらしい。だからこそ見逃されているようだった。



 俺達のこともターゲットにしたがっていたようだけど、俺達の警戒心が強いのを見て諦めたようだ。

 流石に騒ぎ立てたりしそうなタイプは狙わないらしい。あとは勘が鋭いのかクラを見て引いていたから、何か感じ取ったのかもしれない。

 それだけ直感が優れているなら、盗賊まがいのことなどせずに真っ当にいきればいいのに。




 そういうわけで慎重に北大陸に行く船を探す。

 その中でそもそも北大陸からやってきてこれから帰るという船を見つけた。前述した通り、基本的に片道切符なのでこういった船は珍しい。



 彼らは身内だけで用意した船に、仲間たちだけで乗る予定だったようだ。……だけど俺達としてみるとその船に乗った方が楽そうだなと思った。

 彼らは隠してはいたけれども、母さんの信者だということが伺えたからというのもある。



 北大陸出身の母さんの信者に関しては他大陸で巡回に向かうことはなかなか難しいようだ。だけど母さんのことを知りたいからこそ、理解したいからこそ危険な目にあっても他の大陸へと渡ったりするらしい。


 彼らは母さんへの信仰心から危険を顧みずに他大陸へやってきた。それでいて人間以外の血を継いでいるらしく、北大陸以外で二十年も過ごしていたらしい。見た目は俺達と同年代ぐらいにしか見えないけれど、随分年上のようだ。



 俺達が最初交渉を持ちかけた時にばっさりと断られたものの、何度も交渉し、俺達が全員母さんの信者だと告げたら同行を許可してくれた。



 もちろん、何かやらかしたら海に放り出すって言われたけれど。

 さて、北大陸に行くための準備をしないと。




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