北大陸への船探し ①
人里を避けながら、西大陸の北部へと向かう。
面倒なことは嫌いだから、ほとんど自然の中を移動した。特に街に寄らなくても正直言って問題はない。
野生の魔物は居るけれどもどうにでも出来るから。
このままこの大陸にいて、余計な手出しをされるぐらいならばさっさと北大陸を目指した方がいいかもしれない。
なんてそんなことも思った。
そういうわけで港町へと向かった。
それまでの道のりは特に問題は起こらない。
母さんや伯母さんに助けを求めるようなことはない。そもそも神様関連以外のことはなるべく頼らないようにしないと。
こうして自立して生きていこうとしているのだから親離れはしないとだよなぁ。
というか、この前の件は少しだけ伯母さん頼みしすぎたかなって気はしている。
俺自身の力でどうにか対応出来るようにした方が一番いい。
この世界にやってきてそれなりに時間が経過したわけだし、もっと慣れないと。
ただあれか? 自分一人でどうにか出来るなんて思い込んでもとんでもない失敗でもしでかしそうで怖いし、その判断って難しい。
俺に関しては何かあったら最悪母さんがなんとかしそう。俺が危険に瀕すると父さんが悲しむから。ただそう、俺が何か失敗して多くの犠牲でも出たら母さんってそこまでは責任を取らないと思う。
神だからといって何でもして良いわけじゃない……と少なくとも俺は考えているけれど実際はどうなんだろう?
あんまりやりすぎても母さんの邪神呼ばわりが増していきそうで嫌だな。
母さんの信者――フォンセーラやノスタ達のような強い信仰を持つ者達に関しては、母さんの邪神呼ばわりとか、人類と敵対してそうな雰囲気があっても特に信仰心はぶれないだろう。
寧ろ母さんの信者達の中には、母さんが他の神様となれ合っているのは嫌だったりする人も居そう。
うーん、俺は母さんが周りから悪く言われているのってあんまり嫌なんだけれど。母さん本人はどうでもよさそうだしな。
父さんも奥さんが悪く言われるのは嫌がるはず……ただ父さんって割り切ったら何でも受け入れそうだしなぁ。
ぼーっとしながら俺は空を見上げる。
ちなみに今は港町に向かう道中である。
野営をしている。魔法を使って魔物達が襲ってこないようにしつつ、ゆっくりしている。
こうして星空を見上げることも結構好きだ。
地球とは星の配置は異なる。この世界で、他の惑星なのがどういう立ち位置なのかは不明だ。
神様だと宇宙とかにも行けたりするのか? うん、そんな気はする。
……この世界だと神様の力がかなり強いから、宇宙人とかいてもすぐに対応出来るんだろうな。
そもそも異世界の定義ってどういう感じなんだろう? 今更ながら気になってきた。今度、家族会議の時に聞いてみるか?
星を見るのは結構好きだ。
地球で暮らしていたのは都会だったからあんまり星は視えなかったけれど、田舎に行った時とかに見るの好きだったしなぁ。
うちの家族、よく家族旅行いっていたし。両親だけで出かけることも多かったけれど。
……母さんは父さんと二人でよく出かけたがっていた。
地球の同級生は俺の両親の仲の良さを不思議そうにしていた。他の同級生たちの親は此処まで仲良くないって言っていた。
あとは何十年も経てば、熱が覚めたりするって。
でも母さんは……父さんのことがずっと特別だろうな。母さんってそれこそ俺が想像出来ないぐらい長生きしている神様なのだ。
伯母さん達と話した限り、母さんってこれまで誰一人伴侶にはしてこなかったっぽいし。
俺もどうなるかなぁ。俺が本当に母さんの言う通り人としての枠組みから外れて神に変わっていくとして、どうなるんだろう?
俺が母さんの息子だって広まったら、母さんを危険視する連中からしてみると俺も排除の対象みたいになる?
それはそれで嫌なんだよな。
俺が完全に神よりになったら、周りの人達からどう思われるかなど全く気にしなくなるのかな。その辺は分からないけれど、俺の精神に異常がきたしたりしたら母さんがどうにかしそう。
地球でもそう、長い期間生きると精神を病んだりするって聞いたし。
……父さんはそう言うの全くないんだろうな。俺の方はその辺、どう影響するかは分からない。
北大陸の魔族たち。
彼らは母さんを信仰しているらしいし、その辺の人達と関わったらまた俺の考えも変わる?
でも自分が母さんが邪神でも関係ないって思考になったらそれはそれで驚くんだけど。
俺が例えば母さんの望まない形で精神的に変わったりしたら、母さんって……迷わず俺排除しそうだしなぁ。
父さんのことはなんとか説得するかしてでも。
うん、それかずっと閉じ込められるとか。凄い躾されそう。
というか結局のところ、俺はやっぱり母さんが悪く言われている世界って嫌。
あとは伯母さんと仲良いってのもちゃんと広めるべきじゃね? っていうのが正直な感想。




