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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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西大陸の北部へと向かう ④


 子供達と話しているのは結構楽しい。俺は別に子供は嫌いではない。俺は末っ子だから、自分より年下の子と関わることはそこまで多くなかったけれど、弟や妹が居たらどんな感じだっただろうか? なんて想像してしまった。



 母さんは神様だし、子供を作ろうと思えば作れるのならば――いつか弟妹でも作ってくれないかな。そしたら俺は思いっきりかわいがるんだが。どうせ母さんのことだからそんなに可愛がらないイメージ。父さんと二人で居ることの方を優先しそう。父さんは子供を大事に育てるだろうけれども。


 うん、なんというか母さんは父さんと一緒に過ごす時間の方を大切にしたいから、すぐに子供を作ったりなんかはしばらくしなさそう。


 俺や姉さん達が弟妹が欲しいってねだったら作ってはくれそう。とはいえ命を軽く見たらいけないとは思っているので面倒をきちんと見るっていってからにはなるだろうけれど。



 でもあれだな、俺もまだこの世界にきて自立したばかりで、まだまだ子供を育てられるだけの余裕はない。旅をしながら子供の面倒を見るにはもう少し俺が強くならなきゃ無理だなって感じ!


 あとは俺が何れ誰かと一緒になりたいとかそう思ったのならば、弟妹が欲しいというより子供が欲しいとかになるのかな。好きな相手が出来たら……きっと俺は心から大切にするだろう。そもそも父さんは恋人を大事にしないことを許さないしなぁ。そうなると母さんだって俺が愚かな真似一つでもしたらどんな目に遭うか分からない。母さんは父さんが第一だし。


 使わせてもらっている家へと戻ってからもしばらくの間、子供のことについて考えてしまった。そのせいで少し寝不足だった。ただなんか、不思議と寝不足でも翌日の俺は滅茶苦茶元気だった。眠たくて頭が働かないなんてこともない。




 クラは俺が起きていたことに気づいてみたいで、「なんで寝てないのー?」と不思議そうにしていた。

 俺が弟妹とか欲しいなとか、いつか好きな人が出来たら子供が欲しいなとかそういうことを口にしたら「そんなのその時になってから考えればいいじゃん」って軽く言われた。



 一泊だけして俺達は、すぐにまた北部方面への道のりを進む。時折乗り合い馬車なんかにも乗ったりもする。あとは湖なんかを横断したりなんかもする。海と同様湖もそこそこ危険である。俺達が今回渡った湖はそこまで巨大なわけじゃなかったからよかったけれどもっと大きい湖だとそれこそ海を渡るのと変わらないっぽい。

 今回もそこそこ大きめの湖だった。



 それと冒険者も船の船長が雇っていた。実際に湖を渡る最中に魔物も現れていた。魚型のその魔物を見て、クラが涎を流していた。今は神獣になったとはいえ、猫だから魚が好きなのだ。

 冒険者達が危なげなく対応していたので、俺達は特に手出しはしなかった。危なそうだったら、俺達もこっそりと何か魔法でも使おうと思ったんだけどな。



 とりあえず討伐した魔物の一部は買い取ってクラにあげた。クラは嬉しそうにしていた。凄い勢いで食べていて周りの乗客たちが驚いていた。小さな身体で沢山食べていたからなぁ。あくまでクラは普通の猫として俺の肩にのっているし。あんなに食べるとは思わなかったんだろうな。

 


 湖を後にしてからは、歩きも多かった。歩道があまり整備されていない場所を軽い足取りで進んでいった。

 危険だったり、整備されていない場所も正直言って俺達にとっては問題ない。魔物は幾らでも倒せるしな。それに人が居ない場所の方がスムーズに進めて楽だったりもする。



 その最中に朽ち果てた建物なんかを見つけたりもする。遥か昔にはこのあたりにも誰かが住んでいたのだろうか。

 葉っぱや苔に覆われていた小さな建物は小動物の住処なんかになっている。襲われなかったので放置した。


 山を越えた方が良さそうなので、山の上まで登ってみる。

 背よりも高い木が沢山生えていて、魔物の鳴き声も聞こえてくる。こういう自然の中も、中々楽しい。





「ねぇ、咲人。上の方に気配がするよ」

「気配?」

「うん。強そうな魔物の気配! ちょっかい出す?」



 俺は気づかなかったけれど、強い魔物の気配があるらしい。俺も魔力を伸ばしてみると、確かにどこか禍々しい気配がする。だけど自身の魔力をおさえているのか、その魔物の気配は少ししか感じ取れない。



 フォンセーラやノスタはそもそも魔物の気配も感じ取れないみたいだった。それだけ巧妙に隠しているんだな。



 それだけ強い魔物なんだろう。それにこれだけ気配を押し殺しているというのならば、あまり周りからの接触を求めていないのかもしれない。クラは関わりたいと思っていそう。面白がっているのかもしれない。




「いや? 向こうはそれを望んでないだろう? ならやらない方がいい。それにどれだけ強い魔物か分からないしな」



 俺がそう言ったらクラは面白くなさそうな顔はしていたけれど、頷いてくれた。そういうわけで関わらずに山を下りた。




 

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