西大陸の北部へと向かう ①
アルバナたちとの一件を終えて、また俺達は旅を始める。
元々北大陸には行きたいなということはあったので、このまま大陸北部をめざすことにした。
ちなみにだけど、グランシティダのことは閉じ込めたままだ。クラの話によると全くもってこちらの話は聞かないらしい。母さんの為に行動をしているのになぜこんな目にと暴れているそうだ。元気だなぁ……。
食事も与えていないのに衰弱する様子もない。長く生きているダークエルフだからこそなかなか弱る気配はない。うん、それだけ力があるなら母さんの名を勝手に使って好き勝手やるではなくて、別のことをすればいいのにって思った。
本人にとっては正しいことだって思っているのかもしれないけれど、随分独りよがりだ。
それこそ長い時間をかけないとグランシティダは納得などしない気がするので、気が遠くなるほどの時間、閉じ込められたままなのかもしれない。それはそれで別にいいけれど。
他大陸とほとんどかかわりのない北大陸。船があるかどうかも定かじゃないので、一旦その確認をしてからだ。なんだかんだ寄り道していたため、全然確認できていなかった。なんだかんだ俺はこの世界での旅路を楽しんでいるんだなと実感する。北大陸には行きたいけれど急ぎじゃないからって気になる場所に行ってしまっていたわけだし。
「北大陸は僕も行ったことがない。魔族が沢山いるのは知っているが……長生きをしている者達が山ほどいるのならばノースティア様と実際にお会いしたこともあるのだろうか。僕たちはサクトのおかげで家族会議に参加することが出来たがそれ以外の素の状態のノースティア様の話を聞けるなら喜ばしいことだ!!」
ノスタはそう言いながら意気揚々とした様子だ。
俺も北大陸に行くことが楽しみなのは確かである。長生きしている種族なら母さんのことをよく知っているだろうか?
……グランシティダみたいなのが大量にいても困るなぁ。というかさ、この世界には大陸が複数あるのに母さんの息子である俺がグランシティダに遭遇したのって物凄い確率じゃないか?
うん、神様関連のこととかに遭遇しやすいなーとは思っていたけれどさ。これは何だ、俺に引き寄せられているとかある? それとも俺が神の血を継ぐせいで本当に遭遇しやすいのか。
おそらく普通の人族であったら一度も経験しないようなことを山ほど経験している。なんだか、更にそういうことに遭遇するんだろうなと遠い目である。
まだ北大陸で生きているという魔族たちが母さんのことを変な風に信仰していなければいいけれど。
グランシティダみたいなのが大量発生したらどうしようかな。クラと一緒に纏めて全員屈服させる? そういうのももしかしたらありなのかもしれない。
まぁ、実際にいってみないと分からないが。
「魔族だけが秘匿しているノースティア様の残した神具なども存在していると噂だから、それも気になるわ。サクトならば見せてもらえるのではないかしら?」
「へぇー」
北大陸に母さんの残した道具などが残っていると言われているらしい。というか神が使った道具とかが全て特別なものとしてこの世界では保管されてるんだろうか。……地球で母さん、当たり前の人間のように暮らしていたから母さんの使っていたものとか普通にゴミに出されていたなぁ。
この世界の人達が知ったら発狂するんじゃないか? でも何気なく捨てたものでさえも特別視されるなんて神様って大変だ。
俺も母さんの息子だって発覚したら、俺の道具まであがめ始めるのだろうか? 嫌すぎる。
そう考えると物を捨てる際は燃やし尽くすとかで、その場で処分した方が良いのかもしれない。
「サクトはあまり興味なさそうね?」
「母さんに纏わる物は気になるけれど、わざわざ息子だって言って見せてもらうほどの価値があるのかなって考えていたんだよ。正直言うと、よほど興味が惹かれないと自分から話さないなって思ったかな」
うん、そう言う秘匿されているものならば理由がなければ見せてもらえないだろう。どうしても見たいとかじゃなければわざわざ言わなくてもいいかな。もしくはこっそりと見に行くのはありか?
「サクトにとってはノースティア様は身近な存在だものね……」
「んー? フォンセーラにとってもある意味身近じゃないか? 家族会議にも参加していたわけだし」
「そうだけど、今は例外的な期間だとは思っているわ。私はノースティア様の息子であるサクトの旅路にはついていけるだけついていくつもりだけれど、それは永遠ではないから」
はっきりとフォンセーラはそう言った。
まぁ、確かにそれはそうなのかもしれない。俺はこのまま人間としての枠組みから、神へと変わっていく可能性の方が高いって母さんは言っていた。
そうなれば長い期間、生きていくことにはなる。でもフォンセーラは人間だからな。




