光の女神の巫女との会話 ①
「サクト様、この度は大変助かりました。私達だけではダークエルフ族の中でも名を馳せるグランシティダの対処は難しかったでしょう。何人かの死人が出てもおかしくなかった」
グランシティダ達の対処をした後、アルバナからは大変感謝を伝えられた。俺は母さんの名を使って馬鹿な真似をするダークエルフが気に食わなかっただけなので、そこまで感謝される必要は正直ない。
「そこまでお礼を言わなくていいよ。俺は気に食わないから対処しただけだから。ダークエルフ達にも神の名の元に魂を捧げたりする行為はしないように広めてくれるって話だし、しばらくは大人しくなるだろう」
そう、ダークエルフ達はグランシティダを御した俺とクラには大変怯えていたので、しばらくの間は大人しいだろう。
ダークエルフは寿命が長い種族なので、末永くこの情報を伝えてもらいたいものだ。寿命の短い人間だったら、それこそ数十年とか数百年とかで注意していてもやらかすんだろうな。うん、そう考えると母さんの信奉者が長命種でまだ良かったかもしれない。なんて、そんなことを思った。
「それは有難いことです。イミテア様の信者達にもこちらからきちんと話を伝えておくことにします。ノースティア神やその信奉者のことを排除すべきという考え方の者達は少なからずいますから……。イミテア様とノースティア神本人がきちんと説明をしてくだされば一番良いとは思うのですが、神に向かってこちらからそういったことを望むことは難しいですし……。そもそも神からしてみれば私達人族が勝手にやっていることは口に出すほどのことでもないでしょう……」
アルバナはそう言って眉を顰めている。
光の女神の巫女として、信者達の間でも知られているアルバナの意見ならば伯母さんの信者達も話を聞こうとするのだろうなと想像は出来た。
伯母さんがどれだけアルバナのことを気に入っているかどうかは俺には分からないけれども、発言力はあるんだろうな。というか伯母さんがアルバナを気に入っていなかったとしても、伯母さんの信者達の中で特別に思われているというだけでも十分だろうし。うん、こう考えるとアルバナもグランシティダと同じような立場なんだろうな。実態は全く違うけれど。
「俺から伯母さんに軽く言ってはおこうかな」
母さんや父さんは人族がどうしようとも気にしない。姉さん達だって、基本的に神界に居るので正直下界で何が起こったって不干渉だ。
ただ俺はこの世界をぶらぶらしたいと思っているため、人族とかなり関わっている。
伯母さんが母さんとの仲を特に人族に言わないのは、どうでもいいからである。神と人族だと、感覚も違う。神の方から歩み寄らなければ相いれない存在なのだ。
でもまぁ、母さんもこの世界に帰ってきたわけだし、他の神とは母さんが敵対していないってことは明示してもらった方がいいなとは俺も思っているけれど。
人族が何を言おうとも何を感じようとも、きっと神界の神様達は母さんと敵対しようとはしないだろうし何の問題もないだろうけれどな。
「はい。よろしくお願いします。私の方からも、声が聞き届けられるかは定かではありませんが……イミテア様に信徒たちの暴走を防ぐために声掛けを出来ればお願いする予定です」
巫女と呼ばれている特別な存在と言えど、やはり神様相手に声を届けることはなかなか難しいものらしかった。
俺は母さんの血を継いでいるから当たり前みたいに母さんや伯母さん達の声っていつでも聞けるけれどそれって半神だからでしかないからな。
……というかダークエルフ達がアルバナの魂を母さんに捧げようとしていたことは紛れもない事実で、そのことを憤っている人はおそらくいるだろうな。俺が止めて、実際に起こっていないとはいえ、そんなことをやろうとしているのがまず問題だろうし。
うん、俺は力づくで分からせて、グランシティダのことも閉じ込めて無理やり解決させたけれど、アルバナはそういう解決方法は出来ないだろうし。
第一、伯母さんの信者って母さんの信者よりもずっと数がいるのだ。それこそ種族も様々で、それぞれ価値観の違う人たちが揃っている状況なのだ。
ある人はこうした方がいいという。でも別の人は、その案に反対する。
そういった争いは沢山あるんだろうなって、俺は思う。全員の言うことを聞くことなんてまず出来ない。全ての人が満足する道を選ぶことだって無理だ。
アルバナが一人でただ信仰しているだけなら、それで完結する。でも彼女はそうじゃなくて……多くの伯母さんの信者達の意見をまとめあげないといけない。
立場的に色々と大変なんだろうなと改めて思った。
そんなことを考えていると、アルバナが意を決したような表情を浮かべた。
「あの、ところでサクト様にご提案があるのですが、よろしいでしょうか?」
「え、うん、どうぞ?」
改めってなんだろうかとそう思っていたら、予想外の言葉を言われた。
「サクト様、私と結婚しませんか?」
俺はその発言に固まった。




