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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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ダークエルフ種に纏わること ⑭



 グランシティダは流石、長生きしているダークエルフなだけあって魔法の腕もすさまじい。

 ただ俺とクラが揃っているなら、対応は可能だ。



 アルバナが俺やクラへの補助魔法は使ってくれているので、魔力を練りやすいからやりやすいのもある。

 伯母さんの巫女というのは、そういうことも出来るらしい。



 しかし面倒なダークエルフだよな、こいつ。

 母さんのことを信仰するのは好きにやればいいって思うけれどさ、もっとこう……相手の迷惑とか、自分の行動でどうなるかとか考えたらいいのに。



 きっとこの男は俺が幾ら言葉をかけても納得はしないだろう。自分のやることなすこと全てが正しいことだとそう思い込んでいるようだから。こうやって猪突猛進な人って結局、人の言うこと聞かないんだよなぁ。

 そういえば地球に居た頃も、姉さん達のストーカーまがいの人いたな。笑いかけられたら、両想いだって勘違いしていたやつ。

 姉さん達って、母さんとは違ってそれなりに愛想はいいからな。




 よし、徹底的に力で分からせよう。この世界だとその方が手っ取り早い気がする。……って、何だか俺、地球に居た頃より脳筋な思考になっている気がする。母さんが俺がこの世界で生きやすいように何か働きかけてそうだから、その影響かもしれない。

 



「徹底的にやるから、死ぬなよ?」




 分からせようなんて思ったものの、流石にグランシティダの命を奪おうなんて思ってもいないのだ。思いっきり魔法を使ってみるのも楽しそうだなとも思っているので、長寿のダークエルフならば俺が魔法を使っても死にはしないのでは? などとは思っている。



「咲人、楽しそうな顔してるね」



 クラからはそんなことを言われた。

 


 正直言ってやられっぱなしって嫌なんだよな。特にこういう、母さんのことを特別視している存在相手には。


 ――だって俺が不甲斐なかったら、母さんのことも大した力を持っていないとそんな勘違いをする者が出てきてしまう。

 俺は母さんが侮られるのは凄く嫌だ。この程度かって思われるのも凄く嫌なのだ。俺はそう思うからこそ――徹底的にやる。



 グランシティダに自分の素性を語るつもりはないけれども、バレた時に母さんが弱々しいなんて思われたくもない。




 炎を纏う。

 エルフもダークエルフも、どちらかというと自然豊かな場所を好んでいる。火は大敵である。だからこそ、火の魔法を使っておくことにする。



 

 俺が大量の火の玉を出現させると、グランシティダが驚いた顔をする。うん、人族でこんな風に魔法に長けている存在って少ないらしいからなぁ。

 俺は母さんの遺伝なのか、滅茶苦茶魔力量も多いらしいけれど。異世界にやってきて初めて魔法を使うようになったのに、ある程度使いこなせているから母さんって偉大だなって思ったりもする。




 俺が魔法での攻撃を繰り返す。グランシティダは運動神経も良い方みたいで、割と避けていた。肌を掠めてじゅっと何かが燃えるような音もする。

 グランシティダの顔が青ざめていく。

 俺がここまで魔法を使いこなせるなんて思ってもいなかったんだろうな。俺が神様の関係者だろうとも、人間にしか見えないから侮っていたと言えるのかもしれない。




「ほら、もっと反撃出来ないのか? ダークエルフの中でも特別なんだろう? それに闇の女神にとって特別だって言い放っているならもっとどうにかしろよ。それが出来ないって言うなら、二度と神の特別なんて名乗るべきじゃない」



 うん、俺、こいつが勝手に母さんの特別な存在だって言い放っているのが滅茶苦茶嫌なんだなとそう感じた。


 別にさ、母さんに迷惑が掛からない形で勝手に色々言っているなら、まだ許せる。ただ母さんを慕っているだけなんだなって微笑ましいものを見るような目になるだけだ。

 でも明確にグランシティダは母さんの評判を著しく下げているのだから。




 カッとなった様子のグランシティダは、なんとか俺の魔法を対処しようとする。でも向こうが魔法を使ってくるよりもずっと、俺の魔法の方が早い。

 俺は凄く集中している。グランシティダに対して本気で徹底的に分からせようと思っているから危険な魔法を使うことにも全く躊躇していない。



 人族に対してこんな風に魔法を向けられるんだな、俺。

 この世界だと敵対する者に攻撃魔法を向けることって特に悪いことではないだろうけれど、あんまりやり過ぎないようにはしないと。



 俺も人族に対してやりすぎたら、排除対象にはなるだろうし。危険視されて、攻撃されるようになるのは避けたい。

 そうなるとなるべく、人と敵対しないように生きてはいきたいなとも思った。




 さて、グランシティダは徐々に俺の攻撃に押されていっていた。

 向こうの魔力量もそれなりのものだろうけれど、俺の魔力の方が多いみたい。



 結局先に力尽きたのは、グランシティダである。魔法を上手く使えず、俺の炎が直撃した。右半身が燃えている。悲鳴が聞こえて、流石に消火した。



 魔法を使ってボロボロのグランシティダのことを捕まえた。口もふさいで、手足も動けないように結んでおく。




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