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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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ダークエルフ種に纏わること ⑪


 さて、アルバナと会話を交わして数日後。

 早速アルバナに活発に動いてもらうことになった。彼女は俺の言葉に頷いてくれたのである。周りの男たちは闇の女神ノースティアの息子である俺を警戒している様子だった。ただしアルバナの決めたことに反対するつもりもなかったらしい。


 それから俺はフォンセーラとノスタにも情報共有をした。ダークエルフのことやアルバナのことを正しく伝えた。

 フォンセーラやノスタは伯母さんの巫女に対して、思うところは少しはあるらしい。だけれども俺の決定に反論するつもりは一切ないらしかった。あとはアルバナが俺や母さんを排除しようという動きをしていなかったからだろう。


 ――そうじゃなければ流石に俺もアルバナに自身のことを語ることはしなかっただろうな。



 俺の素性に関しては基本的に隠されている。というか、俺が母さんの息子だと露見したらそれはもう酷い騒ぎになることが目に見えている。アルバナはまだ母さんを排除しようとはしていないけれども、それ以外の者達は俺や母さんの事を知ったらどんな暴動を起こすか分からない。

 だからあくまでアルバナから紹介される場合は、魔法使いとしてだった。俺は父さん似て平凡な見た目をしている。どこにでもいて、中身まで凡人だとそう思われがちだ。性格などは確かに凡人だとは自分でも自覚している。ただ魔法関係のことに関しては俺は人よりは優れているだろう。



 アルバナにはクラのことも説明したが、まさかただの黒猫にしか見えないクラが神獣に見えなかったのだろう。

 神の息子である俺と、神獣であるクラが揃っているなら大丈夫だとアルバナも思ってくれたらしかった。

 アルバナからしてみると、伯母さんは信仰の対象であり、その言葉は何よりも優先しなければならないものであるらしかった。



 アルバナと話した後、俺は伯母さんとも話した。伯母さんはグランシティダの話を聞いて、嫌そうな顔をしていた。母さんを信仰しすぎるあまりに暴走しているグランシティダのことは伯母さんにとっても関わることを望まない相手なのかもしれない。

 伯母さんにも散々、迷惑をかけてそうだしな、あいつ。



 アルバナに関してはあくまでなんとなくで選んだらしい。あとは可愛らしい見た目をしているからと。そんな風に容姿だけで選んでいいのだろうか? と不安にはなった。本人は能天気に「問題はありません」と言っていたけれど。

 この世界で伯母さんの逸話が沢山残っているのって、それだけ伯母さんが人に関わってきた証だ。だけど意味の分からない逸話も残っているのは、伯母さんが見目の麗しい者ばかりに接触し、その者の中身に問題があったからなのかもしれないなんて思った。


 伯母さんって、この世界で最も力の強い女神の一柱だから誰も注意なんて出来ないだろうし。だからこそ、伯母さんって見た目だけを理由で人と接触したりしているわけだが。

 一応伯母さんには「あまり見た目だけで人を判断しない方がいいよ。だってそうじゃないと大変な目に遭うかもしれない」と伝えておいた。俺も伯母さんに何かあるのは嫌だ。知らないうちに伯母さんが憎悪を向けられたりするのも見たいわけじゃない。

 それに伯母さんの影響で俺にまでそう言う面倒な連中が近づいてくるのも嫌だし。伯母さんは俺の方を狙う人も出てくるかもしれないから、慎重にとは告げておいた。



 ちなみにアルバナに伯母さんと話した内容で、話した方がいいことは共有した。彼女は感激した様子を見せていた。


 神の声を聞くというのは、巫女なんていう特別な立場であったとしても難しいことらしい。だから俺がいつでも伯母さんと連絡が取れることに「神の息子という立場は凄いものです」と言った様子だった。

 ちなみに俺が伯母さんに可愛がられていることも理解しているからか、俺にも敬意を表しているようだった。そういうのは正直いらない。だって母さんや伯母さんがこの世界では有名な神なだけであって、俺は特にこの世界で何かを成し遂げているわけでもないのだから。




 俺はそんなことを考えながら、街で活発に行動をしているアルバナのことをクラと共に見ている。フォンセーラとノスタも俺のやることを手伝ってくれており、アルバナの護衛をしてくれていた。正式な護衛たちの姿もあるし、基本は問題ないのだろうけれどもこれで囮になってもらったアルバナが危険な目に遭うのは望むところではない。



 ダークエルフ達にも情報が回るように動いてもらった。アルバナは伯母さんの巫女というだけあって、情報操作もお手の物らしかった。



 グランシティダ達を含むダークエルフ達は、俺やアルバナたちの手のひらの上で動かされていることなども知らずにアルバナを狙ってきた。



 俺は堂々と襲い掛かってきたグランシティダやダークエルフ達に魔法を向ける。クラも同様の動きをしていた。





「なんだ、お前はっ!!」



 俺とクラが邪魔に入ると、忌々しいものを見るような目で視られた。

 なんだって、俺はお前の信仰する闇の女神ノースティアの息子だけど? とそうとしか思えなかった。



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