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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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ダークエルフ種に纏わること ①

 ダークエルフという種族は、母さんのことを信仰している者が多い。

 その中でも母さんにとって特別な存在であると勝手に言いふらしている存在が居ることは前も聞いた。

 グランシティダというダークエルフが、何か捧げものをしようとしていることなども……。



 旅をしている中で、街中でダークエルフの姿を見ることは少ない。基本的にエルフよりも、人里から離れて暮らしていることが多いのだ。遺跡に行った時に宿の店主がダークエルフだったことはあったけれど、それは母さんに纏わる遺跡の傍の街だからだろうけれど。



 正直普通に暮らしていればダークエルフなんてものに遭遇する確率はそこまでない。ただし俺は母さんに纏わる情報を集めたり、神界に行くための手がかりを探したりしているのもあって遭遇しやすいだろう。

 ……というか俺、ダークエルフに会うよりもずっと神と対話している回数の方がずっと多かったりもするけれど。



 エルフは伯母さんへの信仰心が強いらしい。ダークエルフは母さんへの信仰心が高いことを考えると、本当に伯母さんと母さんの立場ってこの世界だと正反対なんだよなぁ。

 俺はそんなことを改めて思ったりする。




 光の女神である伯母さんと、闇の女神である母さん。

 なんだかその情報だけ聞いていると、伯母さんと母さんが対局の立場だからこそ敵対しているように感じるかも。全然違うのにな。


 寧ろ伯母さんって、人に寄り添っている女神だって思われているけれど考えてみるとちょっと違うよな。寧ろ、地上で暮らしている人のやらかすことを些細なことだと思っているからこそ、よほどのことじゃないと放っておいている気はする。

 母さんも同様に生物のことをどうでもいいと……いや、母さんの場合は父さんとそれにまつわるものと、それ以外で別れているんだろうけれど。






「ねぇ、サクト。この街、近くでダークエルフの目撃情報が多いらしいわ」


 フォンセーラがそんなことを言った。


 俺達が現在滞在しているのは、大きな森が近くになる中規模な街だ。この街の近くには神の逸話が残っているらしい。というか、この世界は神の存在が地球よりもずっと身近なので、神の逸話のない場所の方がずっと少ないともいえる。


 母さんの逸話が残っているわけではない。ただ他の神がこのあたりで何かを行ったという記録は残っている。

 この世界だと大きな出来事はほとんど全て、神に纏わる者だと認識されている。実際は神が関わっていなかったとしても、そう思い込んだ方がきっと楽だから。



 悪いことが起こった時は特に、神のお召のままにと考えたら楽なんだろう。自分や他の人々のせいにするよりもずっとその方が思考を放棄出来る。

 俺は母さんっていう神様の血を引くから、神がやらかす理不尽な何かに遭遇したら全力で抗うだろう。それこそ自分にとって不快な行動をされたら止める。俺は半分だけしか神の血を引いていないけれど、魔力量とか多い方だって母さんが言ってたし。

 でもこの世界の人族って、神がやることなら逆らうことが出来ないって受け入れる人の方がずっと多いらしい。


 まぁ、神って理不尽の権化みたいなものだろうし。




「ダークエルフか……。なんかさ、母さん関係で何か起こそうとしている気配がして、嫌なんだけど」

「そうね。最近急に目撃情報が出てきたらしいから、その可能性は十分にあるわ」


 フォンセーラはそう言って、眉を顰めている。

 母さんの意思に反して何か起こそうとしている人達って、気に食わないんだろうな。





「僕もそう思う。あのダークエルフ達は他の人族たちと関わろうとしていないらしい。街から少し離れた場所で何かを行っているようで……街の住民たちも不気味がっている」



 ノスタもそんなことを言った。



 本当に、何をやろうとしているんだろうか。グランシティダというダークエルフも関わっていたりするんだろうか。ダークエルフが噂になるぐらい集まって何かを行っているって、それだけでも何か嫌な予感しかしない。



 母さんの名を勝手に騙って好き勝手しているのは正直なんだかなぁってなる。母親に懸想してそうな人と会話とか正直あんまりしたくないし、遭遇したら適当にあしらって馬鹿な行動はしないようには言っておきたいなぁ。


 母さん経由で忠告をしてもらうのもありだけど、そんなことをしたら益々「自分は特別なのだ」と言い張りそうな気配もしているから最終手段だろう。




「迷惑行動の理由が母さんじゃないなら別にいいんだけど」


 いや、まぁ厳密に言えば俺に迷惑がかかるなら、母さん起因の行動じゃなくても嫌だ。でも一番は母さんを理由に何か起こしている場合だ。




「母さんのことを勝手に解釈して何かしら行動を起こそうとしているなら止めたいんだよな。母さんの評判が益々悪くなって、邪神呼ばわりが更に広まっても嫌だし」



 母さんは何も気にしないだろうけれど、息子の俺の身からしたら嫌だ。



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