ちょっとしたお金稼ぎをする ⑩
エルフに絡まれ、ひと悶着あった翌日。
俺はフォンセーラとノスタと一緒に街の外に出ていた。冒険者として登録している二人についていって、魔物討伐をすることにしたからである。
俺自身は冒険者として登録はしていないけれど、素材を売ったりは出来るのでちょっとした金稼ぎの一種である。
それにエルフに絡まれて、余計になんていうか、もっと戦える力を身に着けた方が良さそうだなとは思ったから。
今回は、クラは傍には居ない。クラは気まぐれなので、傍に居ない時は居ないのだ。とはいっても俺に何かしらの危機が訪れたらすぐに駆けつけてくるだろうが。
「サクトも冒険者登録したらいいのに」
「登録したらしたで色んな制限ありそうだから嫌だ。別に冒険者として大成したいとかそんなこと思ってないしな」
フォンセーラの言葉に俺はそう答えた。
というか俺は母さんの息子で、その血を引くからこそやろうと思えば冒険者として活躍することはきっと出来るだろう。ただ別にそれをやりたいかと言われるとそうでもない。
なんか大きな目標とかあったら別だろうけれど。
お金を稼ぎたいとか、有名になりたいとかそう言う目標があったら冒険者になるのって一つの手だろうとは思う。あとは成り上がりたいとかあったら別。
ただ俺って、寿命もその内人間の枠組みから外れそうだし、どこかの国に所属するとかあったらそれこそ俺が自分で辞めない限りずっとその立場に居ることになるわけで……。
周りの人たちにとっても見た目も変わらず、神の血を引く存在がずっと傍に居るのって落ち着かないだろうしな。
母さんって邪神呼ばわりとかされているから、俺も同じように思われそうだよな。邪神呼ばわりとかされたいとは思わない。そもそも人族たちの国だと余計に長命種って目立つだろうしなぁ。
そう考えるとやっぱり俺はずっと旅を続けるか、ある程度ぶらぶらした後はずっと神界で過ごす方が良いだろうなとは思っている。
下界で暮らすにしても、人の居ない場所で過ごすとかそう言う感じだな。街とかで暮らすと、多分、面倒なことになるし。
フォンセーラもノスタも、魔物討伐にかなり慣れている様子だった。共に旅をするようになるまでの間、一人旅をしていただろうし、慣れているのも当然と言えば当然か。考えてみると、こうして縁が出来たからこそ共に旅をしているけれどそうじゃなかったらずっと一人だったんだろうな。
そう思うと、何だか奇跡的なことだなと思う。
「サクトは魔法を習い始めてそこまでたってないと聞くけど、これだけ使いこなせるから凄いよな」
「まぁ、魔力量は元々多かったらしいよ。母さん曰く。扱い方間違えると大惨事になりそうだからちゃんと魔法の練習はしているんだよ」
俺ももちろん、魔物討伐の最中に魔法を使った。この世界にやってきた当初よりもずっと魔法を使うことが得意にはなっていると思う。元々魔法の才能があったのだろうけれど、こうして思うがままに魔法を使えるようになると魔法を使うことが楽しくてたまらなくなる。
もっと、自分が想像する全てを実現できるぐらいに凄い魔法使いになれたらきっともっと楽しくなるだろう。そうなりたいな。
神の血は引いていても、神として有名になりたいとは特に思わない。そもそも俺が有名になるとしたら母さんあり気だろうしなぁ。母さんの関わらない方法で有名になるって難しいって分かっている。
だから俺は自分が出来る範囲でしか動く気はない。わざわざ有名になろうとか、成り上がろうとかそんな思考はないのだから。
「ノースティア様がおっしゃるならそうでしょうね」
「とはいっても前の所では魔力が封印されていたから、魔力の扱いを学び始めたのはこっちに来てからだけど。だから俺にとってまだ魔力ってまだ馴染んでないんだよなぁ。もっと魔法を簡単に使えるようになりたいから頑張るつもり」
俺がそう言ったら、フォンセーラとノスタには変な顔をされる。どうやら今でも十分に魔法を使いこなせていると思われているらしい。ただなんていうか、こういうのって限界ってあんまりないイメージ。特に魔法って、現実では起こせないことを起こせる凄いものだしな。
母さんや伯母さん達の様子を見ていると、あのレベルにまで俺が至れるのはいつになるだろうかとかそんなことも考えてしまう。
俺はあくまで神と人のハーフという立場で、完全な神というわけでもないし。
だから神である母さんたちに近づくのって大変だろう。それこそ相応の努力をしなければできないとは思う。追いつけるわけないっていう人の方が多いとはいうのも分かる。ただ俺は……出来れば家族とは難しいかもしれないけれど対等である方が嬉しい。
だから出来る限り、母さんたちに近づけるようにはなりたい。父さんだってこっちに来てから神という枠組みに入っているだろうしなぁ。それに姉さん達だって元から半神としての自覚があるから俺よりも強いだろうしな。
姉さん達にも追いつきたい! ってそんな気持ちになった。




