ちょっとしたお金稼ぎをする ⑧
一瞬で姿が消えて、びっくりする。
目をぱちくりさせていると、引き続き伯母さんの声が響く。
『ごめんなさいね、サクト。まさか、私の娘を詐称して甥にこんな真似をする者がいるとは思ってもいませんでした。彼女から没収した道具、要ります?』
(いや、あのエルフが使っていたものとか持ちたくない。それにしても一瞬で移動させるとか、流石、伯母さん)
『ふふっ、この位たやすいことよ。それにしてもやっぱりサクトはああいうのに絡まれやすいですね。そう考えると心配になります』
(伯母さん……言っておくけど、余計なことはしないでくださいね)
思わずそう伝えたのは、何だか伯母さんは甥への過保護を加速させて俺の望まない行動でもしそうだなと思ってしまったからである。
『……例えば私から護衛をつけるとか、神託を下して生活をしやすいようにするとかも迷惑ですか?』
(うん、やめて)
やっぱり伯母さん、余計なことをしようとしていた。
確かに俺は神様関連の面倒事に巻き込まれやすい。今回のエルフの件に関しては、他の人なら気づけないことに俺が気づいてしまったからに他ならない。
俺は神の息子だからこそ常識改変とか、認識をゆがませるものだとかそういうのが効きにくいのだ。だからこそ、こんなことに巻き込まれやすいのかもしれない。
だから俺がこれからも旅を続けていたら、沢山のことに巻き込まれてしまうのかもしれないなとは思った。
(たださ、伯母さんはもう少し自分の血縁者とか、その関係のことのことはちゃんと確認しておいた方がいいよ。そうじゃないと同じようなこともっと起きそう。ああ、でも伯母さんと関係のある存在だって思われたい人って多そうだから全部を確認って大変か)
自分で言っておいて、伯母さんとつながりを持ちたい人は多すぎるので難しいかもしれないと思った。この世界の人々がどれだけの数生きているか俺は正確には知らないけれど、伯母さんってそれらの人族の大多数に信仰されている女神様なのだ。
それこそあることないこと、いわれているのかもしれない。
『いえ、何も問題ありません。私は神ですよ。ですから、全て確認することぐらい簡単です』
一瞬、誇張表現だろうかと思った。俺に良い顔を見せようとして、こういうことを言っているのかもしれないと。だけどその考えはすぐに無くなる。
だって腐っても伯母さんは神様なのだ。神だというのならばそのくらいのことはきっと出来るだろう。
(それならよろしくお願いします。俺だけじゃなくて、姉さん達だって迷惑を被る可能性あるし、それは避けたい)
姉さん達がああいう面倒な存在に絡まれるのとか想像したくない。俺と違って簡単に解決するかもしれないけれど。
それに完全に人よりも神に寄っている姉さん達なら神の力とか使ってどうにでも出来そう。とはいえ、俺にとっては半神だとか関係なしに大切な姉なので嫌な思いはしてほしくない。
というか伯母さんの子供って何人ぐらいいるんだろう? 長寿であり、寿命がないにも等しいっぽいし。その間に恋愛遍歴が凄いから多いのか? それとも自分で調整していて数えられるだけとか?
(伯母さん、俺の従姉妹って多い?)
『それなりの数は居ますが……そもそも私が面倒を見ていない子も多いですよ。神として生きていない者も』
(そう言う人達って伯母さんの娘だって認識しているの?)
『認識している子もいれば、居ない子もいます。基本的に私の娘だと理解している子達に関しては、此処まで事を大きくはしませんよ。やりすぎると、私の方で対処していますから。私の娘としての誇りがあればあるほど、馬鹿な真似はしませんし』
(伯母さんを信仰している人達って、平和主義というか、人に優しくって人多そうですよね。例外もいるのは知っているけれど)
『そうですね。基本的には。愚かな真似をしている者がいるのも知っています。ノースティアを敵視する者達とか。彼らは私の声を聞きもしないのに、私の代弁者であるという態度なので困ります。ただ正しく私の声を聞ける者はそんなことはしませんが。……でもそうですね。あなたが神界に来たら、私の娘や息子を紹介出来るだけしましょう。それと行く先々でもし出会いそうだったら先回りして伝えておきますわ』
(了解。……伯母さん、母さんと仲悪いって思われているのだけはどうにかした方がいいかと)
『まぁ、そうですね。ノースティアもこちらに戻ってきましたし、出来る限りのことはしましょう。じゃあ、サクト、また何かあったら言ってください』
伯母さんの声はそのまま聞こえなくなった。
クラは俺と伯母さんの会話が終わったのを察してか、話しかけてくる。
「咲人、終わった?」
「ああ。機会があったら従姉妹に会わせてくれるって」
そう言ったら少しだけ、クラは嫌そうな顔をする。
「会いたくない?」
「さっきのエルフみたいなの居たら嫌じゃん」
「ああいう性格の存在だったら関わらないよ。でも伯母さんが紹介してもいい相手だけ紹介してくれるだろうし」
俺はそう言ってクラを撫でるのであった。
それから俺達は、宿へと戻った。




