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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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ちょっとしたお金稼ぎをする ⑦



 ほとんど周りに誰もいない場所に移動していて良かった。伯母さんが道具を取り上げたと同時に、周りから気づかれないようにする効果がなくなったから。

 今は、もう俺やエルフのことに誰もが気づくことが出来るだろう。



 ――ただ面倒なのはそうなので、「ちょっと周りに気づかれないように出来る?」とクラに聞いて、魔法を使ってもらう。





『さてと、これでいいとして……私の娘ではないというのはあなたから伝えてもらえますか? 私から直接声をかけると逆効果になりそうなので出来ればしたくはありません』

(あー、それはそうかも。伯母さんから話しかけられたら凄く舞い上がりそう。今の段階で、自分は伯母さんの娘なんだって言い放ってあれだけ好き勝手しているんだから神の声を聞いたら……どうなることやら)



 うん、正直今よりも酷い行動を起こしそう。今もこれだけ自分勝手なことをしているのだから、もし実際に神との関わりがあるという実績を持ってしまったら――今以上に酷いことになりそう。

 それも自分にとって母親だと思い込んでいる神からの接触があれば暴走する未来しか見えない。




『そうですよ。そもそもですね、神の声を聞くというには才能がいります。思い込んでいる相手に声を聞かせたところで、自分に都合の良いように解釈をする者も居なくはありません。過去に私もそれで苦労したことがありますから』

(へぇ……俺は母さんの息子なのもあって聞いても特に何も感じないけれど、普通だとそうなんだ)

『そうですよ。それこそ当たり前のように私と会話が出来ているのも、あなたがノースティアの息子だという証ですね。長い時間、神の声を聞くなんて大変なんですよ?』



 そう言われて、この前の家族会議ってフォンセーラとノスタにとっては大変な状況だったのでは? なんて今更ながら思った。もしかしたら父さんや姉さん達で、何かしらの対処をしたからこそ会話が成り立っていたのかもしれない。

 俺はそこまで気が回っていなかったからな……。





(ちょっとこれから話をするけれど、俺の話を聞いてくれるか微妙なんだよなぁ)

『本当に聞き訳がないようでしたら、私の方でどうにかします。それにしても私の娘だと詐称しておきながら、本物の神の子供に無礼な真似をするなんて許せないものだわ』



 伯母さんはやっぱり怒っているようだ。基本的に人族に対しては、穏やかな一面ばかりを見せている伯母さんだが、怒る時は怒るのであろう。



 さて、伯母さんとの会話が一区切りした俺はエルフに向き合う。





「道具没収されただろう? 悪用しているからだぞ。それに光の女神イミテアの娘じゃないのに詐称するな」

「なっ、悪用ですって?? これまでも同じことをしていてもこんなことなかったのに!! それに私は――」

「これまでも同じことしていたのも驚きなんだけど。というかさ、今まで運よく見逃されていただけだよ。それでしかないのだから、自分の行いがほかならぬ神にとって望ましくない行動であるというのを理解しろよ」



 本当になんともまぁ、往生際が悪いというかなんというか……。話していて凄く疲れてしまう。

 こういう人と関わりたいとかまず思わない。向こうから襲い掛かられなかったら、まず話さないのに。





「なっ、ただの劣等――」

「煩いよ。あのね、僕が神獣だってことはお前も理解しているでしょう? 咲人はそんな僕と一緒に居るんだよ? 考えてみて。僕も咲人も神に連なる存在なんだよ? ただのエルフがさ、そんな僕たちに神の名をかたっていきるなんてすごくかっこ悪いよ?」



 クラも怒っているなぁ。というか、この状況って神の娘(思い込み・偽物)が神の息子(本物)に劣等種とか言っているわけだし、うん、凄いかっこ悪い。

 なんというか、相変わらず思い込んでいて、伯母さんの娘であると思い込んでいるらしい。




「なっ!! そんなわけないでしょう!! 何かインチキでもしているに違いないわ。そうじゃなければこんな劣等種が神に連なるものなんてありえない!!」

「だから、それが間違いだって。そもそもお前は神の娘じゃなくて、ただのエルフなの。思い込んでいるのは分かるけれど、僕が言っているんだから、本当のことだよ?」


 不愉快そうなクラの言葉に、やっぱりエルフは納得する気配がなかった。本当になんでこう、短気なんだろう?

 俺はめんどくさくなってきた。




「そんなわけはない!! 私は劣等種たちとは――」



 エルフが何か言い始めた際に、ピキッと固まる。何らかの力が強制的に働いたかのようだ。多分、伯母さんかな?


 伯母さんもこの様子を見守っているだろうし、苛立っていたのかもしれない。






『サクト、このままこのエルフは強制的に里に送還します。あまりにも見苦しいです。可愛い甥に関わらせたくありません。罰を全うするまでは里から出れないようにします』



 決定事項だとでもいう風な声が響いた。

 そして、目の前のエルフが消えた。



 

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― 新着の感想 ―
作中では二度と出番ないだろうなぁ…
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