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GENTLE LIFE  作者: 一聖
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KITCHEN

昨日の夜はみんな疲れていたので、夕食を食べ風呂入って寝た。

オープン祝いの宴会は、今日の夜だ。朝のルーティンをいつも通りこなし、

朝食を食べ、ミーティング。


「昨日はお疲れ様でした。想定以上の大盛況でした。昨日もそれぞれと話ましたが

 松月庵もパティスリーも週末2日間の営業とし、仕込みのスケジュールはお任せ

 します。婆ちゃんに頼んでいた人員の件ですが、仕込みから入れるようにして

 くれるとの事です。気になる事があったら報告お願いします。」


「松月庵の方から。殺人的な忙しさでしたけど、特に大きな問題はありません。

 昨日はシュリ様とカエデ様がヘルプで厨房に入ってくれましたので大丈夫で

 したけど・・。そこが不安要素です。」


「シュリ叔父さんはずっとという訳にはいかないしね、僕はなるべく入るよ。

 あとは新人さんに期待するしかないね。料理好きを頼んでるけど・・。」


「それ待ちですね。」


「パティスリーの方ですが、行列中のいざこざがけっこうありました。

 ヘンリエッタ様とマリア様がおさめてくれましたが、こちらもその部分が

 不安要素です。」


「確かに。昨日は僕も1件だけど遭遇したよ。なんか方法を考えないとだね。

 少しだけ時間ちょうだい。人員は仕込みから来てくれる予定。今日は昨日

 同様、婆ちゃんとマリア先生が入ってくれるから、なんとか1日もたせて。」


「わかりました。」


「ダリアさん、今日午後からフォンダンショコラ作るかも。」


「わかりました。」


「では、今日も1日がんばりましょう。解散。」


みんな、それぞれに散って行く。


「諭吉、執務室に寄ってからいくわ。」


「わかった。」


「失礼します、カエデです。」 おっ、広くなってる。


爺ちゃんの空間拡張だ。シュリ夫妻も含め全員いる。


「昨日はお疲れ様だ。報告は受けている。」


「はい、想定していたつもりですが甘かったです。松月庵はともかく、

 パティスリーの方は早急に対策を練らないとまずいです。」


「そうねえ、私達もずっといる訳にいかないしねえ。」


「問題は行列と厨房のスタッフ不足。今はダリアさんがヘルプしてくれてるけど

 これもやっぱり、ずっとという訳にはいかないから。」


「ダリアは料理人を目指してるからな。諭吉が週1、食堂の厨房で学びたいって

 言ってるが、いいか?」


「いいもなにも諭吉は自由だし、僕もいいと思うよ。蕎麦しか作れないって

 言ってたから。」


「了解。びしびし鍛えてやろう。」シュリ叔父さんの目が光る。


がんばれ、諭吉。合掌。


「行列の件だがのう、いっその事、店を広くしてしまえばいいんじゃ。」


「作ったばっかだよ・・あっ、空間拡張!」


「ここは魔力が溢れておるからのう、かなり広くできるぞい。」


「その手があった。爺ちゃん、やってくれるの?」


「まかせておけ。」 後は院からの雇用か。


「婆ちゃん、そうなると厨房だけじゃなくホールにも人が必要だよ。」


「そうねえ、こっちもいっその事、院ごと持ってこようかしら・・。」


「それはいい考えです。そうすれば、子供達は腹一杯食えますし、しっかり

 した教育ができれば、将来ガーネットの為にもなります。」


僕は正直、孤児院をあまり見ないようにしていた。見てしまうとほっとけなく

なるからだ。それに、ガーネットは豊かだから貧困にあえいでいる程ではない。

もちろん、慎ましやかな生活をしているのだが・・。

ふぅ・・見て見ぬふりも、ここまでだな。


「僕も賛成だよ。でも教会の事業じゃないの?」


「大丈夫よ。教会の負担が減るだけだから文句どころが感謝されるわよ。」


「じゃあ、決まりだね。」


孤児院の移転という、新たなプロジェクトが始まる。婆ちゃんが指揮するなら

大丈夫だろう。


「今日の夜、お疲れ様会をするから。それじゃあ、僕は松月庵に行くね。」


「俺も行く。」


松月庵に行き、魂に着替えて下準備をする。


「そうか・・孤児院の移転か。将来への投資、すげーなガーネットは。」


諭吉はプレゼントした神刀包丁をまな板を切らず器用に使っている。

こいつ、やっぱ天才だわ。馬鹿だけど・・・。


「そうだな、なんか青田買いっぽいけどな。なかには優秀な人材もいるだろ。」


「7歳どうしの会話じゃねーからな!」


「行列が昨日と同じくらいできてます。」


「了解。昨日配った整理券を持ってる人から入れて、オープンしよう。」


さあ、怒涛の2日目の始まりだ。シュリ叔父さんも魂に着替えて待機している。

いきなり満席だ。リリーさんと美月が高速でオーダーを取りまくる。

オーダーに対して諭吉とシュリ叔父さんが、これまた高速で動き出す。

これはあれか、高速移動はデフォルトなのか?

新人さん達は、まず身体強化から覚えないといけないぞ。

今日は最初から分業で作っている、諭吉は蕎麦、シュリ叔父さんが具材、僕は

サイドメニュー。板わさはわさび自体が旨いので、ほとんどの人が注文する。

風味が失われないよう、注文が入ってからわさびを摩り下ろす。

味噌田楽も人気だ、シュリ叔父さんからもらったペティが大活躍だよ。

サイドメニューを作る合間で皿洗い、もちろん、身体強化。

「ぬほぉ~!」そして、魔法DEドライヤー。

メインメニューのほうは全部人気だが、特に燻製鴨肉系が強い。

あと、パティスリーの箱を持ってる人がけっこういる。相乗効果だな。

今の所、変な貴族の客は来ていない。敷地内だから貴族の場合、身分を隠すか

バート叔父さんを経由しないとまずいからな。この立地は正解だった。

結局、全メニューソールドアウトするまで満席は続き、作る方も分業で効率化

した事もあって昨日より1時間早く閉店した。諭吉と美月は昼食をとって

あとかた付け。シュリ叔父さんはバロン爺ちゃんとなんかの打ち合わせ。

僕とリリーさんとニイは急いでパティスリーへ移動。


「カモナ、ナポリタンとコーヒーの用意をお願い。」

「かしこまりました。」


「小梅とイチもお昼、食べちゃって。」

「うん。」


「ミランダさん、ホール半分にしてお昼食べて。」

「わかりました。」

「僕は行列を捌くよ。婆ちゃんとマリア先生も昼、食べてもらうから。」


行列の所へ行き、婆ちゃん達に声を掛ける、ボタン先生もいた。


「お昼、食べちゃって。カモナ、行列に1人まわして。」

「かしこまりました。」


ホール担当もだいぶ慣れたのか、昨日よりも進みが早い。このペースなら

揉め事も起きないだろう。爺ちゃんの空間拡張で解決できそうだ。

小梅から念話が


「ガトーやばい。」

「了解。交代したらすぐ行くから。」

「わかった。」 婆ちゃん達が戻ってきた。


「追加生産するから、厨房に入るね。」


「カエデ、ごはんは?」


「作ったら、食べるよ。」


「ちゃんと食べるのよ。」


「了解。」


「私も入ります。」 ダリアさんが来た。


「ホールは?」


「小梅ちゃん、イチちゃん、ニイちゃんが入りました。」


「えっ!できるの?」


「大人気ですよ。」 確かに、みんな可愛いもんな。


「了解。ダリアさん、いっしょにパイを!」


「わかりました。」


「ぬほぉ~!」 2人の手が高速で動く。


2回焼いて。各100個完成させる。ガトーショコラも完成している。

レイさんが取りに来る。


「苺ショート、モンブランもやばいです。」


「了解。ミランダさん、苺ショートを。僕らはモンブランを。」


「「わかりました。」」


直接、美月に念話してみる。


「美月。」


「はい。」 おっ、いけた。


「そっちの様子はどう?」


「もう、終わります。」


「悪いんだけど、こっち手伝ってくんない。」


「わかりました。諭吉とすぐ行きます。」


「助かる。」


すぐに諭吉と美月が来てくれた。


「敵はどこだ!刀の錆にしてくれる!」


「それ、僕があげた包丁だから!刀じゃないから!」


「だから、敵じゃないって言ってるでしょう、もう!」


「なにを言う美月。厨房は戦場だと師匠が言っていたではないか!」


ああ、そういう・・。シュリ叔父さん、馬鹿に馬鹿な事を教えちゃだめだよ。

でも・・。


「諭吉、お前の敵はあれだ!」 大量の苺を指さす。


「よし、まかせろ!ミランダさん、斬り方教えて!」 字がちが~う!


しかし、さすが蕎麦屋大将。苺の山が見る見る減っていく。


「美月はホールのヘルプに入ってちょうだい。」


「わかりました。」


こっちもモンブランに入ろう。栗のペーストはストックがあった。


「ダリアさん、土台お願い。僕とカモナは練り切りを。」


「ベイクドカスタード、マカロン、プリンやばいです。」


「アマネさん、苺ショート、モンブランできてるの持ってって!」


ベイクドカスタードはさっきのパイの残りがある。


「カエデ、苺の討伐、完了だ。」 ちが~う!けど助かる。


「諭吉、そこにあるカスタードクリームを型に流し込んで!」


「わかった。次の相手はスライムだな!」 ちっが~う!


「カモナ、モンブランの残りは僕がやるから、プリンお願い。

 冷やすのは魔法でやるから、声かけて。」

「かしこまりました。」


「モンブランの土台終了しました。」


「ダリアさん、マカロンに。僕も練り切りが終わったら入るから。」


「わかりました。」


これはたぶん、小梅達が高速で動いてるな・・・。よし!苺ショート、モンブラン

終了だ。


「レイさん、取りにきて!それと、状況教えて。」


「諭吉、その型をオーブンに。」


「焼き殺すとは・・ゲスな・・。」 ちっが~う!


レイさんが取りに来た。


「レイさん、外の状況は?」


「はい、小梅ちゃん達が残像をだしながら動いているので、外の列はかなり

 減りました。ヘンリエッタ様達は、もう大丈夫だろうと仕事にお戻りに。」


残像って・・。しかし、予想通りだ。院の子供達は、まじで身体強化がマストに

なるぞ、大丈夫か?


「諭吉、見た目がコゲ茶になったら取り出して、型からはずして。」


「くっ!俺に看取れと・・・。」 ちがうから・・。


「プリン、できました。」


「了解。冷やすね。」


プリンに桜花の剣で結界を張って、封魔ブレスをはずして魔法で冷やす。

僕、なにしてんだろう?


「おい、カエデ。今度は凍死か?」 ちっが、なんか疲れた・・。


「カモナ、カラメルお願い。」

「できております。」 さすが、カモナ。どこぞのアホとは違う。


「了解。みんな、もうひとふんばりだ。がんばって!」


「モカケーキなくなります。」 美月が伝えに来た。


「見ろ、美月!カエデが剣を出している。」


「えっ、本当だ。」


「ミランダさんとカモナはモカケーキお願い。諭吉も手伝って。」


シュリ叔父さんや諭吉の言うとおり、厨房は戦場なのかも、いや、ちがう。

営業時間が残り30分となったところで、厨房チームはさすがに間に合わない

のでストップ。店頭在庫が無くなったら、ソールドアウトだ。

ミランダさんとダリアさんはホールへ、ラストスパートだ。

残った僕らは掃除を始める。


「ケーキって、すげーな。確かに旨いし俺も好きだけどな。」


「まあ、オープン景気ってやつだろ、ケーキなだけに。」


「「ギャハハハ。」」


「おっさん。」 梅ツンきびしぃ~。


などと話しながら掃除をしていると、閉店時間になったようだ。ふぅ、なんとか

終われたか・・・。パティスリーにしても松月庵にしても、お客さんが来すぎる

のは問題だ。冗談ではなくオープン景気と信じたいよ。

ホールのあとかた付けも終了し、みんなで食堂へ。

なんかいろいろ、叔父さん達が用意してくれてるようだ。

おお・・すき焼きだ。そういえば、昼食を食べ忘れた、お腹ペコペコです。


「皆、お疲れ様だ。想定以上の客足だったと報告は受けている。いろいろ問題

 もでてくるかとは思うが今は忘れて、食事を楽しんでくれ、乾杯!」


「かんぱ~い!」 ジュースだけど。


「カエデ、お疲れだ。諭吉君もお疲れ様だ。」


「ほんと、疲れた。けど、無事にオープンできて良かった。」


「人員の件に関しては、母上がはりきっているから大丈夫だろう。」


「婆ちゃんだったら、なんとかしてくれるだろうから一安心。明日から通常と

 いうか日常に戻れそう。」


「そうだな、よく遊び、よく学べだ。だが、程ほどにしてくれ。まじ頼む。」


「わかってますって・・・。」


「カエデ、問題児か?」 ちが~う!それに・・


「お前が言うな!」


「なんでだ!」










 

 


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