VESSEL
諭吉と美月が、帰ってきた。
「お帰り、飯食おーぜ。」
「おう。」
「小梅、イチとニイも呼んで。」
「わかった。」
今晩はみんなですき焼きにしよう。肉とか野菜とかパパッと用意してもらう。
では、いただきます。
「うめーな!」
「ウマウマ。」
「おいひ~。」
「うむ。」
「お肉が柔らかいです。」
みんなですき焼きを堪能し、デザートまでしっかり頂いた。
「諭吉と美月の銃、できてるから後でテストして。」
「早えーな、わかった。」
「わかりました。」
それもあって、桜花流の稽古は後にして先に射撃場へ。
「美月のは小梅達と同種だから、3人に使い方を教えてもらって。諭吉のは
新型だから僕が説明するよ。」
「おう。」
「この銃の名前はセブロ。小さい割に出力がでかいから反動に注意して。
ここが安全装置で撃つ時に下げる。弾はフルメタルジャケット弾と銀弾の
2種類、状況によって使い分ける。次のダンジョンなんかは銀弾が有効
だね。マガジンには17発入ってる、出し入れの仕方はこうね。」
ガシャ、ガシャと実際にやって見せる。
「おお・・カッコイイ。」 そうだろ、そうだろ。
「弾は自動精製だけど、魔力を持ってかれるから注意して。撃ってみて。」
後は神気に耐えれるかどうか・・。
「お、おう、なんか緊張するな。」 あれ?平気だ。もう神気慣れしてる。
なかなか様になってる、あのタクティカルアーマーにセブロ・・。
「少佐。」と呼ばないよう注意しよう。
「次のダンジョンで使うから、練習しておいて。」
「わかった。」
その後、小梅達の桜花流の稽古を見学して(諭吉は「おお、花びらが!」とか
うるさかった。)風呂の時間だ。
「風呂いくよー。」
朝のミーティング。
「お早うございます。来週からカエデ課は、完全週休2日にします。4日は通常、
1日はダンジョンってところかな。働き過ぎは良くないっす。」
「おお・・・。」
「ケーキの試食は明日の夜だよね?」
「はい。これがリストです。今日と明日の昼間で最後の追い込みをします。」
アスリートかよ!
「了解。明日、ダンジョン予定ですがそれまでには戻ります。」
「松月庵ですが今日、諭吉君が厨房を借りて蕎麦を打ってみます。トッピング
予定のものとの相性チェックです。店舗の建築も急ピッチで進んでます。
そば粉の問題をクリアーできれば、パティスリーミランダと同時オープンも
可能かと。」
「了解。僕も参加するよ。そば粉の問題はエルにも聞いてみる、コーヒー豆と
カカオの事もあるし。」
「わかりました。」
「小梅達は干物作りだね?」
「うん。」
「昼は諭吉の蕎麦の試食するから。」
「うん。」
「では、解散。」
僕は小梅達とBPOへ。エルの言っていた世界樹の倉庫に行ってみた。
・・・もう、パンパンじゃん。運ぼう・・。
「エル、居る?」
「お早う、カエデ。」
「なんでもう、パンパンなの?」
「ははは、精霊マジックだよ。」
「その精霊マジックで、そばの実いけない?」
「楽勝だよ。いるの?」
「うん今、蕎麦屋プロジェクト進行中。」
「そばって、食べた事ないな。」
「食べにきてよ、美味しいよ。」
「楽しみが増えたよ。2日もあれば倉庫をパンパンにしておくよ。」
「うわ~、ありがとう。まじ、助かる。」
よっし!これでそば粉問題は解決だ。しかも、精霊のそばの実。ハイクオリティに
違いない。実に楽しみではないか。
BPTへ行こう、やりたい事がある。
「ボックル、アクアの湖へ行く?」
「行く。」ボックルを肩に乗せ湖へ。UWBを試すのだ。
「アクアいる?」
「いるわよ。」
「湖に入りたいんだけど、大丈夫かな?」
「大丈夫だけど、泳ぐの?」
「うん。水中で呼吸できる魔導具を作ったから実験させて欲しいんだよ。」
「へぇ、おもしろそうね。」
「ボックルも人化して、これを咥えて魔力を流して。」
「うん。」
ボックルと手をつないで湖の中に入っていく。おお・・霊水も行ける。
虹色の魚も横から見ると、また違う風情だな。ボックルが目を見開いている。
ジェット噴射で進んでみる。アクアも併走している。ボックルとアクアは
念話で話せるけど、人間同士は話せないのはネックだな。
「すごいわね。」
「でしょう。水中散歩を楽しむ為に作ったんだ。」
「きれ~。」
湖の中は外からではわからなかったが、レインボーフィッシュだけでなく、
虹色の蟹や蝦もいて、とにかくきれ~。しばし、湖の中を見て回り上陸。
テスト完了。これは、発売してオーケーだ。漁師の人はもちろんの事、
娯楽としてもおもしろい。値段にもるうけど・・・。
その辺の事は、キャロルとニダさんに丸投げだ。
「ありがとう、アクア。ものすごく綺麗だった。」
「きれーだった。」
「そう言ってもらうと嬉しいわ。」
「そうだ、これから蕎麦の試食があるんだ。食堂へ行こう。」
アクアとボックルを連れてBPOへ、小梅達を迎えに行く。小梅達は美月が
増えていたのでスピードアップしていて予定量を干し終わっていた。あとは、
夕方に回収するだけ。
「いこう、みんな。」
みんなでわいわい言いながら食堂へ。エルも誘った。
食堂に着くと、リリーさん達が準備をしていて、もう始まる所だった。
バート夫妻も居る。
「こちらの仮メニューから注文して下さい。感想など、思った事を私達に
お伝え下さい。」
仮メニューからなるべくかぶらないように注文する。僕は燻製鴨南蛮。
厨房の人達も手伝ってくれてるので、すぐに来た。見た感じは超うまそー。
味を確かめ意見を伝えないとだから、みな真剣だ。エルとボックルとアクアも
笑っちゃうくらい真剣だ。いただきまっす。
ズズズ。なにこれ!超うまいんですけど!神楽のよりおいしいんですけどー。
水とわさびでここまで変わるののか・・諭吉はやっぱり天才だ。
鴨肉の燻製も食べてみる。これも超うまい!あれ?そうか、蕎麦と鴨肉が喧嘩
しちゃってるんだ。そば粉をランクアップさせれば、これはすごい鴨南蛮が
できるのでは?板わさも絶品だった。
みんな大満足で試食終了。みんなの意見を聞いてまとめるとこうだ。
かき揚げ、えび天、タヌキは文句なし。とき玉、月見も文句なし。
いなり寿司もあったけど、これも文句なし。
問題は燻製鴨南蛮のみ、やや問題アリという感じ。
みんなにお土産のそば粉クッキーを渡して解散。蕎麦屋チームはミーティング。
「いけるんじゃないの、どうなの諭吉?」
「ああ、90点だな。素材が新鮮だからな、10点足りないのは燻製鴨南蛮だ。
ケンカしちまうんだよなあ・・。」
「十分旨かったけど、言ってる事はわかる。その件なんだけど、午前中にエルと
話して森にそばも自生させる事にした。2日でできるそうだから、それで
最終テストだね。僕個人としては、燻製鴨南蛮系は松月庵の名物になると
考えている。きっと、精霊のそば粉はやばい。」
「それは、楽しみだな。」
「後はリリーさん達でコストの算出と上代設定してくれる。諭吉は午後から
器を見に行こう。マリア先生から、場所は聞いたから。」
「わかりました。」
「わかった。」
「じゃあ、1時間後に庭で。」
自室に戻る。少し距離があるし、夕方までに戻って干物を運ばないとだから
イド君で行く。白磁で蕎麦なんてカッコイイ気がする。オープンの目処が
立ってきたな。あとは人の問題だ。諭吉が学園に行く前に職人を育成しないと。
当面はリリーさんのチームでホールはまわしてもらおう。昼だけの営業なら
50食もあればいけるだろう。完売したらクローズだ。
考え事をしていたら時間がきた。
庭に行くと丁度、諭吉と美月も来たところだった。
「カモナ。」
「かしこまりました。」 イド君に乗船。
「地図はこれなんだけど、わかるかな?」
「大丈夫でございます。」
「じゃあ、発進して。」
「到着しました。」
「はやっ!」
下船したら目の前にアトリエらしき建物があった。「アトリエ エルバ」と小さく
書かれた看板があるから、ここで間違いないだろう。
「たのもー。」
「はい、どちら様ですか?」
「カエデ・ガーネットとユキチ・ショウゲツと言います。マリア先生の紹介で
来ました。」
「ああ、マリアから聞いてるわ。お蕎麦屋さんの器ね。」
けっこうな種類があるな、作らなくても有物でいけそうだ。選ぶのは諭吉に
任せよう。僕は蕎麦とは関係ないけどコーヒーカップが欲しい。
森のコーヒーで飲む頻度も増えるだろう。
「あら、コーヒーカップも探してるの?」
「はい。自分のですけど。」
「新作があるの。見てみる?」
「是非。」
アトリエの奥に案内される。おお。これは・・。僕は飲み口が薄い方が好みだ。
見せられたカップはかなり薄い、いいなこれ。ゲットしよう。
「すいません、これ欲しいです。何個、在庫はありますか?」
「そこにあるだけだから、30個くらいかしら。」
「全部、下さい。」
「えっ?全部?」
「はい、全部。」
「あ、ありがとう?」
「カエデ、終わったぞ。」
「了解。お会計、お願いします。」
「マリアからガーネットの方に回す様に言われてるわ。」
「そうだった・・。では、そうしてください。」 カップもあるけど・・。
諭吉の選んだ器を、アイテムボックスに入れていく。
「アイテムボックス・・。この量が入るの・・。」
あれ、エルバさんが驚いている。コーヒーカップも入れ、さあ帰ろう。
1分だ。
「諭吉、器は店舗でいいのか?」
「ああ、8割がた出来てる。」
「了解。」
この会話をしてる間に着いた。松月庵へ行く。おお・・さすが茨木、カッコイイ。
神楽の松月庵と全然違うな、木のいい匂いが漂う。なんという近代家屋、日本に
居る時に雑誌とかでこんなの見たな。
「やばいな、カッコイイ。」
「ああ、やばいな。和尚すげー、腕がなるぜ。」本職って言ってたもんな。
「僕はこのまま小梅達を迎えに行って、干物を回収してくるわ。」
「わかった。」
BPOへ行き、完成していた干物を回収。みんなを連れて松月庵へもどる。
「おお・・・。」 みんな感嘆している。
美月は諭吉の手伝い、小梅達と干物の納品へ行く。
納品したら干物を食べたくなったので、少し早いが夕食にしよう。
「小梅、美月にごはん食べるって伝えて。」
「わかった。」
さあ、干物干物。さあ、バフ付きバフ付き。いただきます。うっま~。
「美味しいよ、みんな。」
「うん。」
「へへ・・。」
「うむ・・。」
食べてると、諭吉達も来た。
「おっ、旨そうだな。俺も干物にする。」
「急げ!なくなるぞ!」 目の前から消えた、さすが副業忍者。
「あぶね~、ラスイチだったぜ。」
さすがバフ付き干物、僕が最初だったと思うけど・・10分もたってない。
「なんだ、これ・・。うまいだけじゃないな・・。」
「体力と魔力アップのバフ付き。」
「なんだそりゃ?そんな事できんのか?・・・そっか、神系か。」
「そういうこった。諭吉、飯食ったら明日のダンジョンの打ち合わせ。」
「わかった。」
美味しくいただき、みんなでカモナのリビングへ移動。
「カモナ、コーヒーをお願い。あっ、コーヒーカップ買ってきたから。」
「かしこまりました。」
「明日のダンジョンだけど、前半は銃撃戦と予想している。」
「モンスターも銃を使ってくんのか?」
「おそらく・・。明日はイチもニイもこっちに来てくれる。
レイさんとリリーさんには、言っておくから。」
「おお・・。」
「うむ。」
「相手はワーウルフとバンパイアだ。全員、銀弾を使ってね。小梅達は悪いけど
成獣化と人化を使いわけて。」
「うん。」
「美月は成獣化して、諭吉を乗せれる?」
「はい。」
「まじ?」
「まじ。途中をショートカットして一気に城に突入する。おそらく
その時、空中戦になる。」
「みんな飛べるのか、さすが神系・・。」
「城の中に入ったらボスを探して、みんなで叩く。武器の調整しておいて。」
「カエデ、射撃場いいか?」
「どうぞ。」
諭吉と美月は射撃の練習、小梅達は刀の調整をするとの事。
僕は2杯目のコーヒーを飲む、このカップまじいいわ。
さて、明日はどうなるか・・。まあ、いつも通りでたとこ勝負で。
風呂入ろー。
「カモナ、みんなに伝えて。」
「かしこまりました。」
楽しく遊んで、アイス食べて寝た。




