SPEAR
「カモナ。」
「かしこまりました。」
「百合子さん、ユキナさん。拉致。」
「「了解。」」
「うわー、何をする!」 諭吉はカモナに連れ込まれる。
「な、何だ、ここは?」 そのままイド君に乗船。
「百合子さん、ダンジョンまでのナビよろしく。」
「わかりました。」
「カモナ、お茶お願い。」
「かしこまりました。」
「全く・・あわただしい人達ですね。まあでも、諭吉がカエデと出会ったのは
僥倖でした。」
「ツムギ様、カエデ様はどういったお方なんです?失礼ながら、そば好きの
子供だと思っていたものですから・・。」
「それも間違いではありませんよ。ただし、次いでとか片手間で魔人やS級冒険者
それにリッチも瞬殺します。」
「なっ!!」
「そして、ここに居る鬼達にも慕われています。友達だそうですよ。」
「本当に何者なんですか?」
「フフ、私の可愛い孫ですよ。」
「おい!カエデ!ここは何だ?」
「ここ?船だよ。飛んでっけど。」
「なに!」 あわてて外を見る諭吉。
「これから、ちょこっとバイトでダンジョン行くから悪りーけど付き合って。
その後、ガーネット行くから。」
「マジだったのか・・・。」
3分で着いた。近い!お茶を飲んでから行こう。
「ダンジョンの経験は?」
「ここのダンジョンは、まだ弐城までだ。」
「百合子さんが参城まで行ってるから、そこからだな。」
「おい!まじか?初めてだよな?」
「大丈夫だって、百合子さん達まじ強いから。速攻、拉致されてたじゃん。
諭吉は忍者刀しか持ってないの?」
「いや、一通りは持ち歩いてる。」
「おお・・・。」
「そういうカエデは?さっきは短槍を使おうとしてたが。」
「僕は状況に応じて、いろいろ使うよ。」
「カエデ様は武器のデパートですよ。」 違うぞ、春日部。
「時間がある時、僕といっしょに行動するならおいおい見せるよ。さて、
参城とやらに行こうか。」
ダンジョンの周りは広場が多く、着陸場所には困らない。ステルスかけてるし。
今回は僕、諭吉、百合子さん、ユキナさん、イルマさんの5人パーティだ。
ギルドカードで参城の側に転位。僕はいつものダンジョンスタイル、百合子さん
達はメイド服にハートガード。諭吉は・・・。
「おい!何で忍者スタイルじゃないんだよ!」
「アホか!今時、あんな動きづらい服を着てる奴なんていねえ!」
そう諭吉は、黒いタクティカルスーツにプロテクターという、これでG36Cでも
持っていようもんなら、フランス特殊警察だ。すげえな、近代忍者。
「ユキナさんのお父上も、こんな感じ?」
「そうですね。黒より迷彩の方が多いですけど。」
「なるほど。」
全員の装備確認も終わり、城に入る。僕はドミニクに預かったハエ型ドローンを
飛ばす。仕事はきっちりこなすタイプだよ。
それにしても、この城・・。外で見た時も思ったけど、絶対に松山城だ。てことは
ここの城主は加藤嘉明かな?七本槍だ。ここのDMは歴史好きの日本人で確定。
メモしておこう。
おお・・。足軽がわんさか出てきた、しかも亡者。浄化しないとダメ?
「百合子さん、こいつら倒して天守を目指す感じ?」
「そうです。そこに城主が待ち構えてます。」
「了解。ちょっと数を減らすから、皆、下がって。デル君。」
「イエス、マスター。」
銀貨、3枚投入。ドチュンドチュンドチュ~ン。あれ?エフェクト音が変わった。
「アレンジしました。」 ナイス!アレンジ!
「浄化弾!」 ドウンドウンドウンと3発、広範囲に。
「親方様、ばんざ~い。」とか言いながら大量の足軽が成仏。合掌。
「なんじゃ、そりゃ!」 驚く、諭吉。
「ささ、みんな残党狩っちゃって♡」 残りは、皆に任せて大丈夫だろう。
百合子さんは、直接殴るのが嫌なんだろう、トンファーで斬っている。
「おい、カエデ!なんでトンファーで斬れんだ!」
「考えたら負け。」
ユキナさんも直接は嫌なのか、ナイフをガンガンにスローイング。
「何でナイフがなくならねえ!」
「ああ、あれは僕の作ったホルダーの機能だよ。」
「なにそれ!超欲しい!」 はははは、諭吉の突っ込みが楽しい。
イルマさんは、どうだ?
「いっや~!こっち来ないでえ~!」
と叫びながらヒールをマシンガンのように、ダダダダッと撃っている。
見事な魔力制御だ。
「・・・。俺もいくわ・・。」
「おう、逝ってこ~い!」
「なんか、ちが~う!」 と消えた。
ほう、確かにすごいな。僕でも一瞬見失った。天才というだけはある。
天才DEそば職人、プププ・・。ナイスキャラが登場したものだ。
あっ、こっち睨んだ。エスパーでもあるのか・・・。
天才DEそば職人はどんな戦い方をするのかな?おや?あの忍者刀はさっきも
思ったけど、もしかして「ノワール」では?
諭吉は格好といい忍者刀といい、仏系なのかな?フランスは日本語表記だと、
なぜ仏になるんだろう?仏教の仏じゃん。おっと、どうでもいい事を考えてる
場合ではない。
諭吉は忍者刀とカード?式札みたいなものかな?でばったばったと倒している。
婆ちゃんの言うとおり、強いな。
「百合子さん、この城何階建て?」
「5階建てです。」
「了解、次に行こう。弓矢に気をつけて。」
僕は桜花の剣にチェンジ。先頭は諭吉、斥候は忍者の十八番でしょ。
次がイルマさん、攻撃はなしで結界を頼んだ。で、ユキナさんは遊撃、
敵を見つけたら、即スローイング。百合子さんは足軽以外の大物を。
僕がしんがりで結界担当。
2階に上がると足軽に甲冑が混ざりだした。案の定、弓矢も飛んでくる。
矢は僕とイルマさんの結界でこちらまで届かない。足軽はユキナさんが
甲冑は百合子さんと諭吉が倒している。即席ではあるが、なかなの連携だ。
2階も制圧し3階へ。諭吉から声が掛かる。
「罠だ、はじを通れ!」 おお、さすが斥候。
2階と3階の間は、かなりの罠が仕掛けられていたが諭吉が全て見抜いて
事なきを得た。これにはメイド隊も感心しきり。諭吉も褒められて、まんざら
ではない様子。「フフンッ。」と僕を見る。なんで、僕を見る?
さあ、4階だ。ここまで1時間くらいかな、順調順調。
4階は甲冑オンリー、しかも槍だリーチが長い。これは嘉明で確定だな。
「イルマさんは、みんなの怪我に集中して即ヒールを。百合子さんは一体づつ
確実にお願い。ユキナさんは百合子さんのフォロー、スローイングナイフで
気をそらしてね。」
「ほう、的確な指示だな。俺は?」
「・・・・。」
「なんでだよ!」
「いやだって、さっき会ったばかりじゃん!だったら新技見せてよ。」
「確かに・・よし!とっておきを見せてやる!」
諭吉、意外とのりのり、印を結ぶ。「分身!」
何?分身の術だと?僕の中での分身の術は、残像が残る高速移動の事だが・・。
残念だったな、それは残像だってやつ。えっ!諭吉が20人に分裂した!
「こ、これは・・。何がしたいんだ?」
そう、とても小さい諭吉、身長20CM位のやつがキーキー言いながら甲冑に
向かって行った。そして、甲冑を囲んで踊りだした。な、なんだこれ?
1人だけ残った小さい諭吉が、自慢げに腕を組んで「どうだ!」と言った。
僕は何も言わず、ミニ諭吉を蹴り飛ばす。器用に1回転して、シュタッと着地。
そして甲高い声で「なにをする!」
「アホか!なんで盆踊りしてんだよ!甲冑がとまどってるだけじゃねえか!」
「馬鹿者!あれこそが狙いだ!甲冑がとまどってる隙に早く殺れ!」
「えっー!」
「カエデ様!ギャグパートですか!きつくなってきました。なんとかして
下さい!早く!」
「あー、もう。夕霧。」
「はい、主。」
「悪いけど斬撃飛ばすね、小人アタックが効いてるうちに。」
「小人アタック・・。ブッ、ハッハッハ。なんですか、あれ?
だめです、力が入りません。」
「まじ!やばっ、カモナ、ごめん!」
「かしこまりました。」
カモナが神速で甲冑どもを吹っ飛ばす。
「おい!諭吉!今の内に元に戻れ!」
「一度発動すると10分はこのままだ。」
そう言って全員で別の甲冑を囲んで、また盆踊りを始めた。
こいつ天才だ・・・笑いの・・・。
今度は百合子さん達の側だったため、百合子さん達が崩れ落ちた、笑って・・。
恐るべし小人アタック、味方が崩壊した。
笑って使いものにならない夕霧をしまい、マリンの剣を出してブレスをはずす。
ヴィ~ン、何体かを真っ二つにしてカモナの隣に。
「ごめんねえ、カモナ。」
「楽しい方でございますね。」
「フフ・・確かにね。」
2人で甲冑亡者の残りを倒して終了。ちょうど10分たったのか諭吉は元に
戻っていた。
「ふぅ・・・。」
「ふぅ、じゃねえから!」
百合子さん達もぐったりしている、笑い疲れて・・・。
だめだ、城主の前に休憩しよう。
「カモナ、ケーキとコーヒーを。」
「かしこまりました。」
「みんなー、カモナで休憩ー。」
おやつモグモグタイムだ。
「それにしても恐ろしい術です、小人アタック・・・。」
「全くだよ、味方が崩壊するとは思わなかった。」
「私、絶対明日、お腹が筋肉痛です。」
「イルマさん、ヒール忘れて爆笑してたもんねえ・・。」
んっ!諭吉が静かだ。さすがに反省してるのか・・・。
見ると口の周りにクリームをいっぱいつけて、ケーキを貪り食っていた。
「・・・諭吉、あんま食べ過ぎると晩メシ食えなくなるぞ。」
「おまえは、俺の母ちゃんか?」
「違うわ、ボケ!」
「カエデ様、次はこの城の城主です。どうしますか?」
「予測はできてるよ、たぶん槍の名手だ。今までとは格が違うだろうね。
そこで、直接は僕と諭吉であたる。百合子さん達はフォロー、もし、
取り巻きがいたらそれを抑えて。諭吉、小人アタック以外の奴で。」
「分身の術な。しょうがない、わかった。」
「カモナは僕らがピンチになったら、割りこんで。」
「かしこまりました。」
カモナを出て、5階へむかう。罠はなかった。
「開けるよ。」
「おう!」
「はい!」
ギギギーと重い扉を開ける。居た!本人は見た事ないけど加藤嘉明だろう。
ごつい槍を突いて仁王立ちだ。取り巻きも2人いる。
「百合子さん達はスリーマンセルで1人、相手して。」
「わかりました。」
「カモナ、1人よろしく。」
「かしこまりました。」
「諭吉!」
「おう!」
僕と諭吉はクロックアップだ。槍の弱点は懐だ、刃は先の方だから内側に入って
超接近戦にもっていけば槍はただの棒と化す。ただの棒が、ゴゥッと音を立て
頭上を通過する。ひぇ~風圧がすごい。諭吉はジャンプで躱してカードを投げた
顔面で爆発、起爆札だ。いい目くらましになった。
斑鳩流 「一閃!」 片腕が落ちる。おっ、残ってる方の手に持ち替えた。
やるな!諭吉が残ってる腕を落とそうとする。
ガキンッ、半分くらいで刀が止まる。「硬え!」
やばい!蹴りで諭吉が吹っ飛ばされた、と思ったら丸太。空蝉・・・。
しかし、ノワールで斬れない?どういう事だ?
「デル君!」
「イエス、マスター。」
「氷弾!」
狙いは下半身、氷漬けにして動きを止める。
「今だ!」
諭吉は刀を取り返し、首を狙う。今度はちゃんと斬れたようだ。やっぱ、
おかしい・・・。
飛んでく首に「浄化弾!」。消えていく首と目が合った、微笑んだような
気がした。カモナも百合子さん達も勝利したようだ。
「みんな、お疲れー。いい映像も撮れたしバイト終了ー。」
ドローン回収。ドロップは嘉明と彫られた槍、やっぱり加藤嘉明だったか・・。
「槍、欲しい人いる?」 いない。
「メイドさん達の中に、槍使いはいる?」
「あっ、居ます。」
「じゃあ、その人に使ってもらおうか。魔石はガーネットで換金して
みんなで山分けにしよう。
天守閣から転位で外に出る。すぐイド君に乗って小梅達を迎えに行く。
「小梅、イチとニイも連れてドムル君の所へ来て。」
「わかった。」




