DINNER
ロバートさんの所を、ホクホク顔で後にし、嬉しくて思わずケーキを買う。
しかも、ホールで。
「小梅、あとでカモナで食べよう。」
「うん。」 尻尾フリフリ。
光彩(改)を発動しカモナへ。
「カモナ、昼食お願い。」
「かしこまりました。」
僕と小梅はドックへ行き、イド君に乗り込む。
「どこからでも出発できるのは、助かるというかすごいよね。」
「うん。楽。」
「カモナ、イド君。神楽へ発進。昼食をとるので2時間くらいで着くように
調節をして。」
「「かしこまりました。」」
「小梅、昼食にしよう。」
僕は和食定食。小梅は刺身定食。美味しくいただき、さっき買ったケーキを
出してもらう。
「新作だってさ。」
「ウマウマ。」
ミルクレープだ。苦がめのコーヒーに良く合う。食事とデザートをゆっくり
味わってると、2時間なんてあっという間だ。
「そろそろ到着します。どちらに?」
「ドムル君にお願い。」
「かしこまりました。」
「小梅、パパとママに会っておいで。帰る時に呼ぶから。予定としては
夜、遅くでて朝に着く感じで考えてるから。」
「わかった。」
神楽の屋敷の庭に到着。
「ただいまー、ドムル君。」
「お帰りなさいませ。」
「そうだ、小梅。みんなで夕食を食べよう。パパとママを誘ってみて。」
「わかった。行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
僕は鍛冶を試す。
「ドムル君、鍛冶場は使えるかい?」
「はい。すぐにでも使えます。」
「了解。カモナ、桜美の図面をお願い。それと鍛冶場も作ってみて。」
「かしこまりました。」
鍛冶場に行って、いろいろ確認した。玉鋼もけっこうあるな。いけるか・・。
錬金術で熱した玉鋼を、芯鉄を包むイメージで刀の形に成形。
あとはひたすら、叩いて鍛える。だめだこりゃ、力が足りん。
身体強化!これならなんとか・・・。
ヒーヒー言いながら、1刀を完成させる。ああ、明日、筋肉痛だわ。これ。
う~ん・・まあ、今すぐ必要な訳でもないのでゆっくりやろう。
蔵に行って刀の在庫を見てみる。おっ、けっこうあるな。宗近なんて小梅に
いいんじゃないか、光世はイチに、数珠丸はニイに。
あれ?打たなくても業物がそろうじゃん。持ってって桜花に相談しよう。
鍛冶は将来、くいっぱぐれ無いように練習しておいたほうがいい。
蔵から出ると外はもう暗かった。庭に出て縁側に座ってぼうっとする。
いいな、三日月がでてる、ふぅ・・。そろそろ、夕食の時間だ。
なんにしよう?すき焼きあたりが、無難かな。
「小梅。夕食にしよう。すき焼きでオーケー?」
「オーケー。行く。」
「了解。用意しておくよ。」
「わかった。」
「カモナ、すき焼きの準備を。庭で食べよう、手伝うよ。」
「かしこまりました。」
4人だからテーブルはひとつでいいか、お酒は氷牙と櫻ママの分。日本酒は普段
飲んでるだろうから、ワインにしよう。用意が終わり、一息ついた頃、小梅達が
やってきた。
「こんばんわ。人化できるよ。」 櫻ママの人化は初めて見る。
おお、小梅を大人にした美人。そりゃそうか。氷牙はちゃんと着物を着てる。
「カエデ様、お招きありがとうございます。」さすが櫻ママ、ちゃんとしてる。
「カエデ、いい匂いだな。腹減ったぞ。」 さすが氷牙パパ・・・。
櫻ママにこずかれている。
「まあまあ、櫻ママ。今日は4人だけだし身内じゃない。
そんなにかしこまらないで。」
カモナが給仕してくれている。大人はワイン、子供はシードルで乾杯。
「さあ、じゃんじゃん食べて飲んで。」
肉も最上級を用意したし、野菜も新鮮。スラッガーバードの卵はいつも通り。
「カエデ、旨いな!」
「ウマウマ。」
「本当に美味しいですね。」
ひとしきり、すき焼きを堪能し落ち着いてきたところで櫻ママに質問をする。
「櫻ママは桜花流の皆伝なんだってね。」
「そうですね。めったに使いませんけど、ツムギ様のお手伝いをする時に
短時間ですけど使います。」
「タチバナ流じゃないんだね?」
「はい。ツムギ様と出会う前にはすでに皆伝でしたので。」
なるほど、時系列が逆なんだ。
「桜花に、小梅達の刀を打つように言われたんだけど、この身体だとまだ
うまく打てなくて。」
「カエデ様は鍛冶もなさるんですか?」
「できる事はできるんだけどねえ・・ちなみにこれ、さっき打ったんだけど
今ひとつな感じで・・・。」
と、さっき打った桜美と同型の刀を見せる。
「えっ!カエデ様、これ神刀じゃありませんか?」
あっ!しまった!僕、神格を持ってるから神刀になっちゃうんだ。まずいな・・。
スローライフ未来・・。
「はは・・そうなんだ。それ櫻ママにあげるよ。」
「いや、さすがに神刀は・・・。」
「それで、ツムギ婆ちゃんを助けてあげて。」
「それを言われると・・わかりました。大切に使わせてもらいます。
銘はあるんですか?」
「そうだなあ・・『櫻嵐』にするよ。でさ、小梅達の刀なんだけどこれじゃ
だめかな?」
そう言って、宗近と光世と数珠丸を見せる。
「3刀とも、すさまじい力を感じるんですが・・・。」
小梅は目をキラッキラさせている。
「蔵で眠ってたやつなんだけど、中途半端な刀を持たせるより最初からちゃんと
したやつの方がいいかなと思ってさ。それに、僕が打つと神刀になってしまう
みたいだから・・。」
「カエデ様は、神なのですか?」
「違うんだけど、神格を持ってるんだよね。」
「すごいんですね。」
「いや~、スローライフ未来には重荷?」
「確かに重荷ではありますね。小梅達には十分すぎる名刀ではありますけど
カエデ様のおっしゃってる事もわかります。小梅、どうします?」
「欲しい。」
「どれにする?」小梅は3刀とも実際に振ってみる。
「これ。」 おお、宗近か。見立て通りだ。
「了解。じゃあ今日から、それ使ってね。」
「ありがと。」
氷牙はなにも言わずニコニコ見ている。あれ?いつものパターンだと「俺も!」
とか言い出すかと思ってたけど・・。
「なんだ、カエデ?」
「いや別に・・。刀、いらないの?」
「いらないぞ。人化できるようになったの最近だし、刀は生み出せるから、
ほら。」 そう言って、刀を精製する。
「げっ!それ氷輪じゃん!」
「そうなのか?よくわからんし。」
氷牙パパ、アホで良かったかも。それ、いわばホワイトファングの刀版だから。
アホだけどすごいね。
刀問題は解決したし、あとはデザートを食べてお開きだ。フルーツパフェだよ。
「ウマウマ。」
「うまい!なんだこれ!」
「はあ、美味しいですね。」
満足してくれたようだ。
氷牙夫妻にワインを大量に持たせ見送り、あとかた付け。と言っても洗い物
とかは、ドムル君がやってくれる。
「ドムル君、また来るね。」
「はい、お待ちしております。」
「カモナ、イド君。ガーネットに戻ろう。」
「「かしこまりました。」」
「朝に着く感じで、まかせるよ。小梅、風呂いこう。」
「うん。」
2人でプールぐらいの風呂で、腹だしてプカプカ。
鍛冶ができなくなったなあ・・・。まあ、いざという時はやるけどね。
明日はカエデ課のダンジョン報告を聞いたらカモナで銃作りをしてしまおう。
風呂上りにコーヒー牛乳を飲んで寝る、身体強化は10分まで延びたけど
明日の筋肉痛は覚悟だ。おやすみなさい。
朝までぐっすり眠り、案の定、筋肉痛イテテテ・・。
「お早うカモナ、着いてる?」
「おはようございます。到着しておりますよ。」
「了解、ありがとう。小梅、食堂へ行くよ。」
「うん。」
食堂へ行くとカエデ課のみんなが揃っていた。
「おはよう。」
「おはようございます。」
「食べてから、話は聞くよ。」
僕は軽くサンドイッチとコーヒー、小梅は和食セット。ササッと済ませ、みんな
の話を聞く。
「ダンジョンの虫フロアーは、クリアーできました。」
「良かった。」
「やはり、皆の武具のグレードが上がったのと、先日のエルフとの戦いで
レベルも上がったようです。」
「けっこう昔の事に感じちゃうね。」
「次は12階層です。」
「了解、あせらずじっくり行こう。僕は今日、叔父さん達の銃を作るよ。
明日は帝都だから、よろしく。」
「わかりました。」
僕は自室に戻り、カモナのアトリエに行く。
「小梅は、どうする?」
「刀の練習。」
「あっ、イチとニイに刀を渡してない。呼べる?」
「うん。」 すぐに、イチとニイが来た。
「訓練場に行こう。刀を用意したんだ。」
光世と数珠丸を出す。2人は振ったり、握ったりして合うのを選んでいる。
イチは光世を、ニイは数珠丸を選んだ。見立て通りだ。
桜花に確認してもらおう。
「桜花、今いい?」
「大丈夫よ、食堂に居たから。すぐ行くわ。」
本当にすぐ来た。全員の刀を見せる。
「すごいわね、名刀中の名刀じゃない。神楽にあったやつ?」
「そうだよ。僕が打とうと思って試したんだけど、神刀になっちゃうんだ。」
「ああ、神格持ちだったわね・・。刀は別に桜美じゃないとだめって事はないわ。
でも、木刀は作り直すわね。重さと長さを合わせないと。」
「手間かけるね。」
「大丈夫よ、すぐできるから。」
「今日、任せていい?僕ちょっと銃を作るから。」
「いいわよ。」
「ありがとう、昼はカモナで食べよう。じゃ、よろしく。」
アトリエに戻り、銃作りを始める。まずはグレイスとマテバのシルバーからだ。
カモナが型まで用意してくれていたので、すぐできる。冷やしている間に
デザートイーグルの全部盛りを作る。銃作りは楽しいな・・あれ?
刀は神刀になる、やばいまさか銃も・・神銃に?神銃ってなんだ?
考えるのやめよう・・・。
午前中に3丁完成。昼を食べて、あとはマテバ2丁。
「小梅、昼にしよう。」
「うん。」
みんな、リビングに来た。思い思いの物を注文。
「桜花、どんな感じ?」
「そうね・・今は基礎を学んでいる所だから木刀で十分だけど、飲みこみの
早さは異常ね。」
「そう、本刀を用意しておいて良かったよ。ところで桜花、聞きたいのだけど
僕の打った刀が神刀になった話はしたと思うけど、それは他の物にも
あてはまってしまうのかな?」
そう言って、午前中に作った銃を見せる。
「そうね、これからも神気がでてるわよ。」
「・・・やはり、まずいかな?」
「別にまずくはないけど、普通の人が使うと気を失うわよ。」
まあ、兄さん達は大丈夫だろう。普通じゃないし。叔父さん達も神気に
慣れてるからオーケー。あれ?問題ないじゃん。良かった。
「欲しい・・。」
「えっ!ニイ、銃が欲しいの?」 うんうんと小梅もイチも頷いている。
「う~ん、桜花はどう思う?」
「刀と銃のスタイルは、あなたの影響なんだから教えてあげれば。」
「そう言われると、そうだよねってなっちゃうな・・。」
でもロングスライドはさすがに危ないな、グロックあたりなら・・・
「よし、じゃあ小型の銃を3丁作るよ。」
「4よ。」
「えっ!桜花も?」
「私も興味あるわ、中距離。」
「わかった、4丁作るよ。」
マガジンタイプだが霊力は問題ないだろう。
おいしく昼食をいただき、午後からは再び銃作りだ。
マテバとグレイスのブラック、小梅達のグロック。小梅とイチがシルバー、
ニイと桜花がブラック。まずは自分のマテバから、マウントできるパーツも
作ろうかとも思ったが、やはりマテバはシンプルが一番。
次は黒刀ゴーレムのグレイス、プププ・・・。ロバートさんではないが
僕の錬金術のレベルも上がってるようだ、ノーマル物だとサクサク作れる。
よし、完成。グレイスとマテバが揃うとなんか落ち着くな。
さて、小梅達のグロックだ。まず型を作る、錬金術でパパッと成形する。
そんなに複雑な機構ではない。ニイのグロックは男の子だから少し
ごつくしよう。ストライクフェイスだ。いろいろ試行錯誤をしながら
作るのも、また楽しい。そんな過程を経てグロック4丁完成。
鳩のロゴを刻印、いい出来だ。
「小梅できた、射撃場にきて。」
「行く。」 みんな、来た。
「完成したから試射してみて、調整するから。」
カモナに的を4つだしてもらう。桜花まで目がキラッキラ。
マガジンの交換とか安全装置のロックと解除、ブローバックとかいろいろ
教えて、いざ試し撃ち。
初めは反動に驚いていたが2,3発撃つと慣れたようだ。ど真ん中とはいかないが
的に当たりだした。さすがと言えるだろう。
それぞれ微調整をして完成。ホルスターは前にドミニクから貰ったポリマーに似た
なにかで作った。軽くてカチャンとはめるやつにした。ニイは自分のグロックの
ごつさに大喜び、やっぱ男の子だね。
僕も叔父さん達の銃を試射。作り慣れてるだけあって、不具合等いっさいなし。
全弾、ど真ん中に命中。デザートイーグルの反動やばい。
「ほへぇ・・。」 小梅を除いて、全員驚いている。
「練習すればできる様になるから。それとメンテするからたまに見せて。」
しばらく射撃の練習をしてたら、いい時間になった。
「カエデ、銃をありがとう。私も刀と銃のスタイルにするわ。」
と言って、桜花は消えた。




