SISTER
部屋に戻ると、小梅が腹出して寝てた。
「おかえり。」
「リリーさんへの伝言、ありがとね。」
「うん。」
夕食の前に報告したほうがいいな。
「カモナ、リビング広くしておいて。」
「かしこまりました。」
「小梅いこう、早く終わらせよう。」
「うん。」
小梅を連れ、執務室へ。
「来ました。」
「お疲れ様。うまくいったようね。」
「うん。ダンジョン側が協力してくれたし黒刀ゴーレムがすごかった。」
「黒刀ゴーレム?」
「まあ。映像があるから見ようよ。」
「カモナ、お願い。」
リビングに行き、みんなで上映会だ。カモナにコーヒーを淹れてもらおう。
えっ!カモナ・・。執事がおる。みんなも誰?って見てる。
「皆様、お初にお目にかかります。カモナでございます。
以後、お見知りおきを。」と優雅に一礼した。
「擬人化できたんだね。」
「はい、ドミニク様に、少々お手伝い頂きましたが。」
「会えて嬉しいよ。」
「わたくしもでございます。」
「早速だけど、映像お願い。」
「かしこまりました。」
「普通に会話してるけど、IAって擬人化するの?」
「ボタン先生、IAは進化すると擬人化するんだよ。」
「まじ?」
「まじ。さあ、黒刀ゴーレムの活躍を見よう。」
上映会は大盛り上がりだ。やはり、黒刀ゴーレムはすごかった。
普段あまり笑わないバート叔父さんですら、大爆笑してた。
今後、ゴーレムのお面はマストアイテムだな。さらに、勇者がモンスターに
ズボンを脱がされ悲鳴をあげるシーンは秀逸だ。アスカロンを掲げ「魅了」を
かけるシーンとのギャップが半端ない。
アスカロンが真っ二つに斬れるシーンも、うまくモンスターのせいに見える。
さすがに武神ヴァルがでてきたのは、皆驚いていた。マリア先生に似てるのだ。
会話は音声カットしてあった。ナイス!カモナ。
映像が終わり、バート叔父さんがまとめる。
「黒刀ゴーレム、ププ・・。カエデ、よくやってくれた。」
「黒刀ゴーレムじゃねえ!」
「エルシアには明日、早速、抗議をする。カエデ、ヴァル様はなんと?」
「勇者の謝罪と、アスカロンを回収するっていうのと、勇者おじさんから
勇者の称号を剥奪するって。それと、食堂に来るって。」
「「「えっ!」」」
「そうか・・。神殿よりも神々に会える食堂ってなんだろうなあ・・。」
バート叔父さんが、すごく遠い目をした。
「あっ、そうだボタン先生、イルマさんとミロさんのロッド、
バージョンアップしていい?」
「魔力が枯渇しない程度だったら、いいわよ。」
「マリア先生、アマネさんの剣10CM長くしたいんだけど・・。」
「アマネの?重くならないかしら?」
「重量は変わらないよう、ガークさんに調整してもらうよ。」
「なら、いいわよ」
「それと、ユキナさんのスローイングナイフを作るね。」
「あら、ユキナがスローイングナイフ使いって、本人から?」
「いや、動きを見てて。暗部に人の娘さんだよね。」
「そうよ。森でカエデちゃんに見つかって、落ち込む隊長の娘よ。」
「はは・・。」
「でも、スローイングナイフはコストがかかるわよ。」
「ちょっと考えがあって、ホルダーに細工しようかと。」
「おもしろそうね、できたら見せて。」
「了解。」
カモナの完璧な給仕でくつろいでいると、夕食の時間になった。
食堂に向かう途中から、いい匂いが漂ってきた。
「今日は、熟成肉の大放出だ。」
おお、それは楽しみ。お腹ペコペコだ。
食堂についたら、すでにカオス・・・。
従魔会が揃っている、小梅はそっちで食べる?了解。
大精霊チームもいた。皆、匂いに釣られたそうだ。そして、何より神々がいる。
月詠とヴァルだ。叔父さん達と共に2柱のいるテーブルへ。
叔父さん達がひざまつこうとすると、ヴァルが「不用です。」と制した。
話は後にして、まず熟成肉を堪能する事に。
まじ。うまい!これはドラゴンステーキを凌駕している。
ヴァルも驚いている。お酒にもあうらしい。
これは、カモナでも是非、食したい。
「かしこまりました。副料理長に製法を聞いて、用意しておきます。」
「ありがとう、カモナ。」 できる執事である。
ヴァルが立ち上がり、謝罪を始める。
「みなさん、この度はご迷惑をかけ誠に申し訳ありませんでした。
つきましては、庭に私の祠も作っておきましたので、全体的に
ふわっと加護がまわるようになります。それと、妹のマリアが
いつも大変、お世話になっております。今後とも、よろしく
お願いします。」
「「「「「えっえっーー!」」」」
食堂全体が驚愕に包まれた。マリア先生本人も、驚愕している。
なに、さらっと爆弾発言してんだよ!この女神は!
バート叔父さんが、復帰して尋ねる。
「ヴァル様、あの・・我妻マリアが妹だと?」
「そうですよ、だからあなたは私の弟君でもあります、バート君♡」
ププ・・・。バートきゅん・・・。ププ・・「いだだだ、痛いです!」
「あの・・ヴァル様、私が妹というのは、ちょっと信じがたいというか
なんというか・・・。」
「よしてよ、ヴァル様なんて。ヴァル姉でいいわよ。私とあなたは異母姉妹ね。
あなたは、神と人の間に生まれた半神ね。ちょっと人よりだけど、ちゃんと
神の力も使えてるわよ。」
納得した。本人は自覚してなかったと思うけど、全武器達人クラス。あのスピード
は人の域を超えていた。なにより、ヴァルとそっくりだ。あの力は加護ではなく
本人のものだったんだ。
驚愕のカミングアウトがあったものの、結局マリアはマリアだと皆、納得し
大宴会へ。いつも通りだね、それでいい。
「カエデここは気持ちのいい所ですね?妹も安心して任せられます。」
「そうだね。マリア先生は、ここになくてはならない存在だよ。」
「あなたにお礼をしないとですね。船を造るんでしょう?」
「そうなんだよ、リーファンから龍玉を貰ったから空も飛べるしね。」
「ならば、これを差し上げます。」アイテムボックスに何かが収まった。
「これは?」
「ミスリルに偽装した、ステルス素材です。」
「最新鋭ーー!でも、ありがとう!」
にしても、マリア先生の件でアホ勇者の件が吹き飛んだ・・
まさか、火消しのために・・。
「そんなんじゃないですよ。」
「それに、半神というのはそんなに、珍しいものでもないですよ。」
「そうなんだ、月詠。」
「ここには、もうひとりいますしね。」思わず、ボタン先生を見てしまう。
「正解です。私の姪ですよ。」
「おいおい・・とんでもないぞ。じゃ、ボタン先生は天照か須佐の娘なのか?」
「そうですよ、須佐の娘ですね。まあ、あれの娘や息子はたくさんいますから、
本人は人として生きてるんでしょうね。」
「カミングアウトは?」
「しませんよ。本人が人として生きる事を決めたのですから、口だしは
しません。 たまに様子は見にきますけどね。」
「ということは、第3世代は神の眷属が多い・・。」
「そうなりますね。」
「僕の兄と姉は、眷属ではないんだね?」
「違います。ただイレギュラーなだけです。」
「・・・・どっちもどっちだね・・。」
「さて、私達は帰ります。大変おいしかったです。」
ヴァルは、マリア先生を抱きしめてから消えた。
僕はマリンさんにお礼を言いにいく。
「マリンさん、ありがとう。今回は2度も助けられたよ。」
「役にたったのなら、なによりよ。」
「なんかお礼しないとね。」
「なら、クレープが食べたい。肉も美味しかったけど、やっぱり私は
クレープよ。」
「了解、すぐに作るよ。桜花も元気してた?」
「うん、夏月の所に毎日通ってるの。」
言われてみれば、なんかこう綺麗になったような、少女から女性になったと
いうか。突然、目の前から桜花が消えた。目にもとまらぬ速さでマリア先生と
ボタン先生が拉致っていった。さすが半神。さす半。
桜花のトレーニングの話を、真剣に聞いている。
「夏月さん、ガーネットに支店ださないかしら?」
「神楽に行ったら、交渉しましょう。」
「絶対よ。」
大人達の宴会は、まだ続くだろう。
お子様の僕は、風呂に入ってねる。
「小梅、風呂行くよ。イチとニイも連れてきて。」
「わかった。」
僕達は風呂で、いつも通り腹を出してプカプカ浮く。
イチに小梅とニイがつかまったと思ったら、イチが風魔法で進む。
あれは・・ジェット推進ではないか・・。
僕もやってみよう、しかし足から風は出せない。手からで代用だ。
シューと風が水を押しやる。両手で同じ出力にしないと真っ直ぐ進まん。
こ、これは、難しい。イチは器用だな、直進したりスラロームしたりしてる。
小梅とニイがキャイキャイ喜んでいる。
両手を一つにして、合わせちゃえばどうだ?やってみよう。腹の上で両手を
くっつけてみる。ドビュー!と急に出力が増しスピードアップした。
まずい、制御できない。ゴイーンと、したたかに頭を打ち湯船の底に沈む。
その衝撃で閃いた、しかし身体が動かん!やばい、死ぬ。と思った瞬間
ザバーンとなにかの背中で持ち上げられる。ニイだ。
「カエデはなにをやっておるのだ?」
「ご、ごめん。助かったニイ。」
たんこぶができちゃったよ。イタタタ・・・。
しかし、この痛みは無駄ではない、効率の良いジェット推進を思いついた。
明日、絶対ドルトさんの所へ行こう。ステルス素材もたんまりあるしグヘへ・・。
「おかしくなった?」
「いつもの事。」
「・・・・。」




