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GENTLE LIFE  作者: 一聖
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朝食の席で爺ちゃんと段取りの確認。


「爺ちゃん、驚いたり気絶したりで、けっこうヘビーだったよ。」


ごめんて、爺ちゃん。今日、終わるからさ。


「あっ、忘れてた。婆ちゃん、権じいが漬物が欲しいって。」


「わかりました。用意しておきます。」


さてっと、婆ちゃんじゃないけど、とっとと済ませますか。

受け渡しは道場で行う。念のため、桜花に結界を張ってもらった。

僕は蔵の奥に、厳重に封印してある紅桜を取りにいく。

蔵の中に入るとそこはカオス。すすり泣く声やら不気味な笑い声が聞こえる。

権じいからもらった結界石が常に光り、狸のホログラム(呪詛返し)が飛び交う。

その光景に思わず笑ってしまう。


「権じい、これはすごいよ。プププ・・・。」


紅桜のところにたどり着くと、いっそうタヌホロが飛び出してくる。


「やあ、紅桜。タヌタヌアタックはどうだい?」


紅桜は妖しくピンク色の光をはなっている。僕はいさいかまわず手にとり道場に

向かう。その間じゅう、タヌホロがずっと飛びまわっている。

タチバナの使用人の人達は遠巻きにそれを見て、思わず吹き出している。


「ナイスだ、権じい。こいつは負の感情が大好きだから、怖がられると

 調子づく。」


道場に入ると2人の子供と護衛の人達、そして爺ちゃん、婆ちゃんがいた。

タヌホロ達が、甲高い声で「タヌー。」「タヌー。」と紅桜に突っ込んで行く

光景を見て唖然としている。


「吉華様、リクオ様、はじめまして。ガーネット家次男、

 カエデ・ガーネットです。」


「あなたがカエデね、そのふざけた格好はなんなの?」


「すいません、気にしないで下さい。紅桜から僕を守ってくれてるので。

 どうぞ、紅桜をお納めください。」


吉華様は、びびって受け取ろうとしない。なにしにきたんだ、こいつは?

しょうがないので、リクオ君に渡す。リクオ君に渡す時耳元でささやく。


「早く都に戻った方がよろしいかと、途中で封印が破れると危ないです。

 吉華様が・・・。」


リクオ君は青ざめ、吉華様に何か言い。逃げる様に旅立った。

その後ろ姿に僕は合掌した。


「まだ、死んでませんよ。」


「でも、婆ちゃん。半分、封印が破れてたよ。」


「まじ?」


「まじ。まあでも藤家がなんとかするんじゃない?近くまで来てるし。」


「それなら、いいですかね・・。」


「いいの、いいの。紅桜の件は終了だね。」


あとはがんばれ、ひょんの爺ちゃん。僕は鴨蕎麦を食べに行く。


「カエデ、零と百合子を連れて執務室に来てください。従魔を渡します。」


おお・・すぐに2人を呼んで執務室へ向かう。


「さっきのあれ可愛かったですね、『タヌー、タヌー。』って。」


呪詛返しだけどね・・持ってた刀は紅桜だけどね・・。


「来たよ、爺ちゃん、婆ちゃん。」


「カエデ、お疲れ様。結局、全て解決したね。」


「全て思ってもいない決着だけど、誰も怪我してないし結果オーライだね。」


うんうんと爺ちゃんと2人、うなずく。


「零、百合子。今回の報酬の従魔です。」


「えっ?報酬?」


「カエデに頼まれていたのです。」


「え、でも私にはタヌ吉が・・・。」


「ああ零さん、それは母さんの伝え方が悪かったと思うんだけど、タヌ吉は

 婆ちゃんの従魔でガーネットの屋敷と領地を守護してるんだ。」


「だから私の言う事、全然聞いてくれなかったんですね。」


「百合子さんは、初従魔?」


「はい、師匠にまだ早いと。」


「タチバナ宗家からだから、問題ないよ。」


婆ちゃんは式札を2枚だし、魔力を流す。するとサーキッドの中心に、白い塊と

黒い塊が現れる。おっ、可愛いなー、豆芝だ。ちがう狛犬だ。白い方が零さんに

黒い方が百合子さんに近づいていく。


「それは狛犬です。神の使いですが神獣とは違います。今は子犬ですからたいした

 力はないです。しかし。大きくなったらあなた達の役にたつでしょう。」


「「ありがとうございます。」」


「うんうん、狛犬プリチー。さて、鴨蕎麦食べに行こう。」


念話にて「小梅、行く?」


「うん。」

「じゃ玄関集合。」


鴨蕎麦もうまかった。狛犬プリチーズもハグハグ食べていた、プリチー。

ここの蕎麦屋は全部うまいんだろう・・。ガーネットに出店してくれんかな。

帰りはみんなの所に顔を出して、明日の朝、ガーネットに帰る事を伝えよう。

近場から、まずは紅葉だ。


「紅葉、紅葉~。」


「あら、カエデ。踊り場ができたわ、見て。」テレビで見るやつだ。


「生徒とかは?」


「タチバナの人間の中に習いたい人が結構いて、すぐにでもって言われてるわ。」


嬉しそうだ、よかったよ。そうだ、紅葉の武器は鉄扇だったな。聞いてみよう。


「いい鉄扇知らない?お土産に頼まれててさ。」


「屋敷のお礼にもならないけど、私のあげるわよ。」


「本当?助かるよ。明日、帰るけどやってけそう?」


「ええ、教えるのがこんなに楽しみだとは思わなかったわ。」


「そう言ってもらえると、僕も嬉しいよ。酒呑もたまに助けてあげて。」


「わかってるわ。」


「酒呑と紫丹さんの結婚式の時にまた来るよ。」


「了解。気を付けて帰ってね。」


向かいにある酒呑と紫丹さんの屋敷に。


「酒呑、茨木ー。」


「おお、イカルガって・・すまんカエデだったな。」


「今さらどっちだっていいよ。」


「そうか・・世話になったな屋敷までもらっちまって。」


「いいっていいって、使う気なかったし。ルミナとうまくやって、それと

 お酒を造れる部屋もあるから、いろいろ試してみて。」


「まじか、それはいいな。」


「あと、武器庫に入ってるのも好きに使って。」


「わかった。明日出発か?」


「そうだよ。結婚式には来るからさ。」


「おう、待ってるぜ!」


「茨木は建築現場?」


「かかりっきりだ。活き活きしてるぞ。」


「それは、良かった。よろしく伝えておいて。」


次は夏月のところだ。


「夏月、夏月ー。」


「おお、カエデ。明日、帰るんだって。昔も世話になったが、今回も世話に

 なったな。」


「いいっていいって、たまにでいいから婆ちゃんを助けてあげて。」


「あい、わかった。それと、これを持ってゆけ。ツムギの孫に弓を使う奴が

 いると聞いてな。」


「これって、月天弓じゃん。いいの?」


「ああ、倫光があるし、もう使う事もないだろう。」


「ベル姉に、いいお土産ができたよ。ありがとう。」


ホクホク顔でタチバナの屋敷へ戻る。零さんと百合子さんに明日の朝、出発

することを伝え、解散。その足で執務室へ。


「ただいま、爺ちゃん、婆ちゃん。」


「ああ、お帰りカエデ。」


「これを権之助に。あとこれをボタンとマリアに渡しておいて下さい。」


婆ちゃんから樽を3つと、うん?これは?


「夏月のところの、優待券・・・。」


「爺ちゃんからはこれを。シュリの奴に渡して欲しい。」


お札だ。封印術に使うんだろう。


「了解。他になんか伝える事ある?」


「酒呑と紫丹の結婚式には必ず出席せよ、と伝えてくれるか。シュリも酒呑や

 他の鬼達に会っておいたほうがいいだろう。」ああ・・将来のためか・・。


「タケル兄と華姉は?」


「学園があるし、今回はいいだろう。」


「了解。父さん達は来るかな?」


「一応、連絡はしてみるが、難しいだろうね。」


「帝都での件は、しばらく掛かりそうだしね。」


「カエデ、爺ちゃんも婆ちゃんもいろいろ驚きの連続だったけど、カエデはカエデ

 と思う事にしたよ。スローライフにも協力するしね。」


「ありがとう。父さんと母さんはどう思うかわからないけど、ガーネットの

 みんなも協力してくれてるよ。イカルガの事は話してないけど・・。」


「今はそうほうがいいと思いますよ。見た目は7歳児ですし。」


挨拶も終わり、夕食までひと休み。


「小梅、短くてごめんよ。」

「大丈夫。」

「また、こなくちゃいけないしね。」

「うん。」 少し嬉しそう。

「夜はお寿司だって、楽しみだね。」

「うん。」


ガシガシガシ、ん?扉を引っ掻く音がする。開けてみると

狛犬プリチー1号がいた。


「迎えにきたの?」

「あんっ。」


1号を抱きかかえ、小梅を肩に乗せ食堂へ。みんないた。鬼達も、紫丹さんも

料理長も。夕食という名の宴会だ。とても楽しかったし旨かった。

では皆さん、しばしの別れです。


朝、皆に見送られ、帰路についた。


「今日は、桜花のところで野営だね。」


「そうですね。カエデ様、いまさらですが本当にありがとうどざいました。」


「ん?なに?」


「今回の旅で、私達は少し成長できたと思います。それに従魔まで。」


「名前はつけたの?」


「はい、私はイチと。」


「私はニイですよ。」


「ぶっ、1号と2号じゃないか!」


「ウフフ・・可愛くていいじゃないですか。」


「あんっ。」


「・・・。」あれ?ニイ?


「ニイは。無口なんです。」渋いな、ニイ・・。


小梅がちゃんとお姉さんをして、面倒を見ている。偉いぞ、小梅。


「あー、櫻ママと一言も話せなかった。」

「大丈夫、わかってる。」

「今度来たとき、ちゃんと話すよ。」

「うん。」


来る時、いろいろ起こると思って考えながらの道中だった・・・はず。

あれ?結構、楽しんでたな・・。一応は、解決したし帰りは気楽だ。


「あの・・カエデ様。のほほんとしている所申し訳ないですが、シュリ夫妻や

 バート夫妻に説明する事、多いですよ。神楽の事はもちろん龍神丸の事も

 桜花様の事もあるんですよ。」


「やめてよ、百合子さん!絶対、頭ぐりぐりされたりアイアンクローの

 未来しかないじゃないか・・そうだ!美智子さんを誘って世界一周の旅に。」


「「だめです。」」


むう・・だめか・・。しかし、考えてみれば別に悪事を働いた訳ではないし。


「龍神丸はパワーアップしたし、みんなの龍ポンだって、いい事であって

 悪い事ではないだろう?」


「龍神刀。」


アウトだ。龍神刀は鈴音クラスだ、7歳児が持っていい刀ではない。使ってないが

おそらく一振りで山のひとつ位は消し飛ぶだろう。


「あの、レイさんリリーさん、黙っといてくれるというのは?」


零さんは微笑んでいる。百合子さんは、手の平を差し出した。


「グッ、何が望みだ。春日部!」


「カエデ様が学園に行く時、零だけでなく私も連れていって下さい。帝都で

 暮らしてみたいんです。」


う~ん、別に構わないが。まてよ、2人もメイドがついていれば、こいつは

手のかかるダメダメ坊ちゃんと思われるかも・・いいぞ。


「わかった、約束しよう。」


ミスリル剣は、結界になる桜の花びらの刻印がついただけ・・問題ない。


「大精霊・・。」ツーアウトだ。精霊が視えてるのばれる。


「夏月さんのフィットネスクラブ、酒呑さんと紫丹さんの婚約、茨木さんの寺院、

 紅葉さんの舞踏教室。きわめつけは、紅桜を将軍家と藤家におしつける。」


「・・・。」 スリーアウトチェンジだ。


僕の頭はもつだろうか・・僕がぬらりひょんになっちゃうかも・・・。

ええい、ままよ!


「あっ、開き直った。」だまらっしゃい、春日部。


そんなこんなと言い合いをしてる内に、桜の大木に着いた。


「おーい、桜花。」


「なに?」


「神楽で手伝ってもらったお礼に、燻製とプリンを作るよ。保管できる?」


「できるわ。洞にいれて。洞は次元ポケットよ。」


「了解。」


僕は燻製、零さん達は大量のプリンを作ってもらう。

さあ、火を熾そう。ファイヤースターターのマグネシウムの火の粉、最高!

焚火が育っていくのを「ぐへぐへ」言って見ていると、みんなから白い目で

見られた。


「あれ、放火魔の目よ。」 


「ちゃうねん!僕は火が好きなわけではなく、焚火が好きな系男子だよ!」


「・・・。」


シュリ叔父さ~ん、男のロマンが死にそうです!


「カモナ、燻製は何があうんだろう?」

「はい、主食というより、お酒のあてっていうところです。」

「う~ん、じゃあパスタを茹でといて。アラビアータを作るよ。

 あとバケットも。」

「かしこまりました。」


僕は燻製を大量に作るために、アースコントロールで小屋を建て、肉やら

腸詰めやらチーズやらをぶらさげる。

桜のチップを敷き詰め燃えないように、穴の開いた床を設置。

1時間くらい燻せば完成だ。サラダも作っておこう。


「できたよー。」


アラビアータとサラダ。燻製はオードブル風に。いただきます。


「燻製とワインがなんとも・・。」

「ウマウマ。」

「トマトソース、うめーっす。」

「全部おいしいわ。あとワインも。」

「あんっ。」

「・・・。」 ニイ・・・。


満開の桜を見ながら、ゆっくり夕食を。最高だ!


「今日は見張りいらないから、たくさん食べて飲んで。」

「まじ天国!」 そうだな、春日部。たしかにそうだ。


「桜花、プリンもあるけど食べ過ぎないようにね。」


「大丈夫、夏月のところへ行く。」 さいですか。


さて、お子様の僕は、風呂に入って寝よう。

かた付けは、零さん達とカモナがやってくれる。

しかも、桜花とカモナのダブル結界だ。

おやすみなさい。

















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