HIGHROAD
神居の港に入港、もちろん専用のドックだ。
美智子さん達はここで待機しながら、ガーネット行きの荷物を積んだり
商談したりと忙しい。
「カエデ様、では9日後に。貴重な体験もしましたし、楽しかったです。」
「こちらこそ、本当に楽しかった。帰りも楽しみだよ。」
と握手して別れ、僕達は爺ちゃん達がいる神楽へと向かう。
「零さん、百合子さん、必要な物はこの街で買ってしまおう。僕と小梅はお菓子
を、2人はお酒を買って街道の入り口に集合ね。」
いや~さすが日本っぽい国、スナック菓子がたくさんある。大量に買い込む。
残っても龍神丸でもガーネットでも食べれるしね。ブラブラしながら鉄扇
なんかもチェック。見た目は綺麗なんだけど、今ひとつ。神楽にあるかな?
集合して神楽へゴーなんだかんだ楽しみだよ。特に焚火。今回は僕の
わがままで徒歩だ。しばらく歩いていると
「尾けられてる。」
「だね。零さん、百合子さん歩き出してまだ30分だ。早くない?」
「女2人と子供と子猫・・鴨ですね。」
「物盗りでしょうか?」
「まっ、面倒だから襲ってこないかぎりは無視の方向で。」
「わかりました。」
「けっこう、人の行き来があるんだね。」
「そうですね、今向かってる『丸吉』、次の『菱尾』までは人の流れは
ありますね。」
「となると、どの辺で野営するのがいいかな?」
「このペースですと、『丸吉』の手前がいいですね。」
「了解。水辺がいいんだけど、川か湖ってある?」
「丁度いい川があります。」
「じゃあ、今日はそこで野営しよう。」
僕らは完璧に尾行を無視して進み、零さんの先導で夕方くらいに川のほとりに
着いた。もうワクワクが止まらない。
「カモナ、お米よろしく。それとモニターも。」
「かしこまりました。」
「零さんと百合子さんは中でサラダとスープをお願い。たまにモニターも見て。」
「了解です。」
さあ、焚火だ。シュリ叔父さんに教わったとおりにかまどを作り、薪を集め
スタンバイオーケー。着火はファイヤーボールでなど無粋な真似はせず、
ファイヤースターターで熾す。麻紐をほどいて種火にする。カシュカシュと
火花を飛ばして着火!おぉ・・感動だ。薪を追加して火を育てる。最高だ!
小梅もカモナに入らず、じっと火を見ている。
「落ち着くね。」
「うん。」
今夜のメインはラムチョップだ。1人2本くらいは食べれるだろう。もちろん、
秘伝のタレで下味をつけて金網で焼く。油が火に落ちジュウジュウいってる。
「うまそうだ。」
「うん。」
皿にもりつけて、いっしょに焼いたジャガイモにオレガノをかけて完成!
「できたよー。」 外で食べよう。
零さん達がサラダとスープを持って出てきた。それと飲み物。大人は赤ワイン。
みんなで焚火を囲んで、いただきます。
「うまい!」
「ウマウマ。」
「おいしいですね。」
「ワインがすすみます。」
「炭焼きで遠赤外線だからね。」
楽しく美味しい食事が終わり、ランタンの優しい光の下で、お茶を飲む。
川のせせらぎ音も最高だ。
「さて、夜襲100%だけど、どうする?カモナの迎撃システムで事足りるけど
龍神ウエポン、試しとく?」 2人はうなずく。
「1人くらい、捕えて調べましょうか?」
「いや、それはカモナがやるから大丈夫。遠慮なくぶちのめして。」
「「わかりました。」」
僕達は外のあとかた付けをし、食器はカモナが自動洗浄、焚火は明日も使うので
そのままでオーケー。テントの中に入り、モニターを見ながらくつろぐ人と
お風呂に入る人にわかれ、思い思いに時間を過ごす。お子様は寝る時間だ。
おやすみなさい。
さすがに歩き疲れたのか、朝までぐっすりだった。朝食はパンチェッタの
ベーコンエッグ。カモナ特製焼き立てパン。サラダとコーヒー。昨夜のうちに
レバーバテも作っておいたから好みでどうぞ。
種火が残っていたので、すぐに火が熾きる。人数分のスキレットでベーコン
エッグを作る。パンチェッタは厚めに切って、スラッガーバードの卵は大きい
から1個で十分だ。ジュウジュウ焼けるベーコンエッグからいい匂いが
たちこめる。
「そろそろ、できるよー。」
中から他の物を用意した、みんなが出てきて簡易テーブルに並べる。
いただきます。うん、うまい。朝の優しい木漏れ日がまた最高だ。
「ウマウマ。」
「なんというか・・たまりませんねえ・・。」
「私、カエデ様んちの子になる。」 おい、春日部。
ゆっくり朝食を楽しみ、カモナの中でコーヒーを飲みながら夜襲の話を聞く。
映像も見せてもらう。
「やばかったです、龍ポン。」
「襲ってきたのは20人あまり、人といっていいか不明ですが・・。」
「盗賊じゃなかった?」
「はい、組織的に動き忍法も使ってきました。」
「忍法?忍者っているの?」
「もちろんいます。ただ、この者達が途中、鬼に変化して。」
「それが忍法なのか、まじ鬼なのかが・・。」
「瞬殺。」 と小梅が。
映像を見て、確かに瞬殺だ。けど、忍者DE鬼もけっして弱くない。
龍ポンすげえな・・零さんも百合子さんも元々強いけど3割増しだ。んっ!
これは・・。
「カモナ、鬼の刀をズーム。」
「これは・・。暗くてわかりませんでしたが、タチバナの紋章・・。」
「う~ん、事情はわからないけど、タチバナの関係者なのかな?」
鬼達の動きを見て何かひっかかる。現状の情報量でわかる事も少ないし、龍ポンも
含め僕ら、そこそこ強いし。面倒くさい考えるの止めよう、来るなら来い。
僕は全力で野営を楽しむぞ。
「今のところ、襲ってきたらなぎ倒すでいいかな、相手の話も聞く気ないし。」
「わかりました。」
「よし、出発しよう。零さん、マリア先生から鉄扇を頼まれてるんだけど、
産地とか知らない?」
「鉄扇があるかわかりませんが、明日通過予定の『菱尾』は扇が有名です。」
「了解、捜してみるよ。ここはなにが有名なの?」
「木工ですね。そばに大きな山林があり、木材が豊富なんです。」
「トレントとかいないの?」
「たくさん、いますよ。それは和弓や弓の素材になってますね。」
ベル姉は弓を使うんだったな。いいのがあればお土産にしよう。「丸吉」に入り
さすが木工の街、木の匂いが漂っている。野菜など軽く補給。弓を見るのは帰り
にしよう、ほぼ素通りで「丸吉」を抜けまた街道に入る。山をひとつ越えなけれ
ばならないのだ。
「山道で襲ってくるかな?」
「ええ、おそらく。人目が少ないですし、この山越えは難所のひとつです。」
「次は僕も参加するよ。このミスりルの剣を使った事がなくってね。」
「わかりました。私達は援護にまわります。今夜の野営地なんですが、山を
越えると湖があって、そこにキャンプ場がありますので、そこまでは
今日中にたどり着きたいですね。」
山道に入って行く、この苔むした世界はまるで熊野古道だ。元が日本人だからかな
妙に落ち着く。そんな神聖ささえも感じる道をひたすら登る。前から修験者の
集団が降りてくる。10人か・・。
「くる!」
修験者が襲いかかってきた。ファイヤーボールが飛んでくる。山火事になったら
どうすんだ、コノヤロー!僕はミスりルの剣で全部消した。さすがアンチマジック
小梅が木を操って、2人を串刺しに。パワーアップ小梅。負けられないな、剣は
苦手だがこの程度の相手に遅れもとるまい。10番目だし・・。
「とうっ!」と突っ込んで行く、あ、あれ?遅れとりそう・・。百合子さんが
飛び出しそうなのを、零さんが止めている。なんとか2人倒し、残り6人となった
ところで奴らが変化しだした。おっ!天狗になるんだな!
「ウッウッ。」うっ?
「ウッウッ、ウォ~ン!」
「・・・。ワーウルフじゃねえか!」なんか脱力。もういいや。
マテバに銀弾のシリンダーを入れ、ヘッドショット6発。終了。
「なんだよ、ワーウルフって!このシチュエーションで修験者なんだから
天狗になろうよ!」
「カエデ様、なにに切れてるかはわかりませんが、お見事です。ところで
アンチマジックはともかく、その銃はなんですか?」
「ダンジョンの報酬。今は銀弾を使ったよ。」
「銀弾・・。だからワーウルフが・・・。IAではないのですか?」
「ただの銃だよ。」
「IAのサポートなしで、あの精度・・・。」
「まあ、銃は趣味だからね、キャンプといっしょ?」
「・・・・。」
「もう1丁、別なのがあるから機会があれば見せるよ。」
「わかりました。非常識なのが・・・。」
その後は順調に進み、頂上でランチ。カモナに頼んであったおにぎりだ。
頂上からの眺めも最高!さあ、あと半分だ。
下山は順調、特に襲撃もなく熊野古道に似た景色を楽しんだ。
次は昨日と同じく、おそらくは夜襲。なにが来るかな?




