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GENTLE LIFE  作者: 一聖
31/322

DEPARTURE

朝、ランニングとSBで素振りをして、朝食を食べ玄関に集合。

皆、見送りに来てくれた。


「チャクラムの練習も忘れるな。」

「いいカエデちゃん、殺られる前に殺るのよ。」

「絶対『紅桜』には近づくな。」

「寝る前にちゃんと、トイレに行くのよ。」


等々のありがたいお言葉を頂戴し、馬車で港へ。そのままガーネットのドックへ。

楽だわー、貴族の特権最高ー。どれどれ、家の船は?あった、これは・・。

クルーザーと潜水艦を合わせたような形だ。とてもSFチックだ。

レイさんとリリーさんは慣れたもので、どんどんタラップを昇っていく。

僕は外観を眺めていたので、少し遅れて船内へ。入り口でポンキュポンの女の人

が出迎えてくれた。


「はじめましてカエデ様。この船の責任者を任されております、グロリアと

 申します。以後、お見知りおきを。」


まさかの女船長。しかし、考えてみればこのSFチックな船にジャック船長は

似合わない。けど、バレルロールはしないでね。


「こちらこそよろしくお願いします。」


握手を交わす僕達。で、でかい・・。ドミニククラスだ。

特に荷物もないので、すぐ出港だ。音もなく滑り出していく、スーって感じ。

すげえな魔導エンジン!

船内の案内をしてくれる、ブリッジも近代的だ。船長をいれて4人、少な!

でもこれで十分だそうだ、IAもあるし。僕達の泊まる部屋も広い、1人1部屋。

食堂も人数の割には広い。料理長が挨拶してくれた、屋敷のダニエルさんとは

同じ所で修行したそうだ。「昼食、楽しみにしててね。」との事、了解。

ちなみに、料理長ふくめクルーは全員女性だ。特に意味はなく、たまたま

そうなったそうだ。ガーネットとタチバナの人間が主に使うのだが、それ以外は

輸送船の護衛をしたり、船底の倉庫が広いので荷物を運ぶ事もあり結構

忙しいらしい。今回も神居へ結構積んでいる。航路もガーネット、神居間だけ

ではなく、帝都にもしょっちゅう行くそうだ。両親、兄姉達も陸路はほとんど

使わず、この船を使っているとこ事。海路の方が快適だからという理由だ。

そりゃそうだろう・・。キャンプが好きな僕は、陸路も好きだけどね。

嵐や風で海が荒れても、潜航して進むので特に問題はないと。すげえな、まじで。

海賊とかモンスターは?と尋ねると、海賊船ごときでは追い付けないスピードと

潜航して魔導砲で穴を開けられるので、逆に恐れられて近づいてこない。

モンスターはいるにはいるが、理由がないと襲ってこない。この海域は豊かで

わざわざこんな硬い物を食べようとしなくても、食料はいっぱいある。

いや~、超最高。まったり船旅だ。ただだしね。


今日は天気も良く波も穏やかなので、早速甲板に出てみる。青い海と青い空。


「気持ちいいね。」

「うん。」


昼食はここで海鮮網焼きプラス刺身の盛り合わせ、おお、すばらしい。しかも

炭焼きではないか・・。操縦はIAに任せ、みんなで食べよう。


「いただきます。」


うっおー、ホタテうめー。エビ、プリップリ。マグロの刺身うめー、タコの

アビージョうめー、イカ焼きうめー、ブイヤベースうめー。全部うめー。

小梅も「ウマウマ。」


「なんかあれだねえ、ここに住みたくなるねえ。」


「ぶっちゃけ、カエデ様はそれが可能です。実際、使い切れない不労所得も

 ありますし。」


「この船の小型版のプライベートシップ、作ろうかな・・。」


「・・・カエデ様は7歳と聞いておりますが?」


「そうよ、美智子。」あれ?グロリアさん・・。


「美智子さんも神居出身なんですね。」


「もう、春日部ったら・・。そうですよフルネームは合田 美智子です。」


おふぅ・・ごつい。グロリアどこにもないし・・。


「零さん、百合子さんと幼馴染ですか?」


「そうです、腐れ縁ってやつですね。」


「なるほど。」


「カエデ様は、船乗りにでもなりたいんですか?」


「違うわよ、パティシエよ。」


「零、違うわよ。武器マスターよ。」


「全員違うから、僕は学園を卒業したら世界中を旅するんだ。」


「Sランクと魔人を瞬殺するのに・・・。」


「殺してないよ!」


「ダンジョンで50人レイドを壊滅するのに・・・。」


「それは、バート叔父さんがノリノリで!とにかく、僕が目指してるのは

 中の中の中、平凡で目立たない穏やかなスローライフ未来。」


「あの・・カエデ様、そんな中の中の中の方がプライベートシップを

 持つものでしょうか?」


「美智子さん・・もっともだよ・・・。」


午後からは釣りをしたり、ぼーっと海を見たり船内を探検したりとあっという間に

夜だ。お風呂に入り、夕食はカレー、海軍カレーだ!シュリ叔父さんのカレー並み

に旨かった。料理長にお礼を言って、夜の海を見に再び甲板にでる。

海を見てると、光の一群が通り過ぎて行く。ホタルイカかな?

その光景は幻想的で美しかった。


「美智子さんにはああ言ったけど、プライベートシップ作ろうか、やっぱ。」

「うん。」

「お金を貯めよう。」


新たな目的が増えた。隠し口座を作ろう。

部屋に戻り、プライベートシップに思いを馳せ、僕達は寝た。


翌朝、ランニングは無理だけど、せめてSBの素振りをしようと甲板に出た。


「おはようございます。」


みんないた。たしかに広いとはいえ、運動不足になるよな。思い思いに体操を

したり、素振りをしたり軽く打ち合ったりしている。

おっ、料理長はシミターだ、美智子さんは薙刀だ。

僕も素振りを始める、この重さにも慣れてきたな。身体強化なしでいけるかも。

小梅はクナイをだして、うんうん唸っている。なにしてんだ?

後で聞いてみよう。軽く汗をかいて、朝食だ。ビュッフェスタイルだね。

好きなものを取っていく、小梅にも聞きながら取っていく。うまい!

料理長はスゴ腕だな、シミター使ってたし。

食べてると、美智子さんがやってきて、


「今日は潜航して進みます。海の中も見て頂きたいので。」


「ありがとう、それは楽しみです。」


「後程、ブリッジに来てください。」


「了解しました。」


食べ終わり、部屋で一休みしてブリッジへ。零さんと百合子さんもいた。


「潜航して進むのは、私達も初めてなんです。」


「では、潜航します。バラスト注入、潜水。」


船はゆっくりと沈んでいく。そして見える海の中の世界。

しばらく僕達は、話す事も忘れ、その世界に目を奪われていた。


「これは・・すごいね。」

「すごい。」

「綺麗だねえ。」

「うん。」


これは絶対、プライベートシップを手に入れよう。しばし魅入っていた僕達は

我にかえり、それぞれの部屋に戻った。部屋からも見れる、小梅は窓に張り付いて

じっと見ている。僕は明日の神居入りの前の現状確認。

まずIA、デル君、シノさん、夕霧、ラムさん、カモナ。通常の武器は、蜻蛉、

SB、グレイス、マテバ、ミスリルソード。カモナはともかく、武器だけで

ワンマンアーミー。どうして、こうなった?適材適所で目立たないように使おう。


「カモナ、射撃場はできてる?」

「はい、できております。」

「誰かきたら、教えて。」

「かしこまりました。」


カモナは進化して、テントを張らずとも出入りできるようになった。入り口だけ

ある状態だ。小梅を肩に乗せ、カモナに入る、見慣れた僕の家って感じだ。

廊下を進んで突き当りに「射撃場」の表札があった。中に入ると意外に広い。

早速、的をだしてもらって銃を撃つ。両方とも問題なし、シルバーバレットは

使う機会あるのか?さすがにワーウルフとかは、でないだろう。


「デル君。」

「イエス、マスター。」 銅貨を3枚、入れる。

「デル君、今まで最高で銀貨だけど、今回はもしかしたら金貨使うかも・・。

 壊れるかな?」

「・・どうでしょう?私も試した事ありませんし。」

「まあ、なるべく使わないようにするよ。」


炎弾、氷弾、雷弾を試す、問題なし。


「シノさん。」

「イエス、マイロード。」

「フルメタルジャケット。」

「イエス、マイロード。FJアクティベイト。」


ドンッ、的が粉々に。よし問題なし。飛び道具オーケー。

小梅を見るとクナイを飛ばしていた。へっ!どうやって?よく見ると尻尾で

飛ばして時ポに出し入れをしている。考えたな、偉いぞ小梅。


「零様が、おみえです。」 部屋に戻る。


「カエデ様、海竜が近づいて来てるので、浮上するそうです。」


「海竜?」


「はい、滅多に無いことらしいのですが・・カエデ様がいますから?」


疑問形!僕、トラブルメーカーじゃないといいなあ・・。


「了解、戦闘になる?」


「わかりません、通り道が重なっただけかもと、美智子が言ってました。」


「ブリッジに行く。」


船内に警報が響いている。ブリッジに行くと、みな緊張の面持ち。


「海竜だって?」


「はい、滅多にないというか、私は初めてです。」


「シノさん、スコープ。」

「イエス、マイロード。」


海竜のいる方向を覗く、えっ!海竜ってあんなでかいの?あれ、あの鱗と角・・。


「近づいてきます!」


「砲撃準備!全艦砲ロック解除!」


「ストップ!ストップ!待って撃っちゃだめ!」


僕はあわてて止める。なんでこんな所に・・。ていうかやっぱ僕、

トラブルメーカーかも。ごめん、みんな。僕の知り合いだ。


「なつかしい気配がする。」


突然、念話が僕達の頭に響く。海竜が頭をもたげる、不思議と波は立たない。

でかすぎて船が小舟だよ。まったく・・。


「リーファン、僕だ。」


「んっ!楓か・・楓なのか?」


「そうだ、久しぶり。」


「久しぶりじゃ、甲板に降りるから出てこい。」


「了解。」


「カエデ様?」


「美智子さん、危険はないから料理長にBBQの準備をしてもらって。肉で。」


「わかりました。」


甲板に出ると、そこには着物を着崩した、妖艶で美しい女性がいた。


「リーファン!」


「んっ!なんじゃ童。楓はどうした?」


「僕が、楓だ。」


「なんと!うむ・・確かに弱っちい楓の気配がする・・成る程、そういう事か。」


「弱っちい言うな!まだ7歳だ。」 念話で


「頼む、リーファン。僕に話を合わせて。」


「わかったのじゃ。」 皆にリーファンを紹介する。


「母さんの友人のリーファンさん。彼女は・・龍神だ。海竜って言ったら

 しばかれるから、注意してね。」


皆、顔の色がなくなる。そりゃそーだ。

ばたばたとBBQの準備をし、宴がはじまる。

リーファンは僕を膝の上に乗せ、終始ニコニコご機嫌だ。


「いいのう、いいのう小さい楓。」


ここにもショタ好きがいた。ドミニク2号。

初めは緊張していたみんなも、気さくなリーファンの態度に、打ち解けてきた。


「なんでリーファンはこの辺に?」


「うむ、日課の水脈の確認じゃ。移動中になつかしい気配があったから

 見に来たまでじゃ。して、小さい楓はどうして海におる?」


「小さい言うな!神居に向かってるんだ。小梅の両親と僕の祖父母に会いに。」


「小梅?そこにいる雷猫の事か?そうか、神居か・・弱っちい楓だと死ぬぞ。」


やめて!リーファン、それもうフラグじゃないじゃん。確定じゃん。断定じゃん。


「小さい楓に死なれては、だっこできなくなるのう。よし、これを持っていけ。」


と言って渡されたのは「龍神刀」・・。あぁ・・スローライフが遠ざかっていく。

しかし、7歳で死ぬよりはいいか。


「あと、小梅。ぬしも弱っちいのう、我の力を少しくれてやろう。」


「うん。」


「なんか、めんどうになってきたのじゃ。」


そう言ってリーファンは、ここにいる全員に加護をつけた。みんな唖然としてる。


「BBQの礼じゃ。楓、その刀を持っておれば居場所はわかる。もしもの時は

 呼ぶのじゃぞ。」


僕を抱きしめ「ウホッ。」と言って、天に昇った。海じゃねーのかよ!

あと「ウホッ。」ってなんだよ!変態か?変態だな。

しばし無言の時が続く、そりゃそーだ神との邂逅は慣れないと疲れるのだ。

僕は神格持ちだから平気だけど。そろそろ起動してもらわないと到着が遅れる。

柏手を打って神気を散らす。


「さあ、中の中の中、めざそーかあ!」


「できるかあ!」と総つっこみを頂戴する。


昨日の龍神との邂逅を終え、疲れ果てて眠った翌朝、それぞれの変化を確認する

事にした。僕は「龍神刀」。言わずもがな現存する刀の中では最強だ。しかも

リーファンとパスで繋がっている。小梅は自然現象を攻撃に使えるようになった。

これはめちゃくちゃえぐい、えぐすぎて怪獣大戦争以外使えない。

零さん達はIAが進化し、龍の模様が施された。みな超カッコイイ。驚く事に

この船にも変化があり、両側面に龍の柄がついた。そしてパワーアップ、

夕方に神居に着く予定が昼には到着する。この船には名前がなかったが、龍神に

敬意を表して「龍神丸」と命名、なんか大漁が約束された気がする。

その辺の事は、僕がガーネットに戻ったらバート叔父さんに報告する。ブルー。


「突然の事でびっくりしたけど、貰っちゃったもんはしょうがない。大いに

 活用しようではないか!」


「おまえがいうな!」と再び総つっこみを頂戴し解散。上陸準備に入る。

僕は部屋で考え事、「龍神刀」が必要になる事態が起こるんだろうか?

とにかく命大事に慎重に行動しよう。


「カモナ、訓練場も作っておいて。」

「かしこまりました。」


さて、残りわずか、船の旅を楽しもう。しばらく、甲板で海を眺めていると

大陸が見えてきた。あれが神居だ。


「あれ?」


僕は目を擦りもう一度見る。ここはピーカンなのに神居はどんよりしてる。


「小梅。」

「どよ~ん。」


そうだよね、不吉。まあどうせいろいろ巻き込まれそうだし、メインの目的は

小梅を両親に会わせる事だ。それ以外の事は適当に済ませて、とっとと我が

ガーネット領に帰ろうではないか。鬼も紅桜も恐るるに足りん!


「グワッ八ッハッハッ。」

「きめえ。」 久しぶりの梅ツン。




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