ARMED
部屋に戻り、結界石をネックレスに加工。これ、すげえな・・。石の中の
サーキッドをじっと見ていて気が付いた。・・・そういう事か・・。
考え事をしてるとリリーさんが呼びに来た。小梅と食堂へ向かう途中、
「私、カエデ様んちの子になる。」
「春日部は、何を言っておるのだ?」
と会話している間に食堂に着いた。皆いるな、おっ!パエリアだ。いい匂い。
小梅に魚貝とライスをバランスよく盛って渡す。
「ウマウマ。」 活躍したしね。シュリ叔父さん、今日も最高っした。
「さて、カエデ。詳しく話せ。」 ですよねー。
「・・Sランク君が、魔剣デュランダル、魔人さんが魔槍ニーズベック
でバトル。ほっとくと、ロバートさんの工場だけでなく、街が滅茶苦茶に
なると思いデル君で速攻、眠らせ小梅と権じいに頼んで、街の外に
ポイッしました。」
「聞きたい事が山ほどあるが・・そうだな「権じい」とは誰だ?」
シュリ叔父さんを見ると、うなずいたのでちゃんと話す事にする。
「権じいは、ツムギ婆ちゃんが領地と屋敷の守護を頼んだ鵺だよ。」
「「ブーッ」」あれ?なんでシュリ叔父さんまで吹いてんの?
「鵺だって!レイの従魔のタヌ吉君じゃないのか?」
「狸に領地と屋敷、守れるわけないし黄金狸なんているわけないでしょ?」
「・・・・。」
「カエデちゃんは、知ってたの?」
「うすうすは、でも確信したのはついさっきだよ。これ見て。」
僕はネックレスをはずし、ボタン先生に渡す。ボタン先生はまじまじと観察して
「何よこれ・・・こんな事できるの・・。」
「これは権じいがお菓子のお礼だと言って、よこした物だよ。神居に行くのに
必要だって、同じ石を清春爺ちゃんに届けてくれって。これ、呪いから身を
守ってくれるだけでなくて、オートで呪詛返しするんだって。」
「・・・・。」
「でも、気付いたのはサーキッドそのもなんだ。刻まれている文字を見て。」
「知らない文字だわ・・。」
「それは、神居の古代語だよ。(うそ、本当は日本語。)そんな大昔から
存在する妖怪は限られる、「大嶽丸」「酒呑童子」「九尾」そして「鵺」。
調べた限りだけど。」
おそらくこの4匹は日本から来てる、月詠の仕業だろう。何で気付かなかった、
僕自身そうじゃないか・・。
「すごい、大物がでてきたな。今日も守護してくれたしな。」
「もうひとつ腑に落ちないのだが・・、カエデ、お前はこの手の問題は誰かに
丸投げするのが常のはず、責めてる訳ではない。私もそうしてほしいと
思っている。今回に関しては、積極的に介入したように感じる。なぜだ?」
「・・・笑ってたんだ。Sランク君が、爆発したロバートさんの工場を見て
笑ったんだ。」
「ああ、Sランク君カエデちゃんの逆鱗に触れちゃったのね。」
「1分。」 珍しく小梅が発言した。
「小梅ちゃん、1分でSランク君と魔人を制圧したと?」
「そう。」
「デュランダルとニーズベックを振り回していたんだ、この街が消えるのに
10分もかからない。カエデが1分で制圧したからロバートの工場だけ
で済んだ。よくやった、カエデ。それと、権じいにもお礼がしたい
なにがいいか聞いておいてくれ。」
バート叔父さんにほめられちっちー。
「Sランク君の国と魔人の国には、しかるべき賠償を請求しよう。」
インテリメガネがキラリと光る。
「カエデちゃん、アスカのデル君の素体ができたの、疲れてなければサーキッド
お願いしたいのだけど。」
「大丈夫だよ。ていうか無事だったんだね。」
「ロバートの奴が、身体をはって守ってくれたらしい。」
ロバートさん、あんた漢だよ。(涙)
「使いたい魔法は聞いてくれた?」
「聞いたんだけど、私はよくわからなくてアスカがカエデちゃんだったら
わかるって言うのよ。」
「メモを見せてもらえる。」 どれどれ、ああ、アス姉らしいな。
「アス姉って、チャクラム何枚いけるの?」
「今はわからんが、学園に行く時は20枚までは使えてたな。」 すげ!
「剣術は?」
「ロイド流の皆伝よ。」 まじか・・・。
「だからだね、攻撃魔法はいらないみたい。聖魔法特化のデル君になるよ。」
「そんな事できるの?」
「できるよ。」
素体を渡される、綺麗な銃だな。すげえ、グリップを魔石で覆ってる。バラの
彫刻がまたすごい。いくらだ?バート叔父さんの本気を見たな。さて、まず
制御サーキッドは共通でいい、1枚目に基本属性で手を加えるのは2枚目の
サーキッドだな。ここをこうして効率よく聖魔法を使えるように光を半分
くらい、闇は削除。氷はいるから追加してっと。
「できたよ。」
「カエデちゃんは器用ねえ。」 マリア先生にほめられちっちー。
「これで、エクストラヒールまでは撃てるよ。」
「へっ!まじで?」
「リバイブはさすがに出力が足りないから無理かな、あと銃弾だからエリア系
も無理かな。」
「やばいわね。」
「ああ~確かに。教会に目を付けられないように注意って伝えて。教皇のデル君
より全然、高性能だから。」
「やばいわね。」
「うん、やばいね。エリア系除けば、普通に聖女クラス。主人公パーティは
即死以外は死なない。」
バート叔父さんは満足気にうなずいている。シュリ夫妻もタケル兄に関わる事
なので、喜んでくれている。あとは、ロバートさんがIA化して完成。
「ありがとう、カエデちゃん。絶対アスカも喜ぶわ。なにか、お礼しないとね。」
「命に関わる事だから、別にいいよ。あっ、ソードブレイカーができるから
扱い方、教えて下さい。」
「お安い御用よ。」 マリア先生、ソードブレイカーもいけるんだ・・。
「明日、ガークさんの所にいって午後から道場に行っていい?」
「大丈夫よ。」
部屋に戻り、さすがに疲れた、精神が。風呂入って寝よう。
「修行は?」
「えっー。」
「下アゴ。」
昨夜は小梅と時空ポケットの練習で盛り上がり、最初は嫌々だったがやってる内に
楽しくなって、時ポの鬼ごっこまでやってしまった。眠い・・。でもランニングと
素振り。「神居でのイベント、忘れないで下さいよ。」夕霧、ありがとう。
朝食を食べ(美味しかったさ。)少し休んで、ガークさんの所へ。
レイさんとリリーさんは、お土産とかの最終チェック。
小梅を肩に乗せ、さあ、行こう。途中、ロバートさんの工場の跡地を通る。
瓦礫はすでに撤去され、基礎工事が始まろうとしている。昨日の今日ですげえな。
デル君はガーネット領の基幹産業のひとつだから、当然といえば当然か。
「ガークさん、ガークさん。」
「おうカエデ、できてるぞ。それと、昨日は助かった。ロバートの奴は気の毒
だが、あいつらを撃ったのカエデだろ?」
「まあ・・そんな事より、お茶にしましょう。栗きんとん、持ってきました。」
「おう!野郎ども渋めの茶を入れろ!」お弟子さんも含め、栗きんとん。
「こりゃ、うまいな。上品な味だ。どこで売ってるんだ?かみさんが
好きそうな味だ。」
「ごめんね、これ僕が作ったんだ。」
「なっ!おめえはパテシェだったのか・・。」
「違うよー。でも奥さんの分は置いていくから、食べてもらって。」
「ありがてえ、ありがとよ。」
奥さんも甘党なのかな?喜んでもらえるのは、嬉しいな。
さて、短槍とソードブレイカーはどうかな?
「まずは短槍だな。刃の付け根の所に指定された刻印。石突きは表にガーネット
の紋章、裏にタチバナの紋章。まあ、表も裏もねーがな。」
刃の付け根に入れた刻印は、本物の「蜻蛉」に入っていたものを真似た。本物は
青いが、これは、ほぼ黒だ、カックイイ!持ってみると、バランスがほどよい。
さすがガークさん、さすガー。思っていたほど重くもない、身体強化なしでも
扱えそうだ。
「あと、ソードブレイカーだ。軽量化に苦労した。普通の剣より少し短い。
リカッソの表にガーネット、裏にタチバナの刻印がはいっている。鞘は
両方、サービスしとく。」
「わあ、ありがとう。」
SBを構えてみる。やはり重い、身体強化すれば振り回せるか・・。持った
感じは忍者刀に近いかな。これもまた。カックイイ!
「両方ともすげえカッコイイ!」
「だろ?アマダンタイトを扱うの久しぶりだったから気合いれた。快心の出来だ、
調子に乗ってこんな物も作った。サービスでつけてやる。」
と言ってだしてきたのは、棒手裏剣っぽいやつ。槍の穂先に近い、クナイかな?
小梅の目がキラリンと光る。
「伝導率は、どうなの?」
「ミスりル程じゃねえが、通すぞ。」
念話で、「使う?」
「うん!」 尻尾フリフリ。
「大切に使うね。」
「メンテはしてやるから、たまに持ってこい。それとシュリの黒刀もあと2日で
完成すると伝えてくれ。」
お昼なので道場のそばの食堂へ。ここはから揚げがおいしい。
「から揚げ定食をお願いします。」
「あいよ!」
元気のいい女将が、いつもから揚げをおまけしてくれる。小梅と分けて食べると
丁度いい。小梅が「フーフー」してから「ハムハム」、可愛いね。
「ご馳走様でした。」
道場に着いた、昼時なので誰もいない。「蜻蛉」を振ってみる。おお、いい感じ。
小梅にクナイを渡す。時ポに収納できるかな?あっできたみたい。
小梅も日々、進化してるんだねえ・・。ひとしきり振って、満足していると
マリア先生が来た。
「こんにちは、マリア先生。」
「いらっしゃい、昨日はありがとね。さっき、ロバートに渡してきたわ。
仕様を見て、腰抜かしてたけど。」がんばれ、ロバート!
「早速ですが、ソードブレイカーの扱い方、教えて下さい。」
「了解。」渡したソードブレイカーをチェックしている。
「すごいわね、この硬さなら刀ぐらいまでは折れそうね。普通の
ソードブレイカーは、短剣くらいの長さで、レイピアとセットで使うの。」
「2刀流・・防御専用ですか?」
「基本はそうね、まれに積極的に刃を折りにいく人もいるけどね。ただ、
使用者はほとんどいないわ。」
「まあ、理由はわかります。自分も折れるかもしれないですもんね。」
「これは折れないでしょうけど・・。使い方を見せるから、まず木剣で
かかってきて。」
「わかりました。」古そうな木剣を選び、剣の型で向かっていった。
「あら?速くなってるわね・・。これなら、あれを渡しても大丈夫ね。」
マリア先生は、受けるというより流すという動きを見せてくれた。やっぱ、
すげえわ。マリア先生こそ、武器マスターだ。そして、模擬戦の最後に木剣を
へし折られた。
「とまあこんな感じ。これはソードブレイカーというより、新しいなにかね。
元々ニッチすぎて流派とかあるわけでもないし、強いて言えばカエデ流ね。
自分なりに、いろいろアレンジしてみなさいな。」
「ありがとうございます。精進します。」
「それと、剣技も合格よ。皆伝まではいってないけど、うちの道場だと
10番目くらいね。」
なんかビミョー。でも十分なのではないだろうか・・。中の中を目指す僕が
いろいろ瞬殺は非常にまずい。ウフフ・・10番目、いい響きだ。
「カエデちゃん、ニヤニヤしてる理由はわかるけど、瞬殺王だし。でもあなたは
ロイド兄上の子なのよ、せめて学園に行くまでには皆伝にはなっときなさい。
兄上、拗ねるわよ。あとこれあげるから、普段はこれを腰に差して
おきなさい。」
剣を渡された。少しこぶりの剣だ。
「これは?」
「私達からのお礼よ。装飾もなにもない普通の剣に見える
アンチマジックソードよ。」
「げっ!」
「カエデちゃんは、育ちのいいお坊ちゃまんなんだから、アダマンタイトの剣
なんてさげて旅なんかしたら、鴨葱よ鴨葱。その剣はミスりル製だけど
超地味だからあまり目立たないわ。鴨葱から鴨ぐらいにランクダウンよ。」
「アンチマジックというのは、いわゆるあれですよね?」
「どれのことを言ってるかわからないけど、魔法をぶった斬るわ。男の子
なんだから、そういうの好きでしょ?」
「はい。大好物です。」
「大規模なやつは無理だから、発動する前に相手をぶった斬るのよ。」
こえーよ、マリア先生。
「ありがとうございます。大切にします。」
「あとこれ、おこずかい。お土産はそうねえ・・鉄扇買ってきてくれる。」
渡された小袋に、金貨がぎっしり。おぉ・・。
「わかりました。最高の鉄扇を見つけだして必ずやお手元に。では。」
レイさんみたいに消えてみる。別に夕食の時に会うんだけど。
「完璧に消えたわね。」
マリア先生の所から消えたあと、和菓子屋でどら焼き買って屋敷に戻る。
夜、権じいの所へ行こう。お礼、なにがいいか聞かなきゃ。
庭でカモナをだして、レイさんとリリーさんとお土産を収納。
「じゃあ明日、朝食後に出発するからよろしく。」
「「はい。」」
夕食まで少し時間があるな。新しい仲間をなじませておこう。
僕達は森へ入った。
「小梅、僕に雷を撃って。」
「うん。」
「あっ、超弱いのでお願い。普通のだと僕、死ねるから。」
「わかった。」
まずは、マリア先生からもらった、ミスりルの剣だ。
「いいよ。」
「弱々サンダー。」
バリバリいって黒い雷が飛んできた。えっ!これ大丈夫?痺れませんように。
ザン!おっ、本当に斬れた、しかも痺れてない。
「次、氷お願い。」
「弱々アイス!」
ザザン!おっ、斬れた、というより消えた。サンダーより手ごたえあった。
よし、次は蜻蛉で斬れるか試そう。
「小梅、お願い。」
「弱々アイス!」
ザン!おお斬れた。切れ味はミスりル剣より上だな。ありがとうガークさん。
「弱々サンダー!」
ザン!「あばばば・・・。」
僕はぷすぷすいって、その場に倒れた。
「あばば。」小梅が腹を抱えて笑っている。なんでだ?
「氷は物理、雷は現象。」ごもっとも・・。
小梅ビヨンドに咥えられ屋敷に戻る。ああ、ひどい目にあった。まだしびれる。
「あばば。」小梅が思い出し笑いをしている。クッ、可愛いから許す。
「あっ、カエデちゃん捜してたのよ。シュリが呼んでる。」
「はーい、わかりました。いま行きます。」敷地内にあるシュリ夫妻の屋敷へ。
「どうしたの?」
「いや~新しい剣とか短槍とか試してて・・。」
「あばば。」 小梅・・・。
「弱々サンダーで痺れました。」
「なにしてるのよ!明日、神居に行けなくなるわよ。」
「面目ないっす。」屋敷に入り、リビングへ。
「おおカエデ、準備で忙しいところわるいな。」
「もう、終わってるから大丈夫だよ。」
「そうか、頼みがあってな。これを親父に届けてくれ。」んっ?刀・・。
「ああ、この間のAさんの・・・。」
「胡蝶な。封印はしてあるから大丈夫だ。あと、伝えておく事がある。」
なんだろ?まじシュリな感じ。
「親父と俺が封印師なのは聞いたな?」
「はい、ボタン先生から。」
「でだ、姉貴が「村正」を、俺が「童子切」を持ってるわけだ。タチバナ家には
もう1刀、やばいのが封印されてるんだ。」
あ~そんな予感はしてたよ・・。当たっていればその妖刀の名は・・・
「「紅桜」っていうんだが、親父が厳重に封印、管理してる。」
やっぱり・・。一番やばい奴じゃん・・。
「だから、倉庫だけには近づくな。いいか、これはフリじゃねえからな。カエデは
こうなんていうか、トラブルとかに本人の意志とは関係なく巻き込まれる?」
なんで疑問形?それに・・・。
「あの・・シュリ叔父さん、それはフリではなく、フラグなのでは?」
ボタン先生が、うんうんとうなずいている。
「ついこの間、権じいから鬼に気をつけるように言われたばかりで・・
それに加えて「紅桜」まで、となると僕は生きて帰ってこれますか?」
「い、いや、鬼達と「紅桜」は関係ないと叔父さんは思うぞー。は、は、は・・」
「まあ、有名な鬼達は封印されてると聞きましたし、「紅桜」」も封印されてるし
大丈夫ですよね?大丈夫と言って!」
「・・・。なんかあったら親父とお袋がなんとかすっだろう。・・たぶん。」
たぶんて言った!小さくたぶんて言った。ふぅ、考えてもしょうがあるまい
出たとこ勝負だ。その後、シュリ叔父さんが手向けといわんばかりのご馳走を
用意してくれ、大変旨かった。おこずかいもくれた。
皆に注意事項をたっぷり言われ、僕は子供か!と思ったが7歳児であった。
部屋に戻り、どら焼きを持って権じいの所へ。この間の礼を言い、バート叔父さん
の伝言を伝えた。僕が帰ってくるまでに、考えておくとのんびりしたものである。
「権じい、「紅桜」って知ってる?」
「知っとるけど、タチバナで封印されとるはずじゃが?」
「うん、そうみたい。シュリ叔父さんに絶対近づくなって言われた。」
「カエデよ、それはフラグなのではなかろうか?」
おまえが言うな!と心の中で突っ込んで、部屋に戻り寝る。さすがの小梅も
今日は素直に寝るようだ。さあ、やっと神居編のスタートだ。
なにが起こるのやら・・。
おやすみなさい。




