BLACK SWORD
冒険者壊滅作戦の授業を乗り越え、美味しい昼食(ちなみに天丼)を食べ、
シュリ叔父さんを誘ってガークさんの所へ。
「ガークさん、ガークさん。」
「おうっ、カエデじゃねえか。準備できたのか?シュリもいるじゃねえか。」
「準備できました。でも、まずお茶にしましょう。」
お弟子さん達も呼んで、なんと、シュリ叔父さんが豆から挽いて、丁寧に
コーヒーを入れてくれた。マカロンとコーヒーの相性は抜群だ。ガークさんと
お弟子さん達が泣いている。コーヒー1杯でドワーフを泣かすとは・・・
さすがシュリ叔父さん、さすシュ。という感動の?お茶会が終了し本題へ。
これが、アダマンタイトです。と大きな塊を出す。
「で、でかい・・。こんなの初めてみるぞ!」
「これで短槍の刃と石突き、あとソードブレイカーを。」
僕は図面をわたしてあるので終了。
「俺はこれで刀を。」
おっ、シュリ叔父さんは黒刀か。IAと違うからな、どんな感じになるんだろ?
図面を用意してたみたいでガークさんと真剣に打ち合わせをしている。横から
覗くと、おお・・カッコイイ。刀と剣の間みたいな形で、柄がちょっと長めか、
アダマンタイトは重いから両手で使う時もあるだろうしな。
「カエデ、悪いが2本作らせてくれねーか・・・。」
「全然かまわないよ。タケル兄のお祝いでしょ?」
「そうなんだ。ドラゴンスレーヤーのお祝いにと思ってよ・・。」
ええ話じゃないですかあ・・。これだけ作っても全然余る。
「ガークさん、買い取って。」
「さすがにこの量は無理だ。金がねえ。」
「なら、お金はいらないから今回の製作費と相殺してよ。」
「それはかまわねーが、それでももらい過ぎだ。」
「大丈夫だよ、またなんか作るときにでも割引してくれたら。いいかな?
シュリ叔父さん。」
「いいぞ、元々カエデの報酬だからな。」
「わかった、そうさせてもらうわ。腕がなるぜ!!」
僕のは下準備がすでに終了してたみたいで、一週間程で完成するとの事。
シュリ叔父さんのは二週間程で完成する。楽しみだな。
シュリ叔父さんが、お礼にキャンプ道具を買ってくれるというので、そのまま
キャロルの所へ。
「キャロル、キャロルー。」
「いらっしゃいませ、カエデ様。あら、シュリもいっしょなの。」
「おう、カエデのキャンプ道具を買いにきたぜ。」
「ほんとにキャンプをする気だったのね、貴族が?」
「「男のロマンだ。」」
ファイヤースターター、メスティン、スキレットとか本当に一式プレゼント
してくれた。大切に使わせてもらおう。
「ありがとう、シュリ叔父さん。」
「いや、まだ足りねーんだが・・。」
「おいしい物を食べさせくれれば、それでいいってば。」
「おう、楽しみにしてろ。」
屋敷に戻り、一休み。これからの事を考える。武具オーケー、キャンプ道具も
オーケー。お土産とかそういうのは助さんと格さんにまかせて、あと食材。
厨房で分けてもらおう、途中で買ってもいいし。秘伝のタレもコンプリートし
カモナにストックしてある。雪原フロアーの攻略は帰ってからにしよう、防寒の
準備しないといけないね。あと、ドミニクにドラゴンステーキをご馳走しよう、
肉をもらったし。と考え事をしているとリリーさんが、呼びに来た。
小梅を肩に乗せ、食堂へ。
「いい匂い。」 昨日に続き、小梅が鼻をピクピク。
おっ!これは鰻では?思った通りうな重と肝吸い、約束通り美味しい物だ。
小梅も嬉しそうにハムハム、お吸い物も、器用に飲んでる。鰻はなつかしくも
あり、感動した。シュリ叔父さん、最高!
食後、お茶を飲んでいるとボタン先生からお礼を言われた。
「気にせんといて下さい。」
「アダマンタイトなんて一生ものよ。」 との事。
マリア先生も加わりこちらもアス姉に、なにか作ってやりたいのだけど、
インテリメガネを光らせ「ドラゴンごときでプレゼントなんて、いらないわ!」
と言いそうで困っている、バート叔父さんはシュリ叔父さんの話を聞いて
アマダンタイトでチャクラムを作ろうとしたから、全力で止めたと。
う~ん、効率重視のアス姉だったらたぶん。
「デル君のオーダーメイドで銃身を5CM伸ばして、色はシルバー。銃身に
バラの蔓と花を彫って、僕がサーキッドを3枚の特別仕様にするよ。」
「あら?そういえばあの娘バラが好きだったわね。なんか喜びそうな気が
するわ。カエデちゃん、サーキッド組んでくれるの?」
「もちろん、使いたい魔法を聞いておいてくれれば組むよ。バート叔父さんが
ロバートさんに頼めば最短で作ってくれると思うし。」
という事で早速、明日ロバートさんの所へ行くそうだ。
「ありがとう、カエデちゃん。」
「気にせんといて下さい。」
早起きしてランニング、これからは素振りも日課に入れよう。SBはかなり重く
なるはずだ。美味しい朝食を食べ、パンチェッタのベーコンはまじうまかった。
神居に行く時には、必ず持っていこう。今日はみな、それぞれ忙しく授業は
ない。丁度いいので、レイさんとリリーさんを呼んで、旅のミーティングだ。
旅の行程は意外と単純で、この街の港にあるガーネットの船で東に三日。
神居に入って町を二か所経由して、清春爺ちゃんとツムギ婆ちゃんのいる
神楽に着く。行きと帰りで約十日、タチバナに居るのが三日として約二週間の
旅になる。
「私は宗家に、ご挨拶をして夜は実家に。通いになります。百合子は?」
「百合子って呼ぶな!私も夜は師匠に呼ばれてるわ。タチバナは安全だから
私も帰るまで通いにするわ。」
「あれ、百合子は神居出身?」
「カエデ様まで・・。そうですよ、フルネームは春日部 百合子です。」
「ププ・・。」笑うレイさんに、睨む百合子さん。
「レイさんもだよね?」
「そうです。九条 零ですね。」
「なんかこう・・主人公?ってなるね。」
「ププ・・。」 笑う百合子さんに、睨む零さん。
「2人は昔からの知り合い?」
「はい、幼馴染です。」
「ああ、だから仲良しなんだね。」
「「仲良くないです!」」 ほら。
「まあまあ、それで神居の港から神楽まで二泊か三泊ってところだよね?」
「そうですね、急げば二泊。普通に徒歩だと三泊です。」
「じゃ、それ野営にしようよ。」
「えっ!」
「あっそうか、百合子さんはカモナを知らなかったか。よし庭に行こう。」
「カモナ。」
「はい、春日部 百合子さんを登録します。」 ププ・・。
テントの中に入って、百合子さんが驚く。
「家・・ですよね?」
「まあ、そうなんだよね。最近成長して、拡張し放題でさ、2人にはちゃんと個室
があるから。お風呂も大浴場になって、僕もびっくりだよ。」
2人を部屋に案内すると、表札が掛かっており「九条」と「春日部」で吹いた。
やるな、カモナ。一通り、機能を説明した。
「私達、いるの?」 と百合子さんがつぶやいていた。
「あと、この間、シュリ叔父さんからキャンプセットを貰ってさ試したいんだ。」
「家の前でキャンプ?」 と百合子さんがつぶやいていた。
「出発は八日後で、準備とかお土産とかお願い。」
「了解しました。」 丸投げ完了。
僕は僕で厨房へ行って、和菓子作り。夜、権じいの所にいくから、栗きんとんを
作る。八百屋に立派な栗があって、思わず大量に買ってしまった。
副料理長の名前を最近知った。
「ダニエルさん、栗きんとんを作らせて。みんなの分も作るから。」
「わかりました。手の空いてる奴は手伝え!」
「イエッサー!」
まず、大量の栗を蒸す、蒸し終わったら半分に切ってスプーンで中身を出す。
ここが一番大変なので、人海戦術だ。そして、中身を裏漉しして、三分の一くらい
と砂糖を焦げない様に木べらで混ぜて、砂糖を溶かす。溶けたら残りの栗を入れ
多少のしっとり感を残し水分をとばす。あとはみんなで茶巾絞り。きれいな襞が
できる。
「おぉ・・。」
メイドさん達とマリア&ボタンが覗いている。キッチンスタジアムじゃないから。
確かに、台の上にある大量の栗きんとんは、花の蕾に見えて美しい。
僕、パテシィエじゃないからね。
「ボタン先生、手伝って。」
「えっ!私?」
「僕と同じ事を。」
僕はファイヤーボールを2個だして、栗きんとんの上をゆっくり飛ばす。
ボタン先生も同じように飛ばす。襞の所にうっすらと焦げ目が付いていく。
美しいな。・・僕、パテシィエじゃないからね。完成!メイドさん達にも
手伝ってもらって、屋敷の分、権じいの分、ガークさんの分と分けて、掃除
をして終了。ダニエルさんは、熱心にメモ。小梅と先生達に1個づつ渡す。
「味見して下さい。」 ハグハグ小梅。
「上品な味ね、甘すぎず栗の風味が最大限ね。カエデちゃんお店だしなさいな。」
「本当ねえ、お茶請けに丁度いいわ。ところでさっき、無詠唱で魔法を使ったわね
封魔のブレスをつけたまま。」 おっと、ばれて~ら。
自室で小梅と武具の相談をしてると、レイさんが呼びに来た、夕食だ。
皆、揃っている。おぉ・・ローストビーフだ。
「カエデ、アスカにデル君リミテッドを贈る事にした。バラの彫刻がいい
感じだ。サーキッドの方、よろしく頼む。」
「了解。神居には八日後に出発する事にしたよ、その前に素体はできる?」
「大丈夫だ、ロバートが三日で作る。」 ロバートさん、合掌。
「クロ兄にお祝い、どうしよう?」
「それは大丈夫だ、兄上たちが魔剣ダリスを贈るそうだ。」
「ぶっ!ダリス!国宝じゃない!」
「兄上達が『雷帝』を脅してゲットしたそうだ。」 ゲットって・・。
クロ兄の魔剣ダリス、アス姉のデル君リミテッド、タケル兄のシュリの黒刀。
もう、この人達を主人公に確定でいいのでは?
「主人公パーティは卒業したら、どうするの?」
「帝宮から熱心に誘われてるらしいが、本人たちはこちらに戻ってきたいと
言っていた。」 みんな、嬉しそうだ。
だが、主人公パーティが側にいるのは、まずいのでは?なんか、いや絶対に
巻き込まれる。
「カエデちゃん、複雑な顔してるわよ。」
「いやだって、僕のスローライフ未来が・・・。」
「あきらめなさい。あの子達、カエデちゃんを溺愛してるんだから、
かまい倒すにきまってるでしょ。」
「えっ~。」
「カエデちゃん、下アゴでてるわよ。」
「さっき、DMが剪定に来てて、明日ダンジョンに来てほしいって
言ってたぞ。」 いよいよVSレイドだ。ていうか剪定の次いでかよ。
「うん、了解。」 バート叔父さんのメガネがキラリと光る。
「カエデ、わかってるな?」と言って、冊子を渡してきた。タイトルは
[ザ・デストロイ] こえーよ!
「それは、この前の授業をまとめたものだ。その通り駒を動かせば問題はない
しかし、イレギュラーな事も起こるかもしれん、その時は柔軟に対応しろ。」
「わかった。皆殺しもとい壊滅するよ!」
「いい顔して壊滅するよ!じゃないわよ!カエデちゃん、1mm位は希望を
残すのよ。」 マリア先生も大概だから・・。
シュリ叔父さんが、「がんばれ、ロッソ・・。」と言って、手を合わせていた。
部屋に戻り、光彩(改)を発動。
「ローストビーフ、美味しかったねえ。」
「ウマウマ。」 権じいの分も包んでもらった。
などと、のんびり夜の散歩を楽しみながら、権じいの所へ向かう。
「権じい、権じい。」
「おお、カエデと小梅か。気配が全くなかったぞい。」
「ごめん、これ使わないと屋敷から出れないんだ。」
「今日はどうした?」 と言ってお茶を入れる黄金狸。
「栗きんとん、作ってきた。それと、ローストビーフ。」
「うまそうだ。どれ、ひとつ。」 パクッ、一口だ。
「うまいな、シュリが作ったのか?ローストビーフは酒のあてによいのう。」
「みんなに手伝ってもらって、僕が作ったよ。」
「カエデ・・おまえはパテシィエか?」
「違うよー。それはさておき、一週間後くらいから神居に行ってくる。
ツムギ婆ちゃんになんか伝言ある?」
「おお、そうか。ならこれを清春に持ってってくれるかの。」
と言って、緑の石を二つ。
「一つはカエデにやろう。菓子の礼じゃ、マカロンもうまかったしの。」
「きれいな石だね。魔石とも違うし、なんだろう?」
「それは結界石といってな、いわゆる結界とはちと違う。魔力をこめると身体を
薄く覆い護る。主に呪術に対応しとる。さらに、狸のホログラムがでて、
術者に呪いを返す。オートで呪詛返しじゃ。タチバナにいくなら必要じゃよ
カエデはロイドとツバキの息子だからな。」 なに、この超便利グッズ!
呪われる前提だし・・・。
「ありがとう、ペンダントにするよ。」
「それがええじゃろ、小梅のネックレスにもスピードのエンチャントをして
おいたぞ。」
小梅が「スピードスター」とかつぶやいている。尻尾フリフリ。
「ありがとう、その小梅の事で相談があるんだ。」
「うむ、だいたいは聞いておる。フェンリルとやりあったそうだの。」
「うん、まあ勝ったんだけど、最終的には小梅ガンで。」
「なんか問題あるのか?」
「威力が強すぎるのと、発射までの溜めが長いから小梅ガンは最終的なものに
して、その前になんとかする武器がほしいんだ。」
「小梅は雷猫だったのう・・。雷はまあそうとして、氷牙の娘だから氷も使える
という事か、フェンリルとキャラかぶっておるのう・・。」
「キャラかぶり・・。」 小梅が落ち込む。
余談だが、フェンリルも子供の時は子犬みたいで可愛いんだよな。ベル姉の従魔の
スノさんも、ずっと白い子犬だと思ってたし。フェンリルって知ったのは最近だ。
「小梅よ、そう落ち込むな。小梅ガンとかいうの使えるのだろう?」
「キャラかぶりは、パパ。」
「氷という意味ではそうなのじゃが、氷牙は真っ黒だからのう。カエデよパスは
繋がっておるのだな。」
「うん。」
「ならばカエデが使える時空魔法が使えるのでないか?」
そうだった・・あっ!閃いた。これは使えるかも。
「権じい、ありがとう。思いついたよ、小梅と試してみる。神居のお土産は
何がいい?」
「そうじゃな、ツムギの漬物をもらってきてくれんか?そろそろなくなりそう
なんじゃ。それと、『鬼』に気をつけよ。」 権じい、それフラグ!
「了解。戻ったら届けにくるよ。」
「ああ、またな。」




