TACTICS
受付でマカロンを大量に渡す。
「後程、皆でいただきます。ありがとうございます。」 と喜んでくれた。
開発室へ行き、ドミニクに会う。
「待ってたわ、カエデ。」
「やあ、ドミニク、ドロップを届けに来たよ。」
「お疲れ様、こっちに置いて。それより、銃ができたわよ。」
「えっ!もう、早いな。」
「やっぱり、銃作りは楽しいわ!熱中しちゃった。」 と言って倒れた。
へっ?こいつさては寝ずに、ご飯を食べずに作ったな・・・。
しょうがない。僕は庭にでてカモナをだす。ドミニクを引きずって中に入れ
カレーを出す。いい匂いがしてくると、ドミニクが目を覚ましはいずりながら
こっちに向かってくる。こえーから・・。
「ほら、がんばって席につけ、カレーライスとサラダとコーヒーだ。」
「イエス、マム。」 誰が母ちゃんだ!
「まったく、毎回毎回・・・。」
「いや~面目ないわ、つい夢中になっちゃって、でもその分いい銃ができたわ。」
そのまま僕達はカモナの中で話をする。マカロンをだしてコーヒーを入れた。
「これよ。」
「おお・・お?2丁?」
「そうよ、説明するわ、まずこっちのシルバーのが依頼のあった銃ね。
このレバーを引くとバレルが折れて、シリンダーの交換ができる。」
「シリンダーを?弾ではなくて?」
「弾の交換は面倒だから効率化したわ。シリンダー2つ、フルメタルジャケットと
シルバーバレット。弾は自動精製で、5分で充填される。」
さすが、巨乳。ちがう、天才!
「そしてブラックの方は、シルバーの銃のプロトタイプとして作ったの。
シリンダーの機構が独特で180°回転して真上にくるの。」
「えっ、これって・・。」
「マテバM2008よ『俺はマテバが好きなんだよ。』という歴史的なセリフを
思い出して作ってみたの。これはこれで捨てがたくて、なら両方とも渡して
使ってもらおうと思ったのよ。」
「すごいよドミニク。僕もそのセリフに憧れてたんだ。日本じゃ銃は
持てなかったけど、ブラスターかマテバかグレイスで迷ったんだよ。」
「そうでしょ、そうでしょ。シリンダーはシルバーとブラック2個ずつ用意
してあるわ。」 おお、ノンフルートだ、渋い。
「すごく、嬉しいけど、お高いんでしょう?」
「お金はいらないわ、もらっても使い道ないし、モニタリングを
してくれればいいわ。」
「ありがとう、まじありがとう。」
僕は嬉しさのあまり、ドミニクに抱き着く。うほっ、天才!ちがう巨乳!
「あら?これはこれでなかなか・・はっ!私はショタ好きでは・・。」
と、ぶつぶつ言っている。いかん、このままではドミニクが闇落ちする。
話を変えよう。
「大切にするよ、ところでダンジョンの件だけど。」
「ああ、ジャングルと塔のフロアーの攻略をしてきたんだったわね。」
ノート型の端末を取り出す、どこからだした?今、胸の谷間からだしたような・・
つっこんだら負けなような気がするから流そう。
「うん、鬼畜フロアーだったけど、冒険者はとても鍛えられるね。とくに、
ボス部屋のゼロ君とフェンリルは苦労したよ。」
「えっ!ボス部屋は両方でてきた・・おかしいわ、そんな設定してないわ。」
ドミニクが端末を高速でたたき出す。
「なるほど、そういう事ね・・。ボス部屋は基本ゼロ君のみよ、気が付いたと
思うけどロボット達が戦って、そのデータをゼロ君に転送するのよ。」
やはりな、ゼロ君はデフォルトな戦い方ではなく、その場での臨機応変な戦いが
求められるわけだ。ドミニクさん、まじえぐいっす。あれ、フェンリルは?あれも
そうとう強かった。小梅が落ち込んでたし・・・。
「君達は、ジャングルをスルーして塔のみを攻略。罠もみごとにスルーし、ノー
ダメージでボス部屋に入ったのよ、だから強敵認定されてしまったの。」
そういう事か、ソロでの攻略自体がイレギュラーだから、ボスもそれに対応したと
すげえな、ダンジョン。
「データを見ると、カエデは刀を使うと無敵、小梅ちゃんがレールガンを使う、
君達はやばいわねえ・・。」
「いやまあそうなんだけど、ゼロ君もフェンリルも半端なかったからね。」
「じゃ、このフロアーは特に変更点はないの?」
「うん、すごくいいフロアーだと思うよ。」
「そう言われると、素直に嬉しいわ。あっ、そうそう長官が帰りに寄ってくれって
頼み事があるらしいわ。」
「了解、寄っていくよ。それとドミニク、今度から来る時に、ここでご飯食べ
させるから。銃のお礼も兼ねてだけど、君の食生活が心配だ。」
「それは、楽しみが増えたわ。」
そのまま最上階の執務室へ、いつもの秘書の方に用件を伝え取り次いでもらう。
マカロンも忘れず渡す。
「よく来た、カア坊。」
「はっ、ドミニクから頼み事があると聞いたのですが。」
「そうなんだよ、モニタリングの他に、たまにモンスター側にまわって冒険者を
鍛えてほしいと言ったのを覚えているかね?」
「はっ、もちろん覚えております。」
「31階フロアーに冒険者が、やっと到達できそうでな。」
「ロックゴーレムのフロアーですね。」
「そうだ、カア坊にゴーレム達の指揮をとってほしいのだよ。もちろん、現地に
いく必要はない。開発室からリモートで作戦の指示を出して欲しいのだ。」
「了解です。」
「報酬として、これを渡そう。」 大きな鉱物の塊がテーブルの上に乗せられる。
「これは?」
「アダマンタイトだ。」 おお・・この黒い塊が・・。
「よろしんですか?」
「どのみちこれは、40階のボスでドロップする予定のものだ。カア坊はいずれ
手にいれるだろう。シュリからカア坊がこれを必要としていると聞いてな。」
「はい、短槍とソードブレイカーを作る予定で、材料がそれだったのです。」
「短槍とソードブレイカーとは・・。またレアなものを。カア坊は武器マスター
にでもなりたいのかね?」
「いえ、けっしてそのような事は。」
「この塊で作れると思うから、シュリの奴の分も作ってもらえるか。いつも、
料理をご馳走になってる礼だな。」
「はっ、了解しました。」
これは、超ラッキー。依頼を完璧にこなそう。明日、早速シュリ叔父さんと
ガークさんの所へいこう。
「ダンジョンはどうかね?」
「はっ、詳細はドミニクに伝えましたが、今日のフロアーは強敵でした。
冒険者を育成するという観点で言えば、最高の環境かと。」
「うむ、カア坊にそう言ってもらえると、作ったかいがあったという物だ。
ゴーレムの指揮に関しては追って連絡する。近々だと思っていてくれたまえ。」
執務室を後にし、本部をでて転位。ホクホク顔で自室に戻り、着替えて今日の事を
考える。小梅はベットの上にゴロン、大活躍だったもんね。神居に早く連れて
行ってあげたいな。それにしても、銃2丁は嬉しかった。どこかで試し撃ちが
できればいいのだけど、サイズ的にこの身体だとまだきついか・・。
IA抜きだと、短槍とSBと銃が2丁。魔法込みの戦闘以外だったら、もう武器は
いらないな。いよいよキャンプ道具を考えよう。小梅を連れてお風呂に入り今日の
疲れを落とす。本当に久しぶりに「斑鳩流」を使ったせいか、身体が痛い。
やれやれ、子供は子供らしくだ。一度部屋に戻りくつろいでいるとレイさんが
呼びに来た。封魔ブレスをつけ、小梅を肩にのせ食堂へ。いい匂い、小梅も鼻を
ひくひくさせてる。おっ!ステーキだ、しかもドラゴンステーキ!クロ兄達から
送られてきたそうだ。14歳にしてドラゴンスレーヤーとはクロ兄達も大概だ。
親達はとても嬉しそうだ、神居行きのゴーサインを出させるチャンスかも。
「ダンジョン、どうだった?」 もはや、学校どうだった的な、なにか・・。
「今日はなかなかハードだったよ、マリア先生。最終的に僕は高性能ロボットの
ゼロ君と、小梅はフェンリルと対マン。」
「ぶっ、高性能ロボット!?フェンリル!?」
「いやあ、ゼロ君まじ強かった、シャムール2刀流で高速戦闘。」
「動きが見えなかった。」 珍しく、小梅。
「見えない高速戦闘・・。」
「なにもいうまい・・。」
「小梅ちゃんはフェンリルと対マンしたの?」
「うん、ぎり。修行する。」
「両方とも神獣よね・・。」
「それとDMからバイトを頼まれた、報酬がアダマンタイトだったから
引き受けたよ。」
「危険はないのか?」
「うん。31階フロアーのロックゴーレムの指揮をするのみ。」
「なに!指揮だと・・。よかろう、明日の私の授業は軍略に変更だ。」
ああ・・。得意そう・・だって腹黒インテリメガネだもん。
「了解。それとDMからシュリ叔父さんの分も込みで、もらってるから。」
「まじか?」
「うん、料理のお礼だって。それで明日バート叔父さんの授業が終わったら
行こうかと。」
「よし、俺も行く。」
「製作費は大丈夫か?」
「余ったのを買い取ってもらって、それをあてるよ。短槍と剣が完成したら
神居に行きたいんだけど、どうでしょう?」
「ああ、その件なんだが、ツムギ様から是非にと連絡があってな、カエデに用が
あるそうだ。条件付きだが許可する。」
やったあ!サンキュー婆ちゃん、小梅、行けるよ。小梅が尻尾をふりふり。
「条件というのは?」
「まず、護衛にレイとリリーをつける事。神居へ渡る船はガーネット家の専用船を
使う事。IAは使わない事。以上だ。」
「非常時の使用については?」
「本当に本当の非常時には、使ってもいい。」
「了解しました。」 心の中でガッツポーズ。
レイさんとリリーさんは特に問題はない、助さんと格さん的な感じで。専用船の
存在は知ってはいたが、見るのも乗るのもはじめてで、これは逆に楽しみだ。
IAについては、道中なにもなければ使う事もないだろう。
叔父さん達はこれから、クロ兄達の祝いの酒盛りをするそうだ。
僕は自室に戻り、神居への旅への思いを馳せる。
「久しぶりだな・・。」
昨夜は神居の事を考えている間に、寝落ちしたようだ。顔の横で小梅が腹出して
寝ている、もちろん今日も可愛い。
「小梅、ランニング行く?」
「行く。」
森の中をランニングという名のダッシュをしながら、今日のタスクを考える。
タスクなんて考えるスローライフってあるのだろうか?いや、今は未来の為の
準備期間、今日をがんばれない奴にスローライフ未来など訪れまい。あれ?
なんか違うような・・。
「武具がほしい。」
「武具?」
「うん、力不足を痛感した。修行もするけど、補う武具。小梅ガンをもっと早く、
そして連射希望。」 初めて聞いた長ゼリフが、超物騒。
「いやいや小梅ちゃん、小梅ガンてレールガンの事でしょ?あれ連射なんてしたら
地形、変わっちゃうから。」
「レールガン違う、小梅ガン。」
呼び方にこだわりがあるのか?小梅ガン、了解。
「小梅ガンは最終必殺逆転兵器にして、その手前でなんとかしようよ。僕だって
カエデガンは滅多に使わないでしょ?」
「カエデガン違う、レールガン。」
なっ!?カエデガンはだめなの?レールガン、了解。
「わかった、考えてみるよ。少し、時間下さい。」
「頼む。」
丸投げか?丸投げなのか?しかし、可愛い小梅の為だ、真剣に考えよう。
汗を流し、朝食。今日は和食、当然美味しい。少し休んで、執務室へ。
マリア先生もいた。仲いいな!
「今日は、31階フロアー、対冒険者壊滅作戦の授業だ。」
そんな、授業あるか!
「まあ、バートったら、本気で壊滅ね♡」
「当然だ、可愛い甥の指揮官デビュー戦だ、完全勝利以外の選択肢はない。」
愛が重たいです・・・。
「さてカエデ、まずは敵の事をよく知らなければ戦略を練る事も弱点を突く事も
できない。現時点でどれ位、把握している?」
「えっと・・、Aランクのロッソさんが率いるクラン『群青の槍』を中心とした
レイドで、実力、人気ともにトップクラスだと。」
「今は名前しかわからん、という事だな。」
「うっ・・そうです。」
バート叔父さんから、資料を渡された。
「それは暗部が、事細かに調べた奴らの名簿だ。そこには使ってる武器、得意技、
性格、弱点などが記載されている。」
えっえぇ・・・。マリア先生を見る、ウィンクしてくる。暗部なにしてんの!
昨日の今日だよ!
「こちらの戦力は?」
「はっ、石や岩に擬態しているロックゴーレムが約500体で、内訳が超小型で
敵に取り付いて自爆するタイプが100体。中型で炎弾が撃てる魔法タイプが
60体、同じく中型でパンチを飛ばすタイプが60体。小型の歩兵タイプが
240体。ボス1体、それを守る大型のバランスタイプが4体。残りの40体
は大型の工兵タイプです。」
「了解した、充実した戦力だ。運用はどう考えていた?」
「はっ、敵は40人から50人と聞いておりましたので、こちらからは2分隊を
あて、単純に挟み撃ちでいこうと考えておりました。」
「確かに、数は力だ。しかし、その資料を見てみろ。」
資料を見る、Aランクのロッソさんのパーティは5人で剣士から魔導師まで
バランスはいい。Bランクのパーティが4つ、あとは魔導師が多いな。んっ!
ソロのAランクが4人いる。・・・そういう事か!
「このレイドはロッソさん達が中心ではなく、ロッソさん達と魔導師達が場を
混乱させてる間にソロのAランク4人がボスを撃破する電撃戦を狙ってる。」
「うむ、私はそう読んでいる。おそらくロッソ達は陽動でどんどん突っ込んで
来るだろう。ソロのAランクは普段この領には居ない、今回の助っ人だ。
しかも遊撃を得意とする連中だ。」
そうなると、500体フルで対応したほうが確実か・・。主人公っぽい人が
いそうだし。
「ソロの4人の行動を止めれば、失敗とみなし退却しますかね?」
と、新たな戦略を話す。それにバート叔父さんが鬼畜な追加案を加え修正し、まじ
壊滅作戦の様相を呈してきたところで、マリア先生からストップがかかる。
「やりすぎよ!次もトライしてもらわなきゃいけないのに心を折ってどうするの!
別に彼らはガーネットの敵ではないのよ。」
おっと、つい鬼畜インテリメガネに乗せられて冒険者の育成というDMの意志を
すっとばす所だった。ありがとう、マリア先生、そしてひどいよバート叔父さん。
「チッ!」 あっ、今、舌打ちした。
その後、大幅に下方修正した作戦ができあがった。なを、このレイド戦の模様は
ドミニクに録画してもらい、後日カモナで上映し、ガーネット家はおおいに盛り
上がるのであった。「生ぬるい!」とか言いながら、一番はしゃいでいたのは
もちろん、バート叔父さんだ。




