BRACELET
昨夜、権じいの質問に答えれなかったな・・。何者か・・・。
まあ気を取り直して、朝のランニングだ。朝の凛とした空気が気持ちいいな。
隣を走る梅ビヨも、気持ち良さそうだ。
朝食をとり一休みして、今日はボタン先生の講義だ。なんか久しぶりな気がする。
「お早うございます。ボタン先生。」
「お早うカエデちゃん。これ渡しておくわね、封魔のブレスレッドよ。魔力の流れ
を乱して魔法を使えなくするものよ。身体に害がないように改良してあるし、
とりはずし自由よ。」
「犯罪者に、使うやつだよね?」
「基本はそうね、犯罪者は手錠だけど。それには、ハイディングも組み込んである
から実力も隠せる優れもの、スローライフにはもってこいよ。」
「ありがとう。でもこれ、お高いんでしょう?」
「フフフ・・。キャロルとロバートからのお礼よ。彼ら生き生きしてるわ。
それに、ツバキお姉様に、口座をおさえられてるしね。」
「そうなんだよね、まあ、いいけど。」
「ダンジョンに行く時は、外すの忘れないでね。」
「助かるう、大切にするね。」 ほんとに、まじ感謝。
「今日なんだけど、質問と報告があって。」
「・・嫌な予感しかしないわね。」
「質問の方は、BBQの時に尋ねた件。」
「気配察知の進化についてだったわね。使う時にどんなイメージしてる?」
「自分を中心とした波紋のイメージかな。」
「そうね、でもそれだと反応が多すぎるんじゃない?」
そりゃそうだ、何もないであろう空の上ならまだしも、地上には色んなものが
ある、という事は・・。
「全部に反応していたら疲れちゃうしね、だから、指向性をもたせる。これが
難しくて、本来の機能としては何ら変わらないのに進化と言われるゆえんね。」
やはり、そうか・・。つまりパラボラだ。あれ?そう言えばイカルガはどうして
たっけ?意識して気配察知はしてなかったような・・まっいっか。
「ゴーレムだと、そのゴーレムのみに当てる様に絞り込めば、コアは魔力の塊
だから、わかる様になるわよ。要は、360°をいかに30°にするかって
ことよ。」
「成る程ね、近々ダンジョンにいくから試してみる。」
「それで、報告って何?ドキドキするわ。」
「いや、そんな大層なものではないんだけど、光学迷彩についてなんだけど、
前に匂いと音が消せないっていう話をしたの、覚えてる?」
「ええ、改良を止めたから・・。まさか改良したの?」
「いや、それはやらないって約束したから、ただ、偶然だったんだけど、刀術
の『朧』と同時使用するときれいさっぱり消えちゃった。小梅にも僕を
見つける事はできなかったよ。」
「・・・まじ?」
「まじ。」
「まずいわね、ばりばりのアサシンスキルじゃない。侵入、暗殺、思いのままよ。
デメリットはないの?」
「同時使用で魔力をかなり使うから、長時間は無理。魔力量が人外だとアサシン系
の動きも可能だと思うけど、ほぼ不可能じゃないかな。」
「ふぅ・・良かったわ。それなら報告はいらないでしょう。でも、覗きはダメよ。
もっと大きくなってからね。」
「しないよ!もう一つデメリットがあって、ダンジョンでモンスターがポップ
しないんだ、素通りするだけなら便利なんだけど、ハントには不向き。」
「完璧に消えすぎるのね、使い所は難しいでしょうけど、別系統の魔法を掛け
合わせるなんて、すごい発見よ!」
「そうなの?」
「考えてもみなさい、光学迷彩を使えてさらに刀術の『朧』も使える人なんて
私に回りにいないわよ。だから、最初から試すも試さないもないの。」
「そもそも、誰もやった事がない。」
「そうよ、でもやった人がここにいる。知ってしまった人もここにいる。」
「いやあ・・僕は必要に迫られただけだし・・。研究はボタン先生にお任せで。」
「新しい魔法の可能性よ、さっきとは違う意味でドキドキするわ。」
お昼はパスタだった。チュルッチュルッ。
器用にチュルチュルする小梅は、もちろん可愛い。
午後からは読書でもしようかと思っていたが、ゴーグルと指ぬきグローブが
無いことを思い出し、レイさんと小梅を伴ってキャロルの所へ行く。
「キャロル、キャロルー。」
「いらっしゃいませ、カエデ様。お久しぶりですね。」
「そうだね、いろいろあってさ。」
「ええ、ボタンから聞いております。」
「デル君量産型、大ヒットしてるそうだね。」
「おかげさまですね。」
「僕は、知らなかったし関わらなかった事にするから、よろしくね。」
「了解しました。ところで、今日は?」
「ゴーグルと指ぬきグローブを、僕とレイさんの分を。」
「承りました。」
少し待つと、数種類のゴーグルとグローブを持ってきてくれた。おお!カックイイ。
「このゴーグルとグローブにするよ、レイさんは?」
「では、私はこれを。」
「ありがとうございます。」
「毎回言ってるけど、今度キャンプ道具を買いに来るね。」
「はい、お待ちしております。」
帰りは寄り道をして、カフェで一休み。僕はコーヒー、小梅とレイさんは
ケーキセットだ。ここはコーヒーもケーキもおいしいのだ。
「レイさん、一か月後位に、神居に行くよ。小梅と約束してるんだ、いっしょに
来る?」 小梅が嬉しそう。
「専属ですから当然ですけど、許可がでますかね?」
「大丈夫、勝ち取ってみせる。」 とこぶしを握った。
屋敷に戻って、お菓子作りだ。今回はマカロンを作ろう。メイドさん達の分と
ダンジョンスタッフの分とガークさん、権じいの分も。すごい量だったんだけど
厨房の手の空いている人が手伝ってくれ、無事に終了。シュリ叔父さんに
「おまえはパテシィエか!」とナイス突っ込みをもらい、僕自身レベルが
アップしていると実感している。趣味なのだが・・。
レイさんとリリーさんに夕食後にでもと、大量に渡す。メイドさん達にくばって
くれるようだ。小梅に一個渡し、味見をしてもらう。ハグハグ小梅だ。
「ウマウマ。」
マリア&ボタンが襲来し、けっこうな量を奪い取っていった。それを見越して
作ってるのでオーケー。
「カエデちゃんの作るお菓子、おいしいのよねえ。お店できるレベルよ。」
僕は7歳であってパティシエではない。ちなみに夕食はカレーで、いい香辛料が
手に入ったと言って嬉々として作っていた為、甘いマカロンの匂いとカレーの
匂いで厨房がカオスになった。混ぜるな危険。カレーは絶品で、今度レシピを
教えてもらおうと思う。もちろん、秘伝のタレも勉強中だ。あと2種類で
コンプリートする。そんな楽しい夕食を終え、お風呂に入ってお休みなさい。
小梅は権じいにマカロンを届けに行った。明日は朝からダンジョンに入る。
アダマンタイトが手に入ればいいな・・。




