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GENTLE LIFE  作者: 一聖
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RACCOON

次はロバートさんの所だ。近いからそのまま徒歩で。

ん!あれ?空地になってる。さては魔導院か教会に潰されたか・・。

バカだったけどいい人だった。安らかに眠るといい・・。


「黙祷。」


「なんで黙祷してんだよ!」 ん?この声は?


「勝手に殺すんじゃねぇ!」


振り返ると向かいのビルからバカないい人が怒鳴っている。


「あれ、消されたんじゃ?」


「消されてねー!バカな事やってねえで、さっさと入って来い。」


バカな人にバカって言われた。では、入ろう。

入ると前とはずいぶんと違う様子、働いている人もいる。事業拡大したのか。


「カエデのおかげで、忙しくしてる。」


よく見ると髪も整っているし、無精髭もない。服もさっぱりしている。


「だれだ、きさまは?」


「だから、ロバートだって。レイはこの間、会ったばかりだろう!」


「何故、私の名前を・・。」 レイさんったら。


「もういい、執務室にいくぞ。お茶をもってきてくれ。」 後をついて執務室へ。


「まあ、座ってくれ。」 おっ!いい椅子じゃん。


「久しぶりだ、屋敷から出れなかった件は、ボタンから聞いている。」


「なるほど、それでこれはいったい、どういう状況なの?」


「バート先輩から聞いてねえのか?デル君量産型が、帝都の貴族にばか売れしてる

 というか、空前のブームになっている。」


「えっ、なんで?」


「装飾されたデル君を腰に付けるのが、ステータスになってる。宰相がつけて

 いろんな所に自慢しまくって、広がっていった。それだけでなく、その貴族達の

 何人かが賊に襲われた時にデル君で華麗に撃退して、さらに火がついた。今、

 貴族用は装飾が追い付かないから3カ月待ちだ。」


父さん、何してんの・・。それに華麗って・・。


「一般用も?」


「さすがに少し値が張るから、そこまで普及はしていない。けど、商人達が

 護身用に買うから、それも結構な売上になるってキャロルがウハウハだ。」


「全く、知らなかったよ。レイさん、知ってた?というか僕、口座あるの?」


「もちろんです。知らなかったんですか?」


「いやだって、僕7歳だよ。この間デル君に銀貨を入れた時、少し震えたよ。

 残高しってる?」


「詳しくは聞いておりませんが、確か虹貨が3枚くらいになってると師匠が。」


「虹貨だってぇ!待って、今、師匠っていった?もしかして母さんが管理

 してるの?」


「そうですが、何か?」


「何か?じゃないよ!母さんだよ!飲む、打つ、買うでも勇者なんだよ!

 レイさんだって知ってるでしょ?」


「それは・・はい・・嫌というほど。でも、まさかカエデ様のお金に手を

 つけるとは・・付けなきゃいーなー・・なんて。」


レイさんの目からハイライトが消えた。ロバートさんの目からも・・・。


「・・・ツバキ先輩。」 とかつぶやいている。


これはもうあきらめよう。ダメ元で今度会った時に交渉してみよう。

スローライフ未来の為に。


「もういい。全く信じられないけど、本当に信じられないけど、大人に

 なるまで母さんに任せるよ。ところで、そんな荒稼ぎして魔導院とか

 教会になにも言われないの?」


「ああ・・言われたよ。言われたんだけど、バート先輩の指示で教皇と

 枢機卿に宝石で装飾したデル君を送った。そしたら、それでヒールを

 撃ちまくって、「ヒールガンマン」って呼ばれて、大人気になって

 信者も増えてウィンウィン。」


「・・・。」


「魔導院にはこれもバート先輩の指示で、筆頭を含め何人かに立体サーキッド

 を仕込んで、宝石で装飾したロッドを送った。ロッドにサーキッドを

 仕込むと、天使の輪みたいなのがロッドの上で回転するんだ。やっぱり

 大人気になって、株が上がりウィンウィン。」


恐るべし腹黒インテリメガネ。ワイロを駆使するワイヤーだ。それで、丸く

納まってるわけだし、さすバーという事だな。


「俺達も、儲けすぎは良くないって事で、孤児院に寄付したり、魔導師を

 雇用したりで目をつけられないようにしてる。」


「今日いちで驚いたよ。でもまあ、みんなハッピーならそれでいいや。」


「なんか、兄貴って呼びたくなる器だな、おい!」


「新しい魔導銃も思いついたんだ。作ってほしいんだけど、先にガークさん

 に頼んだのをなんとかしないとだから、ロバートさんが落ち着いた頃、

 また寄らせてもらうよ。」


「そうか、やっぱカエデは天才だな。だが、断る!」


「なんで!」


「俺、死んじゃうよ。これ以上忙しくなったら、過労死しちゃうよ!」


「大丈夫、さっき黙祷すませたから。」


「い・や・だぁ~。」


帰りの馬車の中で、レイさんにタヌタヌの事を聞いた。確かにいつも寝ていて、

たまにしか見かけないとの事。ただ、実力は本物で、やる気をだせば神獣とも

わたりあえるらしい。


「副リーダーって聞いたけど、リーダーって誰なの?」


「師匠の従魔の九十九さんです。」 ああ、だから出張中。


「九十九さんは三尾の妖狐で、ものすごく強いようです。」


日本時代に九尾と戦った事ある。倒すとかのレベルじゃない、あれは自然災害だ。

まあ、同一人物ではないと思うけど、名前が違うし。「箱庭」にも狐はいる、

天狐の響さんだ。白い狐で空を自在に飛び回る。響さんにも早く会いたいな。

などと従魔トークをしてる間に屋敷に到着。小梅が肩に飛び乗って頭をこすり

つけてきた。寂しかったのか、そうかそうか可愛い奴め。


「頭かゆい。」 あっそ。


部屋に戻りちょうど着替え終わったとき、リリーさんが呼びにきた。

さあ、おいしい夕食だ。今日は魚料理、小梅が喜んでいる。港があるから魚も

豊富で新鮮だ。


「マリア先生、ガークさんの所に行ってきました。短槍も剣も引き受けて

 もらったんですけど、材料がなくて保留になりました。」


「ちゃんと受けてもらったのね、良かったわ。それにしても材料が無いなんて

 珍しいわね。何が足りないの?」


「ガークさんが言うには、ソードブレイカーにはアダマンタイトがいいそうで、

 短槍にも使えるんです。」


「ぶっ、アダマンタイトですって!超レア素材じゃない。しかもソード

 ブレイカーですって、ずいぶんとニッチなものを・・。」


「あれ?そんなに珍しいですか?シュリ叔父さんのソードブレイカーは

 それだと聞きましたが。」


「俺のは偶然、手に入った奴だ。量が少なかったから、あのサイズに

 なったんだ。」


シュリ叔父さんが、ちょっと嬉しそうだ。


「ちょうど今、ダンジョンが鉱物フロアーだからDMに聞いてみようかと。」


「資金はあるのか?なければ姉上に連絡するが。」


「大丈夫。ダンジョンのギャラでなんとかしようと思っているよ。それに、

 母さんが僕の口座の管理してるって今日知って、衝撃受けたよ。」


「まあ、気持ちはわかるが、さすがに姉貴もカエデの金を使い込まないだろ。」


「甘いよシュリ叔父さん。母さんは飲む、打つ、買うの勇者だよ。1ミリも

 信じてないけど。大人になるまで任せようと思って。」


「信頼ゼロだな。」 と苦笑い。


「無理そうだったら言え。都合つけてやるから、デル君もこの領の一大産業に

 なるだろうし。」


「ありがとう、バート叔父さん。」 メガネがキラリンと光る。


ごちそう様でした。今日もとても美味でした。部屋に戻り森の事を聞いた。

残党はいなかったようだ、安心してランニングができる。


「タヌ吉が一度会いたいって。」


「タヌタヌが?ランニングの時にでも訪ねようか。」


「ムリ、タヌキは夜行性。」 そこはタヌキなのね。


明日はボタン先生の授業があるだけで、他に予定はないから、今から行くか。


「よし、じゃあ今から行こうか。」


「うん。」 光彩(改)発動。誰にも気づかれずに森へ。


「居場所、わかる?」


「こっち。」 しばらく歩くとでっかい木にでっかい洞。


「ここ?」


「うん。」


「たのもー、タヌタヌいる?」


「おるぞ。」


ちゃぶ台でお茶をすする、でっかい黄金タヌキがいた。これは、ぶったまげた。

だって緑でも赤でもないもの・・。しかし、今日はいろいろ驚いていたので

もういい。


「はじめまして、カエデです。」


「これはご丁寧に、わしは権之助じゃ。」


「えっ!タヌ吉じゃないの?」


「それは、お前の母親が勝手に呼んどるだけじゃ。お主もタヌタヌと呼んで

 いるではないか。」


「・・母さん。なんかすいません、これから権じいと呼びます。」


「好きにするがいい。」


器用にお茶を入れてくれた。うまい!緑茶か?


「僕に会いたいって聞いたけど、なんでしょう?」


「数カ月前から、強い光を感じておってな、お前さんで間違い

 ないないようじゃ。」


ちょうど、転生したあたりか。


「お前さん、何者じゃ?」


「僕はカエデ・ガーネット、ガーネット家の次男だよ。」


「それは知っておる。赤子の時から見てるしのお。わしは、ツムギに頼まれて

 この辺りを守護しておる。」


「なるほど、僕はガーネットやタチバナに害を成す者ではないよ。今はまだ

 無理だけど、成人したら世界中を旅するつもり。権じいはわかると思う

 けど、大きすぎる力は災いしか生まない。僕はのんびり生きていきたいんだ。

 だから、人前では中の中を演じるよ。」


「災いか・・カエデ、お主はすでに神格を持っておるな?」


「うん。」


「そうか・・神格でありながら、中の中を演じるか・・。カエデ、

 お主はマゾか?」


「違うよ!何言ってんの、この古狸!」


「難儀よのう・・。お主が害を成す者でなければ、それでよい。わしじゃ

 たちうちできんしな。話は以上じゃ。」


「暗くなるから、やめて。また、遊びにきてもいい?」


「かまわんぞ。」


「ありがとう。今度来るとき和菓子を作って持ってくるよ。」


「それは、楽しみじゃな。」


去って行くカエデと小梅を見送りながら、大きすぎる力は災いか・・・。

カエデの望み通り、のんびりした人生を送れるといいがな・・。

せめて、ここにいる間は見守るとしようかの。













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