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ブラックドッグのいる日常  作者: 水木あおい


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17/26

クロ目覚まし

 クロのおかげで真夏を全くバテる事なく乗り切ったが、まだまだ暑い日が続く。

 そして、やはりクロのおかげで寝る事が大好きになった私だが、最近は目覚めもよいのだ。

 最近の朝の目覚めは、頬に濡れた舌を感じる事から始まる。

 一度で目が覚める事もあれば、二度三度と舐められる事もある。たまに狸寝入りを決め込む。

 もちろん、一回でも多く舐められたいからだ。

 クロのよだれはすぐに乾く。乾く時、すうーっという不思議な感触を生み、後には何も残らない。肌に速乾性の虫刺されの薬を塗った時に似ているのだが、あれは妙に肌に残るし、本来の用途が用途だからさすがに涼を取ったり、感触を楽しむために塗ったりできない。

 設定した時間に鳴ろうとするデジタルの目覚まし時計がピ……と音を立てた瞬間に手を伸ばして、軽く叩いて止める。

 そして、今起きたという体を装って、舐めるのをやめたクロの首筋に両手を回して抱きつく。

 それから、ほわほわの耳毛に触れそうなほど唇を近付けて、耳元に囁くのだ。

「おはよう、クロ」

 目覚めが最高すぎて、会社行きたくないなあ。

 でも、クロといるためでもあるし、最近会社の居心地も前より良くなったし、何より、クロがいれば、その他は割とどうでもいいし。

 もう、私はクロがいない生活など考える事もしなくなっていたのだと、ふと気が付くのはこういう時だ。

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