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星にネガイを  作者: シロクロウサギ
第二部:年跨ぎスターライト半月戦争
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第百○三話 スターライト大研究会 美波・輝編

 小休憩を挟んでいた最中、ヘレンはモニターを少しずつチェックしていっていた。

 これから先もプレゼンしていく中で、人員に漏れが無いか、さっきまでのおさらいの中で話し忘れている事が無いかなどをしっかりと目を通している。

 朱莉がやれと言ったりした訳ではない。

 これはただ自主的にやっている事だ。


「ふんふふっふー …ありゃ?自習中?」


「あぁ、主モニター借りてな」


 モニターを動かして、引っ張り出してきたのは彦乃のデータだ。

 だがこのデータについては何も問題は無い。


「彦乃ちゃんがどうかした?」


「いいや? なんか忘れてる事ねーかなーと思ってページ開いただけだ。 …次行くか」


 彦乃に関する各種データは、セレスと朱莉の二人がこれでもかという程詳しく説明してくれていた。

 このデータに関しては、正直ヘレンは何もアテにはしていない。

 最終サンプリングが年末のデブリ大掃除の時のデータとは出されていたが、ヘレンはもう既に彦乃はこのデータを越えていると考えている。

 なので聞かれれば答えもするし既に常識化している情報についても話したりした。

 彦乃の武器はレーダーの超感覚なのもあるが、その進化の速度もひとつの武器だろう、とヘレンは考えた訳で。

 故に彦乃のデータは出すだけ出してロクにおさらいもせず引っ込めた。


「織姫と操…もいいな別に」


 個人で見る分にはA級に値する立派なスターライトへと成長してくれている。

 それはヘレンも素直に嬉しい。

 けれど、織姫と操を一緒に見てしまうと、どうしても思い出してしまう。

 ヘレンも確かに経験してきた、あの頃の仲間たちの事を。


「…なに?ターニャとユーシィの事思い出しちゃう?」


「っ?! そ、そういう訳じゃ」


「彦乃ちゃんにべったりな織姫ちゃんを、ヘレンにべったりなターニャに」


「んなっ!?」


「その二人を優しく見守る操ちゃんを、ヘレンとターニャのバランス役だったユーシィに重ねてるんでしょ?」


「それ以上言うんじゃねえよ…アイツらが可哀そうだろうが」


 流石に朱莉も、それ以上何かを言うつもりはない。

 ヘレンも朱莉がこれ以上彼女たちの名前を出すつもりが無いと分かると、敵意をむき出しにしたような睨みを止めてモニターを元に戻す。


「……今度は青星姉妹か?」


「そゆこと」


「んじゃ頼むぜ」


 それだけ言うとヘレンはモニターを操作するリモコンを朱莉へ渡して、会議の時に自分が座っていた所へ戻っていく。

 丁度同じ頃にレジーナも帰ってきた事によって会議の小休憩は終了。

 再会される事となった。


「よっし、レジーナも戻って来たし続き行くよー?」


「準備はよろしくてよ?」


「四人目は美波だね」


 モニターを動かし、今度は美波のデータを表示する。

 グラフや状態などを表したグラフが表示されているのだが、二人とも思う所があった。


「……悪くはないんだけどなぁ…」


「逆に秀でた所もないようね」


 秀でた所が無いと言うだけであって、決して悪い数値なのではない。

 全体的に高い数値でバランスが良いのだ。

 強いて言うならルミナスの総量が少な目なくらいだろうか。

 だがそれも、彼女の戦闘スタイルがゼロ距離の肉弾戦メインだからという部分も大きい。


「確かに、ステータスは全体的に高水準。総合数値で言えば彦乃ちゃんに及ばないかも知れないけど、スターライト全体として見ればA級に相応しい評価と言っていいよ」


「美波が聞いてたらすっげー喜んでただろうな」


「有り得そうですわね」


 続けて表示されたのは、美波の攻撃に関してのデータだった。

 両手に拡大された画像だ。


「彼女の武器はステゴロ…と言うか自分の拳にナックルを装着して戦う感じだね」


「なーんか美波の戦い方って、昔見てたロボットアニメ思い出すんだよなー」


「ロボット?」


 ヘレンの見ていたロボットアニメとは、彼女が生まれる少し前にやっていたアニメだそうで。

 簡単に説明すると「言って分からない悪党には拳で言って聞かせるしかない」を地で通す作品だとか。

 だからと言って熱血モノかと思えば全然そんな事は無く、シリアス重視のアニメであった。


「いや、アニメの話はいいから」


「どんな戦闘スタイルだったのです?」


 ああ、スマンと謝ったヘレンはそのアニメで見た戦い方についての説明を始めた。

 話し合いで解決しなかった場合はロボット同士での戦闘になるのだが、その戦闘スタイルには主人公なりのやり方があった。

 まず一つ目が、相手が手を出してくるまでは攻撃を行わない。


「あー…確かに美波、昔はよくそんな戦い方してたよねー」


「と言うと?」


「あの子、デブリが出て来ても最初の一撃をカウンターで仕留めるようにしてたんだー。 そのアニメの影響だったのかも」


 そして二つ目が、相手は必ず完膚なきまでに叩きのめしていた事だ。

 ただの一つも例外はなく、その拳で打倒していた。


「美波らしいね」


「確かに、あの子らしい戦い方ですものね」


 そして、その戦い方はとてもシンプル。

 相手が銃を撃ってくるのなら、それを巨大な拳でガードしながら距離を縮め、自身の射程圏まで接近したなら必殺の一撃を見舞う。

 拳は敵に強烈な衝撃を加える事で、敵を内部から破壊するというむごたらしいものだった。

 けれど、強きを挫き弱きを助けるその精神で、作品としてはそこそこに人気があったのだ。


「うん、戦い方まで美波そのものだよ」


「デブリを殴り、振動を叩きこんで内部から破壊する技ね」


 もしかして影響受けてたりして、なんて笑うヘレンとは全然別の場所、学校の教室にて美波が同じタイミングでくしゃみしていたのは偶然だろうか。


「結構強力なんだよね、防御力の高いデブリ相手でも問題なく攻撃を貫通させられるから」


「純粋な貫通力で言えば私以上だな」


 ただ攻撃を貫通させる事に関してだけで言えば、美波の攻撃はヘレンの剣よりも強い。

 デブリの持つ鋼鉄の装甲の内側へ直接攻撃を叩きこめるのだから。

 発けいという技があるが、それに近いものを彼女は持っていた。


「ガントレット自体も堅いしねー。 さ、次行ってみようか」


 モニターを動かすと今度現れたのはSSモード時のデータだ。

 腰に大きな箱状のユニットが追加され、そこへはエネルギーを凝縮し放出する機能が搭載されている。

 それを伝える先は、勿論両腕である。

 太いコードを介して、拳からは衝撃を蓄積され、ユニットからは蓄積し凝縮したエネルギーを一気に拳へ送り込む事で爆発的な火力を産み出している。


「この辺までさっき言ってたアニメとほぼ同じだもんな」


「かなり影響を受けているんでしょうね、あの子は」


 男の子が「ヒーローになりたい」と思うように彼女も「あのアニメの主人公のようになりたい」と思っていたのだろう。

 それがスターライトとして覚醒するとは、なんとも運命的な物だ。


「SSモードのおかげで、瞬間的な火力は彦乃ちゃんのビーム以上だったりするよ?」


「まぁ、彦乃は彦乃でそのビームを撃つどころか振り回したりしてたけどな」


 以前出撃した際にやっていた事だし美波の話ではないのでここは省略とする。


「と、まぁ美波ちゃんについてはこのへんでいっか。 次は妹の輝ちゃん行ってみようか」


 すぐさまモニターを動かし、今度は輝のデータを表示する。

 ステータス上だけで言えば彼女の戦闘能力はA級には届かないB級スターライトだ。

 だが、彼女はそもそも戦闘要員ではない為、B級だろうがA級の塊であるデルタチームに配置されている。


「彼女は戦う為のスターライトじゃないから、このへんのステータスはぶっちゃけどうでもいいのよね」


「強いてあげるなら、ルミナスが多いってくらいだな。 回復能力使いまくる関係もあってこれは有り難いんだよな」


「私の方でも、こうして回復要員を最低一名は配置していますわ」


 これが正解であり最適解なのだ。

 後方から前線で戦う仲間たちを支援するスターライトを配置。

 負傷したりして戦闘に支障の発生した者をその場ですぐに回復させ前線へ送り返すのが彼女の仕事となる訳だ。

 地味かも知れないが、その利用価値は大いに高い。


「まぁ、こっちでは回復の力を持ってるのは今の所、輝ちゃんくらいなんだけどね」


「自力で回復出来るようなのはカウントに入れてねー」


「…?」


 一瞬彦乃の事かとも思ったレジーナだったが、流石の彦乃もそんな能力は持っていない。

 ならば誰が該当するのかと思考を巡らせるもレジーナには見つける事が出来なかった。


「そうそう、輝は何も回復だけが取り柄じゃないんだよ」


「あら、何か技を使うとか?」


「いや? 活性化させたルミナスでデブリの金属を腐食させるの」


「……恐るべき、ね 青星シスターズ」


 姉妹揃って戦い方がえげつない。

 それを言ってしまえば、一撃で敵を確実に屠る操やデブリを消し炭にするほどに焼き尽くせる彦乃もだろうが、それとはまた種類が違う。

 なんというか、彦乃たちとは全然違う方向性で攻撃に残虐性が見受けられる…ような気がした。


「まぁ、対象は輝の触れているやつにしか発揮されないんだけどねー」


「アレだ、ゲームとかでゾンビに回復使ったらダメージ受けるってやつ。 それやってる感じだな」


「おー、分かり易い解説ありがとー」


 本当に分かり易いかどうかはさておき、輝のやっている事としてはだいたいその通りなのだ。

 活性化させたルミナスを、味方に使うのであれば肉体を回復させ、デブリに使うのであれば肉体を腐敗させる。

 とは言っても、戦闘に使える程のものではないのだが。

 数秒は同じ場所に触れていないと効果が表れないのだから。


「ちなみに、SSモードではこれをどっちも範囲内で使えんだ」


「ほいっとSSモードねー」


 朱莉がモニターを動かしSSモードへと移す。

 戦闘要員では無い故に変化はあまり見られないが、それでも全体的な能力の向上はあった。


「範囲とは言ってもごくごく狭い範囲だけどね」


「だいたい手の届く範囲は全部って感じだな」


「だねー」


 SSモードになって強化されたのは、何も範囲だけではない。

 回復するスピードも桁違いに強化されている。

 ほとんど一瞬で傷を完全に治せる程の力を持っている訳だ。


「さって、二人についてはこれくらいでいっかな?」


「いいんじゃないか? まだまだ居るだろ?」


「後は私とヘレンだね」


「……レジーナとかアルファ隊の連中はどうすんだ?」


「デルタ隊と関係ないので省略するよ? 時間もそんなにないし」


 この後にも予定が詰まっているというが、一体何がある事やら。

 そんな事を考えているヘレンn事は放置しつつ、朱莉はモニターを次へと進める。

 会議はまだもう少し続きそうだ。


続く

パーソナルデータ:青星美波・青星輝編


特殊能力について:

各個人が持つ特殊能力を現した物で、内容はスターライト毎に異なる。

稀に同一の特殊能力が複数人に発現する事はありますが、個人により差はある。

しかしその差はステータス上には表れない。

それぞれの特殊能力がどんな物なのかはご想像にお任せします。


青星美波 属性:土 総合戦力:A級

耐久力:A ルミナス:C

攻撃力:A 防御力:A 機動力:B

特殊能力:貫通特性 格闘特性

スキル:振動侵透 防御貫通 姉の怒り


青星輝 属性:木 総合戦力:B級

耐久力:B ルミナス:A

攻撃力:C 防御力:C 機動力:C

特殊能力:治癒特性 腐食特性

スキル:完全治癒 範囲浄化 妹の祈り

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