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星にネガイを  作者: シロクロウサギ
第二部:年跨ぎスターライト半月戦争
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第百○二話 スターライト大研究会 織姫・操編

 彦乃についての説明が終わり、次のファイルを開いてモニターへと出す。

 映し出されていたのは、織姫のスペックデータだった。

 ウィンドウの色を彦乃が仄かに赤色だったのに対し仄かな青色で示しているあたりも細かく調整しているらしい。

 そのあたりは流石朱莉と言った感じだろうか。


「次は織姫ちゃんだね」


「一番最初に彦乃を出したからか、インパクトに欠けるんだよなぁ」


「あぁ、でも彦乃ちゃんよりずっと強いところもあるよ?」


「ふぅん? 一体どこなの?」


「射程と防御力」


 ついつい当たり前だと声に出そうになってしまう。

 槍と銃ならリーチに差が開いてしまうのは当然だろうと。

 いくら彦乃がルミナスの応用で槍からビームのようなものを撃てると言っても、織姫の最大射程には届かないだろう。

 コンペイトウに所属するスターライトの中で一番の射程を持つのが織姫だと言える。


「最大射程は……ざっとこんなもん」


「……なぁ、ケタ間違ってないか?」


「大丈夫、これであってるよ」


 因みに、狙撃銃での射撃の世界記録は約2500メートルらしい。

 仮にケタが一つ増えたとしよう。

 25000メートル。25キロメートルとなる。


「いや見えないだろ」


「その為の彦乃ちゃん」


「……なるほど…」


 名前を出すだけで納得してしまえる程、彦乃の存在は大事な物となっていた。

 確かに彦乃であれば、25キロ先だろうが眼では見えていなかったとしても感じ取る事はできるだろう。

 あとはちゃんと命中するように織姫の銃口を誘導すればいいだけの事なのだから。


「そう考えてみると、あの二人ってすごく噛み合ってんのな」


「そういうこと。 ヘレンとターニャみたいに」


「っ?! つ、次行ってくれよ次ぃ!」


 褒められて照れているのか、ヘレンの顔は少し赤くなっていた。

 すぐに戻ってしまったけれど、彼女自身ターニャと相性がいいと言って貰えると多少の嬉しさと恥ずかしさは確かにその心の中にあった。


「はいよー。 さって、ちょっとクイズ形式で聞いてみようかなっと」


「さっきのセレスさんみたいに?」


「うんうん。 レジーナ、織姫ちゃんの事って見てた?」


「ええ、それなりには」


 スターライトである以上、レジーナはしっかりと織姫の事もチェックしていた。

 彦乃の時のような個人レッスン的な事まではしていなかったが、戦闘記録はしっかり目を通しているし、訓練の時もちゃんと皆の状態確認をしっかりと行っている。

 そんなレジーナが最初に抱いた織姫への印象は。


「第一印象は…ヒコノに依存し過ぎ…かしら」


「その辺はあいつの性格だし、しょうがないんじゃ?」


「実際に相性もいいしねー」


 彦乃が敵を感知し、その方向へ銃口を向けた織姫がトリガーを弾き敵を撃ち貫く。

 シンプルだがこれでいて理にかなってはいた。

 なにせこの状態で既に護衛艦並の性能に匹敵するのだから。

 遥か彼方に居る敵だろうが感知し正確な狙いを実現するレーダーと、そんな彼方にいる敵へも命中させられてしまう射程を持った武器が一緒にいるのだから。


「あとは…狙撃銃、ライフル、拳銃の三種類に銃を変身させられるのは知ってたっけ?」


「遠距離用・中距離用・近距離用 で使い分けてたな」


「なかなかにアクロバティックな方法で交換していたわね」


 狙撃銃から一度手を離すと、手元に戻ってくる頃にはライフルになり、ライフルから手を離すと戻ってくる頃には拳銃になり、拳銃から手を離すと戻ってきた時には狙撃銃になっている。

 そんな感じで織姫はいつも武器を射程に合わせて変化させて戦っていた。


「スイッチは「銃を手放す事」なんだろうけど… これ織姫ちゃんが気付くのにだいぶかかったんだよねぇ」


「今はモノにしてるし大丈夫だろ」


「だね。 次いってみよー」


 モニターを動かして次に出てきたのは、織姫の装備にもある帯だった。

 腰に巻かれた帯は織姫の意思で自由に動かす事ができる。

 それが左右あわせて二対四本伸びており、腕としても盾としても使えるほどに頑丈。

 それだけでなくプロペラのようにして使えば空を飛ぶとまでは行かないが、身体を浮いたまま移動する事も出来てしまう。


「順応性高いよねーこの帯」


「そういや昔読んだ漫画で、布をプロペラにして宇宙から降りてきた宇宙人の女の子とかいたっけ」


「私は布一枚で巨人も圧倒する武闘家の老人を知ってるわね。もっとも、布なしでも強かったけれど」


「あーどっちも知ってるー」


 まるでフィクションのような芸当も、きっとこの帯なら出来てしまうのだろう。

 スターライト相手に何をいまさらとも思うが。


「因みにこの布、めちゃくちゃ堅いんだよ」


「盾にも使えるもんな」


 布のように柔らかな材質であるにも関わらず、その性質は堅牢そのもの。

 振り払うようになぎ払えば剣にもなるし、敵の攻撃の前へ持って行けば悉くを弾き返す盾ともなる。

 そのくせ重さは全く感じないなど、未知の物質で出来てるとしか説明しようがない。


「これのおかげで織姫ちゃんは防御寄りの高評価になってるって訳」


「これ抜きにすると?」


「ちょっと火力が高めなだけのB級スターライト」


 ちょっと辛辣かもしれないが、実際の評価は言う通り。

 この帯による防御力がなければ、本体が堅牢な訳でもなければ盾を持つ訳でもない織姫は、ただ射程が長く銃の火力に秀でているだけのスターライトとなってしまう。


「結構辛辣なこった」


「まあ評価なんて所詮評価だからね。 さ、次行くよー」


 続いてモニターに映し出されたのは、織姫のSSモード時の姿。

 彦乃の時よりも姿の変化が顕著である。

 何より目を引くのはスカート全体を覆い隠しているシールドだろう。

 アーマーのように張り付くだけでなく、可動して前面へ持って行けばシールドとしても使える便利な物だ。

 そして何より、先述した帯よりも堅牢である。


「護りに関してはこの盾、私達スターライトが知る限りで最も堅い…らしいよ?」


「そいつはすげぇな」


「しょっちゅう割られる誰かさんの光の壁とは大違い」


「んなっ?! 単純な物理防御とルミナスでの土台作成の応用を一緒にすんなよっ!」


 単純な防御力であれば、確かに織姫の方がずっと堅牢だ。

 ヘレンの使っているルミナスの壁は元々盾として使うべきものではないのだから、当然と言えば当然だろう。


「それもそっか。 あ、後このシールド、面白い機能あるんだよね」


「面白い機能?」


「ルミナスかき集めて弾倉が作れる」


 しかもいくらでも、なんて朱莉は嬉しそうに付け足す。

 そう考えると持久戦向きな性能と言う事になるのだろうが、元々SSモードそのものが持久戦には向いていないという欠点も持っている。

 身を粉にする勇気と覚悟があればまた違ってくるのだろうが、少なくとも朱莉はそんな無理矢理な使い方をさせるつもりはない。


「織姫ちゃんについてはこのくらいかな 次、そのまま操ちゃん行くよ」


 モニターが切り替わり、今度は操のデータが表示される。

 やはり枠が分かり易く黄色に編集されていた。


「操ちゃんの特性は何と言っても、その武器の量なんだよね」


「何種類持ってたっけ?」


「短刀・撒き菱・苦無・煙玉・手裏剣 五種類ね」


 これに関して、レジーナは特に驚きはしない。

 攻撃として撃ち放つルミナスの属性を自在に変化させる事の出来てしまうレジーナに言わせれば、武器の手数が多いのは自分も同じだからである。


「これぞ忍者って感じの装備してたよねー」


「ただまぁ、やたらエロい恰好してたけどな」


 くのいち装束とでも言えばいいのだろうか。

 とにかく多いのだ、露出が。


「当然、露出が多い分防御力も低いんだけどね」


「どれくらい低いかってーと、彦乃以下だな」


「だねー。 ペラッペラの紙装甲、当たれば死ぬけど当たらなければどうって事はないって感じ」


 生身が露出してしまっているのだから、当然と言えば当然だった。

 故に、敵の攻撃は頑張って回避するしかない。


「まあ防御力が紙な分、威力はすごいんだけどね」


「まぁ、そうだな」


「一撃確殺、でしたっけ?」


 相手の弱点を見極め、そこを確実に切り裂き敵をただただ死という場所へ落とし込む。

 ここを切れば敵は死ぬし、ここが敵の命がある場所だ。

 そういうのが、一目見るだけで分かってしまうらしい。

 変身後に頭部へカメラを取り付け実験を行った事もあったが、そう言うものは見当たらなかった為、これは操本人にしか見えないものであるらしい。

 弱点や攻撃すべき部位が判明すれば、デブリと戦う上で大きな武器となるだろうが、その弱点は操が突かなければ意味が無いとの事。


「まぁ、連発は出来ないんだけどな」


「目が痛むんでしたっけ? ヒコノみたいに」


「性格には眼と脳だね。視野に急激な負荷が掛かって激痛が走るんだとか言ってた」


「SSモードだと連発出来るんだけどな」


 これから言おうとしてたのに、みたいな顔で朱莉がヘレンを睨む。

 むすっとした顔でモニターを動かし、お望み通りSSモードの表示へと切り替えた。


「はい、これがSSモード時の表ね」


 表示された操の姿は、更に露出が増えてもはや痴女にしか見えない。

 だがその実、防御力は下がるどころか上がっていた。

 とは言っても堅牢と呼べるほどの物ではないのだが。


「ルミナスで生成された保護膜が全身に展開してて、一撃までなら ええと? へえ、理論上は彦乃ちゃんの全力全開ビーも耐えられるんだ」


 あくまで限られたデータの中で計算された、理論の上で可能と言われたに過ぎないものだったがそれはすごいと言わざるを得ない。

 大型デブリでさえ屠る彦乃の必殺ビームを耐える事が出来てしまうのだから。

 なお対抗馬は先程話に出てきた織姫のシールド以外にはいない。

 結論も「どちらもSSモード時の物であり、検証は難しい」という答えが出された。


「それもなんかどっかで見たな」


「防御力の低さは相変わらずですから、止まったが最後ですね」


 一撃までなら耐えられる。

 それはつまり、一撃以上は耐えられない事を意味していた。

 少数で大きな破壊力をぶつけてくる大型デブリはともかくとして、数で圧倒してくる小型デブリとは相性がとても悪い。


「だから、こっちも持久戦には向かないね」


「そもSSモードが持久戦向きじゃないけどな」


「だよねー」


 短期決戦型という着眼点で見れば、操のデネブはとても理に適った戦闘スタイルと言える。

 何度も連続しての使用こそ出来ないが、確実に一撃で敵を屠れる眼というのは何よりも強い武器となるだろう。


「あとはアレだ。 分身能力 アレいいよね」


「ルミナスで分身能力作るんだっけか?」


 放出したルミナスを利用して、操そっくりな分身体を生成する。

 それをコントロールするのはデネブらしく、意思疎通も普通に可能である。

 ただ本体と離れすぎると形が保てなくなってルミナスへ戻って消えてしまうようだ。

 使用したデータに基づいた計算によれば、その範囲は少なくとも200メートルは大丈夫なんだとか。


「ちなみにSSモードも引き継げるらしいよ」


「そいつは強力な手札になるな」


 単純な計算としても、SSモードになった仲間が一人増える計算になるのだから強力だ。


「そのうち強化されたら10人とかに分身できたりして」


「出来るかも知れねえな」


 どのように強化されるかは未知数だが、そういった芸当もきっと可能になる事だろう。

 いつになれば実現できるかは分からないが。


「さって次はー」


「アカリ、アカリ?」


 モニターを動かそうとする朱莉をレジーナが呼びとめた。

 その表情はどこか恥ずかしそうな、はたまた苦しそう。


「お花を摘みに行ってもいいかしら?」


「お花…? あぁ、トイレか この階はエレベーターの所のすぐ右にあるよ、いっといれー」


「はぁぁぁぁ…… 社長…せっかくお花摘みって隠してたのに台無しじゃねーか…」


ヘレンのどでかい溜め息が、ブリーフィングルームに響き渡った。

用を足しに行ったレジーナの為に小休憩が挟まれる事となる。

彼女が戻ってきたら、各スターライトの勉強会の再会だ。


続く

パーソナルデータ:琴羽織姫・鵠戸操編


属性について:

付与される属性はメテオーブの持つ属性を表します。

扱う戦法や武器に属性があまり関係ない場合もありますが、持っている属性は基本的に一つ。

種類は大まかに分けて「日・月・火・水・木・金・土」の七種類。



琴羽織姫 属性:水 総合戦力:A級

耐久力:A ルミナス:B

攻撃力:A 防御力:A~S 機動力:C

特殊能力:浮遊特性 迎撃特性

スキル:臨機応変 ファストリロード クイックチェイン


鵠戸操 属性:木 総合戦力:A級

耐久力:B ルミナス:B

攻撃力:S 防御力:C 機動力:A

特殊能力:分身特性 翻弄特性

スキル:一撃確殺 弱点看破 縁の下の力持ち

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