第六話 とっとと突入
「ハァハァァッッ」
「意外と早く、着きましたね」
この息切れがただの歳の現れってんなら、それはそれでお隣の素知らぬ顔で傷付きそ。
「中に入って出られるかもわからんな」
如何にもっつー雰囲気を醸し出す場所だ。
小中高どれでもいいけど、そこそこにデケェ校舎一個分の大きさが待ち受けていやがる。
おまけに廃材やら壁や天井は腐食してて、二度と戻れん入り組んだ迷宮になってそう。
「よし、行くぞ」
言い訳タイムで時間を稼ぎたいが、急を要する事態に、美しい良心が光り輝いていた。
オレん能力が幽体離脱とかだったらなぁ。
「じゃあ悪いが、ココで待っててくれるか」
「えっ、どうしてですか」
「危険区域に民間人連れ回すのはちょっと」
「だって、さっきまで僕もついていく流れだったじゃないですか」
「無駄なことで時間食われたくなかったから。ほら、今みたいに」
「だったら、時間を置いてから」
「最悪じゃん」
やっぱ、置いてくりゃ良かった。
「それが自己犠牲の精神ってヤツか、怖いもの知らずか知らないけど、死に急ぐだけだぞ」
「もう――自分に嘘は吐きたくないんです」
赤裸々に吐露する心情か不確かでいても、瞳は揺らぎなく、拳を固く握りしめていた。
「後悔しても知らないよ」
「はい! 絶対にそばを離れませんから」
どっちかっつーとオレがいうセリフだし、
できれば、1、2メートルくらい離れていてくれると助かるんだがな。
「……すぐに応援が来るから心配すんなよ」
綾を背に迎え、廃病院へ乗り込むことに。
いや、時と場合によっちゃぁ戦場に――か。
一寸先は闇の空間に第一歩を踏みしめた。瞬間、魔物のギラッとした目がピカーンと。
それも、一二三から十数体を優に超えて。
「外出禁止の鬼ごっこが始まるぞ」




