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19 まるであの頃のような

前回のあらすじ:ホテルの部屋で理性が切れて身体を重ねてしまったよ!

「うん、じゃあこれにしようかな」

「……大丈夫? そんなに食べられる?」

 翌日。僕たちはホテルの朝食をそこそこに、外で口直しのためカフェに訪れていた。

 ここは僕が昨日の夜に調べておいたところで、少々値は張るが量より質を追求したところらしい。


 座席は半個室のようになっていて、僕とレミはメニューブックを開いて見ているところである。あ、もちろん向かい合わせではなく隣同士で座っている。こっちのほうが良くない?

 なおメニューブックはコードでつながっている……有機ELを利用したタッチ式で、ここから注文できるとか。ちょっと厚めのラミネート紙にしか見えないので、レミがタッチでスワイプし始めた時には驚いたよ。

「大丈夫、ホテルではそんなに食べなかったからね。レミの方こそ、それだけで大丈夫なの?」

「私は別に、そんなに大食いじゃないし」

 大食い。そうか、レミの基準だと僕は大食いの部類になるのか……そこまでじゃないと思っていたんだけど。

「というか、向こういかないの?」

「ん? ああ……嫌だった?」

 そう言えばそうだった。メニューブックを一緒に見るという口実で隣に座ったんだった。メニューを見終わった今わざわざ隣にいる理由は確かにないけれど、僕としては隣にいてレミをより近くに感じていたいというのがある。特別向こう側に移動しなければいけない理由もないし……。

「ちょ、ちょっと……恥ずかしい」

 ……かわいい。やはり女の子が照れている姿はかわいいものである。

 そういえば学生時代、クラスメイトの女の子とデートしたことがあったなぁ。あの時はその女の子以外来れなくなって、2人きりのデートになっちゃって照れてたっけ。レミと雰囲気が似てたよねあの子。元の世界で今頃何してるんだろうか。

「じゃあ、向こう行くよ。……なんか、こういうカフェとかはあまり変わらないんだね」

「まあ、そうね。特にこのカフェはクラシカルな雰囲気だし、昔ながらのカフェをまねてあるんじゃないかしら」

 まあ、確かに。内装は本物ではないけど、木材風になってるし。流れているBGMもクラシックだし。僕はクラシックに詳しくはないけれど、これはわかるぞ? ジムノペディだ。

「僕からしてみればよくあるカフェだけど、この世界基準だとクラシカルになるんだねー……時の流れは速いねぇ」

「いや、あなたの場合は早いどころかすっ飛ばしてきたんでしょうに」

「まあいいじゃん、学生時代を思い出したし。これでも元の世界では社会人やってたんだよ?」

「あ、そうなのね」

 まあとはいっても、まだ20代だったんだけどね。学生時代を思い出すにはちょっと早すぎるかな? でもあの世界にはおそらくもう二度と戻れないと思われるので、ちょっとした懐かしさを感じてもいいんじゃなかろうか。


「それで、どうする?」

「え、どうって……?」

「今日のデート、行先に希望があれば優先するけど」

 うん、そういえばレミに希望を聞いていなかったなと今更になって思ったわけで。もちろんこのコロニーについて調べては来てあるんだけど、レミの希望があればそっちを優先したい。僕だけが楽しんでも意味がないしね。

「別に、どこでもいいわよ? というか、考えてくれてないの?」

「いやまあ、考えてはあるんだけど。じゃあ……展望デッキに向かおうか」

 どうやら僕にお任せされるらしい。というわけで、まずは展望デッキ。デートと言えばやはり見晴らしのいい場所だろうということで目を付けておいたのだ。

 他には低重力を利用したアトラクション広場とかあるけど、食事の直後に低重力で運動するのは避けたい。吐きそう。


 と、考えていたら注文していた料理が来た……んだけど。

「お待たせいたしました、アイスパイになります」

 ドンッ。効果音で察してほしいけど、想定外に大きかった。写真より大きくないこれ? いや写真通りか……見積もりが甘かったか。

 名前の通り、温かいパイ生地の上にアイスクリームが乗っている料理である。なおレミは普通にトーストだった。……レミの元にアイスパイが置かれたのは気にしない、たぶん店員さんは女の子が甘いものを頼んだのだと思ったんだろう。

「思ったより大きいわね……大丈夫?」

「ん、大丈夫。食べれる」

「ならいいけど」

 まあ確かに大きいとは思ったけど、食べきれなくはない。僕は結構食べるほうだし、これはデザート系。甘いものは別腹、という言葉があるように僕もデザートならいくらでも食べられるので問題はない。……運動はしないと太ってしまうけれども。

「あー……これよこれ、こんな感じのが食べたかったのよね。いい店を見つけたわね」

「ん、口に合ったみたいでなにより。チェーン店らしいから、そのうちレミの領内にも出店してもらったら?」

「まあそうね、発展したら呼び込んでみようかしらね」

 うん、確かにおいしい。日本にいた頃の味覚に近いねこれ。覚えておこう、またデートするときにもこのお店に来ようかな。

 ……あ、レミ口ちっちゃい。ちょっとずつ齧ってるのを見るとなんと言うか……なぜだろうか、げっ歯類を連想してしまう。ハムスターとか。

「何かしら……今とてつもなく失礼なことを考えてなかった?」

「いや、別に。口ちっちゃくてかわいいなと」

 うん、嘘は言っていない。ハムスターの件はあえて言わないだけで、ちゃんとかわいいと思ってるからね。

「そ、そう……あまり見られると恥ずかしいのだけれど」

「うん、恥ずかしがってる姿もかわいいからヨシ!」

「ヨシ! じゃないのよ……早く食べないとアイス溶けるわよ」

「分かってるって。ちょっとだけ幸せを噛みしめただけだよ」

 言ってから思ったけど、こういう幸せって僕は最初から諦めてたんだよね。だから余計に嬉しい、のかもしれない。女の子たちって、大体イケメンに群がるから……。

 僕は自分で言うのもどうかと思うけど、それなりにハイスペックだと思う。いきなり1人暮らししても何の問題もなかったし、成績も上位の方だったし。まあ、見た目頼りなさそうとか言われちゃったりはするけど……いや、それがモテない原因かもしれないけれど、無理してイメチェンしてできた恋人に何の意味があるのかと。

 いや、そうじゃない。学生時代、女の子たちにはちゃんと中身を見てほしかったという話だ。イケメンに食い散らかされた女の子たちは果たして幸せだったのだろうかと、今でも疑問に思う。


 話が脱線した。まあ要するに、今まで素の僕をちゃんと見て、好きになってくれる人がいなかった。だから絶対に、今この幸せを――手放したくはない。

 女の子ってほんとイケメンが好きですよね。まあ作者の周囲の女の子がひどかっただけかもしれませんが……。

 恋は盲目と言いますが、見た目だけで盲目になるのはどうかと思うんですよ。

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