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20 未来の車

前回のあらすじ:カフェデートしてちょっとした懐かしさを味わったよ!

 さて、次の目的地である展望台に向かうにあたって、さすがに徒歩で行くというのはしんどいものがある。まあ僕だけならいいけど、今回はレミとのデートなので数キロという距離を歩かせるわけにもいかない。

 と言うわけでレンタルするのがこちら、レンタカーである。まあステーションの中なので内燃機関搭載ではなく、バッテリー駆動の電気自動車だけど。

「車種は一応、見慣れた形をしているものにしたけど。どうかな」

「まあ、うん。私は車にはあまり詳しくはないのだけれど、いいんじゃないかしら」

 うん、僕としてもまあ普通の乗用車だと思う。4人乗りのセダンタイプ。webページのデートにお勧め、と書かれていた車はまるでデフォルメされたおもちゃみたいなちっちゃい2人乗りだったからねー。まあ別に2人乗りなのは構わないけど、デザインが……ね。


「いらっしゃいませー」

 レンタカー店舗の店内に入り、すぐ横にあるガラスディスプレイにスマートウォッチをかざす。うん、予約認証OK。……ん、店員が来ます? ライセンスの確認……?

「手動運転でご予約のお客様ですねー。ライセンスカード、もしくは認証アプリはお持ちでしょうかー?」

「はいこれ」

「では少し失礼して」

 店員さんがガラスディスプレイをタッチして、何やら操作をする。これは……ライセンス読み取りモード、なるほどこのために店員さんが来る必要があったのね。いや不正利用防止とかも兼ねているんだろうけれども。

「こちらにライセンスカードのタッチをお願いしまーす」

「はい」

 軽く触れさせると、読み取り完了。僕のライセンス情報がディスプレイに浮かび上がる。全ての欄が埋まっているパーフェクトライセンス……確かこっちの世界では、こういう全部解放されている免許の事を”ゴールド免許”って言うんだよね。 確かにライセンス情報画面が金色に光り輝いているけれども。

「……ぇ」

 あれ? 大変、店員さんがフリーズしてしまった。……そんなに珍しいのかな、ゴールド免許。

「あ、あのー」

「あしっ、失礼しました! 確認が取れましたので、はい!」

 んん? 先ほどまでの気の抜けた、間の抜けた雰囲気はどこへやら。光の速さで承認ボタンを押して、車のカードキーを差し出してくる店員さん。

「ど、どうぞ! よしなに!」

「あ、うん」

 いやよしなに、て。別にただのデート用の車を借りたいだけなんだけれど……まあいいや、とりあえず借りれるみたいだし。

「……ウッソだろお前」

「ゴールド……もしかして軍人、いや貴族様……?」

 後ろから声が聞こえてきたので振り返ってみると、若いカップルがいた。僕とライセンス画面を交互に見て目を丸くしている……え、何? ゴールドってそんな、一般人は持てないような感じなの? 店員さんが慌てたのもそれが原因……?

「ま、まあお気になさらず」

 そういって、僕はレミの手を引いて慌てて外へ。さすがにここで立ち尽くしていたら営業妨害になってしまいそうだから。

「……ごめんなさい、これは想定外だったわ。私が免許をあげたのに」

「いや、別にレミのせいではないよ」

 そう、しれっと運転免許はレミがくれた。この世界の、というかこの帝国内では個人用宇宙船の免許証が車の運転免許証の上位互換になっているからね。

 僕は最初から自分の宇宙船に乗って現れたので、まあ超法規的措置ということで免許証をくれたのである。しかも宇宙船をアシストオフで操縦できるフルマニュアル免許証、つまり最上位のライセンスなので自動的に全車種、トラックだろうがバスだろうが手動運転できるっていうね。ありがたや。

「まあ日本にいた頃の感覚だと信じられないかもしれないけれど、この世界だと一般人でも車の手動運転免許を持っている人は稀なのよね。自動運転が普及してるから」

 ああなるほど。確かに自動運転でどこへでも行けるのであれば、わざわざ自分で運転する免許証を保有する理由がないよね。

 宇宙船の免許証だって、アシストオン限定とか、自動航行限定とかの項目が見えたし……そう考えるとアシストオフで全部ぶん回せる僕の免許はオーバースペックというか、本当に軍人とかでもないと必要のないものなんだろう。





 さて、こうして無事にレンタカーを借りることができて、運転を始めた僕ではあるのだが……うん、どうにもしっくりこない。

 レミは隣でくつろいでいるけれど、僕としてはこの車は正直、電子制御が利きすぎて運転しにくいったらありゃしない。アクセルを踏み込めば遅れて加速するし、路面の振動がシートどころかハンドルにすら伝わってこないのは一体どういうことかと。

 僕は前の世界では普通にMT乗りだったので、この辺りは不満である。やっぱ車と言うのは最低限の電子制御……1990年代あたりの、キャブからインジェクションに移行した当たりの時期のが最も運転しやすいと思うんだ。トラクションコントロールとかイラン、車の性能がいまいちつかめない。

「そもそもエンジン音が聞こえないだけでもスピードがいまいちわかりにくいんだよなぁ」

「……私は運転したことがないからわからないのだけれど、そういうものなの?」

「いや、僕はMTに乗っていたから特殊だと思うけどね。ただ、全部自分で操作したい僕にとってはイマイチかな」

「そうなの……この世界の車のほうが運転、楽じゃないの?」

「大半の人にとっては楽だと思うよ、ゲームのハンコンみたいに軽く扱えるし、何も考えずに蹴っ飛ばしても滑らかに加速してくれるし。ただ、僕は……アナログ制御を自分自身で乗りこなすのが好きだから」

「ふーん……」

 イマイチぴんと来ていない様子のレミだけど、これはまあ仕方がないことだろう。普通の人は車を手足のように動かすことよりも楽に動かすことのほうがいいだろうし、ましてやレミは運転したことがない……はずだ、立場と年齢的に。まあ、わからないだろうと思う。


 デートが終わったら、この世界の車の事情についても調べておこうかな……ガソリン車はまだ生き残っているのかとか、電子制御のない車が公道を走れるのかとか。

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