エピローグ……?
「明日の1限は花葬です。」
先生の声が響く。広い木造の教室。14人分の席が用意されたこの場所に座る子供たち。この日を14人全員で迎えられたならばどれだけ良かっただろうか。短い言葉の1文字1文字が、教室に染み込む。この木造の教室は一体何回この言葉を聞いてきたのだろうか。そのようなことを考えるのは、もうやめたはずだったのだが。
…………頭が痛い。思考にモヤがかかり先生の声も小さくなる。
「……これで終わりだね⋯⋯。」
誰かの声が漏れる。
⋯⋯遂にこれで6回目。
もう誰も⋯⋯死なずに済む。
先生が口を開く。
「これにてエルピス魔法学園、全ての定期テストが終了しました。皆さん、お疲れ様でした。」
労いの言葉に反して先生の顔は暗い。
私たちはこの1年、様々な事を経験した。
出会いと別れ。成功と失敗。……希望と絶望。
私、ノア・アイフィールはこの1年を思い返す。
教室の天井を軽く仰ぎ、言葉を紡ぐ。
「………。楽しくは…なかったね。そう思うでしょ?ミラ。」
いつもの様に同意を求めて隣の親友に手を伸ばす。
返答はない。
「ああ…そうだった………。
あなたはもう…居ないんだったね。」
誰にも聞こえないほど小さなつぶやきが教室に吸い込まれる。重ねようとした手が触れたのは、固く、ざらついた木製の二人掛けの椅子だけだった。
「花葬用の鈴蘭…買いに行かないとね。」
その言葉に応えるものはもう、居ない。
……頭痛がひどい。ズキンズキンと痛む。
これは、私の親友が死ぬまでの物語。




