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私の人生は誰のもの?~運命の番なんてお断りです!~  作者: 結記
第5章『終わりへのカウントダウン』
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7

 驚愕に見開かれた瞳。戦慄く唇が何かを紡ごうとするけれど、発言をも封じられた舌先では言葉を産むことも出来ず。ただ音にも為らなかった雫が、抉れた地面に沈んでいくばかり。


(………まぁ大方、言いたいことは『どうして』だろうなぁ)


 どうして、レノンバルトの魔力が可視化されているのか。

 どうして――――この魔法(・・)をレノンバルトが知り、且つ。

 どうして、唱えることが出来ているのか。


 どうして、どうして、どうして、と。


 自分に置かれた状況も、これを切っ掛けに飲み込めてきたからこそ、再び混乱し始めたのだろう。

 ………いや、混乱はずっとしていたか。


(まぁどちらにせよ、今更か)


 今更、混乱を自覚したところで、もう遅いことには変わりないのだから。


 ――――魔女の魔法。


 かつては多く存在したという、魔女たちが遺したとされる本物(・・)の魔法。


「tse sutidnocsba roloC」


 しかし、その殆どはそもそも文献に残されておらず。

 仮令、記述が見つかったとしても、魔女の魔法は魔女にしか扱えれないのだ。


「tse snedualc muidO」 


 ただひとつの例外(可能性)を除いて。


「tcennoc abreV」


 トゥルバに伝わる、伝説の魔女。

 始まりの魔女と呼ばれた彼女が眠りについたのを境に、多くの魔女たちはその姿を晦ました。

 というのが、トゥルバで広く知られている伝承である。


 それはまるで、初めから自分たちは存在していなかった。


 と言わんばかりに、一つの痕跡も残さずにである。


「enif ni tis diuQ」


 そう。たった数人の魔女たちを除いて。




『魔女の魔法……って、レノンバルトでもそれは難しいんじゃ……?』

『ん?―――あぁ、大丈夫だよ。クルト』


 直前になって共有されたレノンバルトの計画。

 そこへ当り前のように組み込まれていた魔法の存在。


 優秀であることは知っているけれど、流石に厳しいものがあるのでは?と心配するクルトへ彼は余裕たっぷりの笑顔で一蹴したのだ。


『だって、僕は』



(『魔女の子孫(・・・・・)だから』、かぁ)


 トゥルバに残ることを決めた魔女たちは皆、家庭があったという。

 その内の1人が、レノンバルトの一族にも居たのだ、と。


 あまりにもあっさりと打ち明けられた事実に、思わず耳を疑ったのも記憶に新しい………ってそれもその筈か。


(……『覚醒者』でも無いのに優秀なのは何故だろうとは、思っていたけれど)


 魔女の血筋ならば、全て辻褄が合う。

 と、1人合点がいき、頷くクルトを他所に。


「oeconnI」


 ただ、粛々と最後の一音を紡ぎ上げたレノンバルトが掲げた杖の先で―――。



 光は、砕けた。



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