↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の人生は誰のもの?~運命の番なんてお断りです!~  作者: 結記
第5章『終わりへのカウントダウン』
60/71

2


(……ざまぁないね。)  


 魔力を使い果たし、起き上ることもままならないのだろう。  


 それでも運命(彼女)を求め足掻く男の指先を、容赦なく踵で踏みつけて姉の下に駆けて行った親友を見れば、今まさに。


 自らの姉が無事であったことに喜び、固く抱擁を交わし合っているところだった。  



 その、深い姉弟愛を具現化したような光景は、非常に感動的で素晴らしく美しい―――と、素直に思う一方で。


(眩しい、な。)  


 きょうだい(・・・・・)どころか、家族関係も稀薄な中で育ったその少年にとっては、余りにも。


(羨ましいとは思わないけれど……でも、)  


 それでも、少しだけ、いいな。


 と、思ってしまいそうになる心から目を逸らすように。  

 少年は視線を二人から、地面へ堕ちたまま動けずに居る男へと移した。


(それにしても、ほんと……諦めが悪いよね。)  


 乱れ崩れた前髪の隙間から覗く、朱色の瞳。

 かつては自信に爛々と歪んでいたその眼差しは昏んだ淀みだけを残し、ただ一点を見つめ続けていた。

 その先に誰を見ているのかなど、確かめずとも明白だった。


(でもさ……)  


 薄く開いた唇から漏れ出る呼吸の音に混じって繰り返される、「どうして」へのこたえが返ってこないのと同じ様に。


(彼女が、貴方を振り返ることなんて、絶対に無いんだよ。)  


 ただ、そう教えたところで、貴方は納得(りかい)することも無いのだろうけど。


(本当に、どうしてこうなってしまったんだろうね。)  


 ――――、兄上(・・)  


 と、喉まで出掛かった音を溜息に逃して、少年は。


「クルト(・・・)」  


 そう自分を呼ぶ親友の声に、顔を上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。