砕けた“運命”。:ベネディクト
(どうして……どうして、なんだ。……なんで……なぜ……?)
解からない。分からない。わからない。ワカラナイ。
運命の番はエリザベスなのに。
今、正しく、証明された、はず、なのに、なんで。
運命の番の気配が、感じ取れない。すぐ傍に、あるのに、届かないのは、どうして?
耳の奥で絶えず木霊し続ける、無機質な断裁の音。
脳内に駆け巡る、絶望、喪失、悲痛、幾重もの激情。
尽きぬ衝動に戦慄く全身と、渦巻く動揺に遠退いていく視界。
それでも、確かめたくて―――何を?
わからない、けど、知りたくて。
運命の番を縋るように見上げた、ベネディクトが視たのは。
エリザベスに近寄る、冷たい男の存在。当り前の顔をして、傍に居たあの。
(…………あぁ、そうか。そうなんだね、僕の運命。きみは……)
あやつられてるんだね?そのおとこに。
そうだ。こいつが、僕の運命を脅して、操って、こうするしかないとエリーは追い詰められてしまったんだ。
だから、だから、だからなんだね。あぁ、そうだ。そうに決まってる。そうでなくては。
(だいじょうぶ、だいじょうぶだよ。僕の運命)
いますぐはむずかしいけれど、まりょくさえかいふくすれば。
ぼくがたすけてあげれるから。ときをいっしょにもどそう。
そうしたら、ぜんぶ、ぜんぶ―――
「……え、り……べす……」
僕の、唯一。僕の、運命。たった一人の、大切なきみの為なら、僕は。僕は。
※
振り絞るように少女へと差し出されたベネディクトの掌は、またしても。
彼女に届くことはない。それどころか、エリザベスの視界に入ることすら無かった。
何故ならば、不意に揺れた空間の狭間から現れた二人組の少年たちによって阻まれたからである。
「お待たせ、姉様。ごめんね、遅くなっちゃった」
そう言いながら、ふわりと。
ベネディクトとの視線を遮るように、二人の前に降り立ったのは、エリザベスとよく似た見た目の少年―――そう、レノンバルトであった。
第4章・完




