2ー 華麗なる一族
誰もが羨み、誰もが憧れる覚醒者であり、次期公爵家筆頭当主候補として名高き貴公子、ベネディクト・スカーピオ。
その家族もまた、その名声に劣らぬ功績と経歴を持つ者たちばかりである。
現公爵家当主である父ルイ―ト・スカーピオは王立魔法師団の総帥をも兼任する『支配魔法』の覚醒者であり、実母であるノーラディーンは守護魔法の名門である辺境伯家の出身。非覚醒者ではあるものの、浄化魔法に於いては右へ出る者は居ないとされるほどの実力を有している。
そして、それはベネディクトの5人いる弟妹達もまた、然り。
まずは長弟アルヴァント。学生時代の成績は常に10位以内を維持し、生徒会にも副会長として所属していた彼は現在、王立魔法師団の第二部隊に王家専属護衛官として着任。
誰に対しても平等で明るく接する性格しており、そのことから『気さくな王子様』として多くの人に慕われ、社交界でも人気を博している1人でもある。
次に、長妹シュヴァーナ。彼女は魔力量が他の兄妹達と比べて少ないことから、その差を埋めるべく得意とする音楽に魔法を組み込ませる――――通称『音楽魔法』を編み出した努力家の才女として知られている。今は、王立魔法師団の第一部隊(総帥直轄部隊)に所属し、その中でも後方支援を担当。母親譲りの美貌から『スカーピオの女神』とも例えられることも。
それから双子の弟妹、ヴィルモンドとニーナ。二人は『スカーピオの双天使』とあだ名されるほど愛くるしい見た目をしていることで有名だ。
中でも姉であるニーナは父ルイ―トと同じ支配魔法を得意としており、学園での成績も優秀。故に、将来は王立魔法師団の第一部隊に所属することが内定しているのではないか、と昨今の社交界では噂されている。
そんな彼女とは対象的に、弟であるヴィルモンドは全くと言っていいほど魔法の才を受け継がなかった。代わりに、幼い頃から多くの魔道具や魔石に触れる機会が多かったことから優れた審美眼を身に付け、その実力は今や名だたる鑑定家達の折り紙付きである。
そして末弟のクルト。まだ未成年であり学生でもある為、彼に冠する情報は極端に少ない。が、ある理由によって彼は常に社交界から注目されており、事あるごとにベネディクトと比較され続けていた。
―――その理由と言うのは。
彼だけが、ベネディクトと同じくスカーピオ公爵家の特徴を正しく受け継いでいたからである。




