表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/50

1ー 君だけを

時系列は舞踏会まで遡ります。あの日の彼視点。ベネディクト・スカーピオの話です。

(……エリー―――僕の、僕だけの運命の番(エリザベス))


 飾りは少ないけれど、繊細な刺繍が折り重なるように施されたスカイブルーのドレスは晴れた空色の瞳をした君によく似合っている。


 彼女が自分で選んだのだろうか。

 それとも、あの姉思いな少年と一緒に決めたのだろうか……だとすれば、少し心が疼いてしまうけれど、でも彼は君の弟だからね。


 大丈夫、今は我慢、出来るよ。

  

(でも、次は僕の送ったドレスを着てほしいな)


 きっと紅薔薇のドレスも、その柔らかな小麦色の髪によく似合うはず。あぁ、いや。最近流行りだというミモザの色もいいな。君は花が好きだから、髪飾りやネックレスなんかにあしらってもいいかもしれない。


(そうと決まれば、この後デザイナーを呼ばないと)


 あぁ、楽しみだ。君が僕の色を纏ってくれる、その日が早く訪れることを、ずっと望んでいたから。


(早く見たいな、その姿を。そして、そんな君と踊りたいよ、エリー)


 知っているんだ。君が本当は踊ることが好きなこと。学園の中庭で、水しぶきと戯れながら舞う、君はとても綺麗で可愛かったから。あぁ、あの笑顔もまた見たいな。……ねぇ、エリー。エリザベス。僕は君の為なら、どれほど待たされても構わないって思ってるんだ。我慢だって出来る。だからね、エリザベス。


(……出来るだけ早く、受け入れてほしいな。僕の、この想いを)

 

―――舞台の中心。柔和な微笑みを浮かべ、静観していた彼の口元が僅かに歪む。けれど、目の前で繰り広げられる弱小貴族(キールエラ家)のお家騒動に夢中な人々は、気付かない。


 そもそも。


 意気揚々と彼との関係を自慢していた少女(自称運命の番)の声も。

 彼女を断罪するキールエラ家(彼女)若き当主(あに)の宣言も。

 それにひそひそと好奇心に囁き合う観衆(野次馬)たちのざわめきも、何もかも。


 彼の耳には何一つ届いていなかった。


 最後まで、彼の視線は、意識は、全ては、ただ一人。


 引き摺られるようにして、会場を後にした彼女(運命の番)にだけ、向けられていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ