表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/50

かぞくの在り方/レノンバルト・“キールエラ”

愚かで哀れで、どうしようもない、僕の「あに」だった人へ。

 家族とは、何を持って定義付けられているのだろうか。


 嫉妬()羨望()そして()深い()後悔()を滲ませた蜂蜜色の瞳が、泥に伏している。


 その様を見下ろしながら、何度も抱いてきた問いを再び掛け直す――けれど。


 リューンハルト・キールエラ。


 雨に泥濘んだ土の上で項垂れている、男。一応の、家系図的には()にあたる人。


(……そう、家系図的には(・・・)、ね。)


 いつも長い時間を掛けて整えている琥珀色の髪は乱れ、お気に入りのジャケットは皺だらけ。

 生成りのシャツにまで飛んだ泥の後が重ねるのは、男が今の今まで家族(・・)へ向けてきた感情を現しているようだった。


(ねぇ、にい(・・)様。本当にあなたはどうしようもない(愚かで哀れな)人だよ。) 


 ――――でも、あなたがそうなってしまったのも、無理はない。と、知っているから。


「あなたは、一言聞けばよかっただけなんだ。そして――僕たちも、気付くべきだったんだ。」


 あなたの抱える苦しみに。


 そうしたら。気付いていたら。問いかけていたら。父と母(あの二人)ならば。


 そっと抱き締めながら、教えてくれただろう。何時ものように優しく。


 あなたの瞳が、空色(スカイブルー)でも菫色(ヴァイオレット)でもない理由を。

 あなたの髪が、父と僕よりも明るい(暗くない)、その意味を。


 あなたを意味するガーデン(かぞくの)オーナメント()が、どこにあるのかも。全部。


「……でも、あなたは聞くことを諦めてしまった。僕たちは僕たちで、姉様のことに掛かりきりだった。」


 それを言い訳にするつもりは無いけれど、でも。

 それが要因の一つで、気付けれなかったことは事実なのだ。


「ねぇ、にい様。流石のあなたでも分かっていると思うけれど、僕たちが会話できるのもこれで最後になるんだ。」


 本来ならば、父がやるべきこと。けれど、もう真っ直ぐ父のことを見ることが出来なくなったこの男に、幾ら言葉を重ねてたところで何も届かないだろうと、レノンバルトの独断で役目を奪ったのだ。


 これ以上、もう。無意味な傷を付け合い、抱えるかぞく(・・・)の姿など見たくはない。などと言う、レノンバルト(末っ子)我儘(特権)で。


「だから、話そう。」


 場合によっては、殴り合いも厭わないよ。


 幼い頃、転んだ自分を助け起こしてくれた時のように差し出してみた、手のひらへ。


 重なった温もりに、最初の問いを綴ってみる。


「ねぇ、兄さま(・・・)


 あなたは、かぞくの在り方をどこにあると考えているの?って。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ