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「……は?」
困惑や混乱などを通り越して、真っ白となってしまった脳内。
己を取り戻そうと試みはするものの、動揺に硬直した思考は使い物にならない。
それどころか、触れたときの柔らかい感触や、思いの外熱かったことだとかを繰り返し思い出させてくる始末。
(……だめだ、埒が明かない)
自分はこんなにも脆かったのだろうか。
と、少女の行動ひとつで真面に機能しなくなる己と言う存在が、恥ずかしくなる。
それでも、一度は少女の行動の意図を探ろうとした。が、やはりと言うべきか、考えは上手く纏まらない。
ならば、いっそ少女に問いただそうと、散り散りになっていた理性を搔き集めて、無理やり己を立て直そうとする――――男がいる一方で。
コトを起こした張本人である少女もまた、動揺の最中に居た。
(……き、キスしちゃった…………)
瞳と同じく、冷たいようでちゃんと暖かかった感触がまだ唇に残っているような気もする。
ドキドキ脈打つ心臓の音が、先程までとは火にならないほど煩い。
顔もきっと、風邪を引いたのではと思ってしまうほど赤く染まっていることだろう。
(……か、影で見えてないよね?それ、で……この後はどうしたら……)
ほんの僅かな触れ合いでも、体内の魔力が確かに増えたことは確認出来た。
つまり、やり方は合っているということ。
(……も、っかいしてみる……?)
ちらりと男の様子を伺えば、まだ硬直したままの様子。
男からすれば、この行動は唐突過ぎたのだろう。ほんの少しだけ申し訳なくなるが、やったことに後悔はない。
そもそも一度してしまえば、二度目も同じである。そう思えば、心にも余裕が産まれてきた。
(……よし!)
意を決して、二回目を試みようとした少女。けれど、今度は男の方が早かった。
「……なにをしようと?」
重なりあう直前で割り込んできたのは、男の手。
そして、深いため息と共に吐き出された問いに、少女は思わず口籠る。
「……自分が何をしたのかは、分かっているのか?」
「……―――――……」
目線を泳がせた少女に重ねて問えば、観念したかのように眉尻を下げた彼女が小さく顎を引いた。




