4:原因
「……ここは、妖精…………いや、『不可侵の森』だったな」
君の国では、確かそう呼ばれているのだろう?と、エリザベスの問いかけに答えた男が、消えそうな炎を見つめながら続ける。
明かされた、所在。
それは、エリザベスが目的地としていた場所である。
(……だけど、)
現在地が分かったことで新たに浮上した、幾つもの疑問が脳内を渦巻く。
そも、エリザベスは魔法を失敗し、馬から確実に落ちたのだ。
その証拠に、今も背中のあたりがズキズキと痛みを訴えている。
馬が拾い上げ、もしくは咥えて運んでくれたのではないか―――と可能性が過った。
しかし、王都から此処まで。最低でも2週間は掛かるのだ。
流石に無理だろう。と、考えを振り払った。
と、なれば。
可能性の一つとして浮上するのは、目の前の男が此処まで連れてきてくれたのではないか、である。
(でも、たとえどんなにお人好しだったとしても、意識のない女を拾って、2週間の距離を移動してくれる人……には見えないし……)
近場の宿までは運んでくれそうではあるけど。
だとすれば、いったいどうやって自分は此処まで来れたのか。
最後に脳裏へ過ったのは、あの魔法が失敗した時に起きた、大閃光。
爆ぜる直前、何かの紋様が見たような気もするけれど、落馬した衝撃の方が強くて、記憶に自信がない。
(…………考えても原因は分からないし、一旦置いておくことにしよう)
レノンバルトにまた相談すれば、何か分かるかもしれないし。
一先ず、今は家族と合流するべく、体力と魔力を回復させるべきだ。
そして、この目の前の人が信頼できるかどうか、知ることである。
「……私の国では、と言っていたけれど、あなたは他国の人なの?」




