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a2:白銀に映る空
大きく見開かれたその瞳に白銀の影を認めて、自分が手に剣を握ったままだったと思い出す。
しかし、雨で湿り気を帯びた鞘はまだ十分に乾いたとは言えない。仕方なく、手入れに使っていた布巾を広げて、その上に寝かせる。刃が見えないよう、覆い隠せば、一先ずは少女も安心するだろうと考えて。
(……あまり、意味は無いだろうが。)
少女が目覚めていることには、衣擦れの音が耳に届くよりも前から気付いていた。
規則正しかった呼吸が不意に乱れ、それを誤魔化すようにうたれた寝返り。
そして探るような視線が、炎越しに突き刺さる。
恐らく何処からか逃げ出してきたのだろう、少女。
馬から落ちた拍子に気を失い、意識を取り戻したと思ったら、そこは見知らぬ場所である。
それも傍には見知らぬ男が居て、剣を触っているのだ。
警戒することは当然のこと。それに、怯えも滲んでいた。
明らかに訳ありな様子の子を、徒に刺激しない方が良いだろう。
そう思い、沈黙を護っていたのだが、逆効果だったかもしれない。
内心そう思いながら、これ以上威圧的にならないよう、勢いが衰えてきた炎へと視線を移す男へ。
意を決した様子の少女が、口を開くのが見えた。
「…………――――ここは、どこ?」
長い逡巡の果て、絞り出すように問うその声は震えていた。




