第8話 奴隷
アイリス姫と共に王都を散策していたケンは別れて父親のところに戻る。
アイリス姫も、後ろからこっそりつけていた護衛騎士と共に城に戻って行った。
ケンが父親のところに戻っている道中、ある現場に遭遇した。
2人組の男性に痛めつけられている女性。
それを見たケンは、動かずにはいられなかった。
「ちょっと!!これは何があったのですか!!」
ケンが間に入った。
「あ?てめぇには関係ねぇだろ。失せろや。」
「この女性と知り合い?見知らぬ人なら早くこの場を離れた方がいいよ?」
ケンは引かなかった。
「……初めて会う人だけど、明らかに無抵抗の人間を痛めつけてるところは見逃せない!!」
男はため息をついた。
「なんだてめえ、ここに来るのは初めてか?
何にも知らなそうだもんな!」
「いい事教えるよ。これは兄貴の所有物、つまり、奴隷という事だよ。
だから君には関係の無いことだから離れてくれない?」
「奴隷……!?(よく見ると髪はボサボサで、服も小汚い。かなり痩せ細っている……)」
初めて「奴隷」を目の当たりにしたケンはそれでも引かなかった。
「奴隷だから?所有物だからって、見逃す訳にはいかないだろう。お前たちのやってることは人では無い!!」
「ムハハハハ!小僧が一丁前に説教垂れやがる。……てめぇそんなに偉いのか?ああ?」
止めるケンの足を、女性が掴んできた。
「あの……私なら大丈夫だから、早く行ってください……」
笑顔を見せる女性、とても大丈夫そうには見えない。
「ほら、彼女もそう言ってるし、僕ら貴族に手を出せば君もこうなるよ?」
事実、ケンはまだ近衛騎士にはなっていないため、貴族に逆らう事は認められない。
ケンの中で認められない部分もあったが、仕方なく受け入れた。
「分かりました。貴女が大丈夫と言うのなら……何も見ていません。それでは……」
ケンは、今の自分の状況を理解したが、不満は消えないまま、現場を離れた。




