第4話 アイリス姫②
スタフィ城に戻ったアイリス姫とその騎士ユーヴェル。
出迎えたのは教育係のセルティだった。
「姫様!心配しましたぞ!!未来の王女様がそのような事をされては困ります!!姫様の責任は我々にあるのですから!!」
「申し訳ございませんセルティ。城の中はとても退屈ですもの。」
セルティはユーヴェルを睨みつけユーヴェルの耳にこっそり話しかける。
「後で話を聞こうか。」
――アイリス姫は部屋に戻り、セルティはユーヴェルを咎めた。
「ユーヴェル、貴様どういうつもりだ。護衛がついておると言いながら貴様一人赴いて帰ってきたのはお前と姫様の二人ではないか。
しかも、姫様は猛獣に襲われたとも聞いたぞ。」
「ええですから、僕が護衛したのですよ。僕がいれば問題は無いでしょう。」
セルティはユーヴェルの胸ぐらを掴む。
「ふざけるな!姫様の命の危機もあったんだぞ!!これは大問題だ!権力剥奪出来ないとはいえ、しばらくは謹慎処分してやるぞ。」
ユーヴェルはそっとセルティの手を掴む。
「ご冗談を、僕はしっかりと姫様を連れ戻しましたよ?。護衛がいないことは分かっていたのであの後すぐに姫様の元へ駆けつけましたから。
そして何より、僕の言ったことは絶対だ、僕が大丈夫と言えば大丈夫なんだよジジイ。
分かったら手を離せ。」
「余程の自身だな。この事は国王様に報告させてもらうとする。貴様は調子に乗りすぎたようだ。」
セルティは手を離し、去っていった。
――アイリス姫は外を眺めていた。
彼女の元にユーヴェルが立ち寄る。
「お互いセルティの説教は長かったですね。
私の場合は特に問い詰められました。」
「セルティは仮にも教育係、アイリス姫を立派な王女にするのが大任ですから。」
アイリス姫はどこか暗く、元気が無かった。
「ねえユーヴェル、権力の高い者でも自由ってそんなに大してないんだね。」
「(アイリス姫が敬語じゃなくなった時というのは本心で語っている証拠。)そんなことありませんよ。この身分では物事の全てをご自身で決められるのですよ。」
「それは貴方が最強だからでしょ?私は貴方と違って肉体的にも、精神的にも弱いの。」
「アイリス姫は強いですよ。姫には誰も持っていない特別な力があるのですから。」
「でも!その力が私の体を蝕んでいる!!私にとってこの力は邪魔でしかない!」
ユーヴェルはアイリス姫の手を胸に持っていく。
「落ち着いてください。姫にとっては邪魔な力かもしれませんが、その力は必ず大きく役に立つ時が来ます。
この世界に無意味なことなんてありません。」
「無意味よ……私には分かる。私にしか知らない……」
ユーヴェルは手を離し、並んで外を眺める。
「アイリス姫、ケンという男に惚れましたか?」
「……どうして急に彼の名前が出てくるの?」
「セルティの目を盗んでまで城を飛び出した理由は彼でしょう。一人で森にまで入って、自身の身の安全を捨ててまで、彼に会いに行った理由は、その力が関係あるとしか思えません。
彼に会ってみてどうでしたか?自身に何か変化を見い出せました?」
「……ちょっと強い男の人って感じでしたわ。ただそれだけで今は何も分かりません。」
「今は……ですか。」




