第055話:【幕間】黄金の大収穫祭と、ヒロインたちの「豊穣の漏電(おねだり)」
大陸暦一二五五年、春。
ゼーフェルト辺境伯領の北部に位置する「新生ロベルト直轄領」は、冬の間に撒かれたクローバーの輪作とpH中和の成果により、春の収穫期を迎え、見渡す限りの黄金色の麦畑が風に揺れる豊かな季節を迎えていた。
領主本邸の裏手に新設された巨大な穀物倉庫。
その扉が開け放たれ、中までぎっしりと積み上げられた小麦の麻袋を前に、ルディ・フォン・バウムガルト(十六歳)は、特大のガッツポーズをキメていた。
(よし! 完璧な収穫量(KPI)だ! これで今年の食料ハザードは完全排除! 俺の有給サボりライフを脅かす暴動リスクもゼロになったぞ! 完全無災害、ヨシ!)
ルディが内心で歓喜に震えていると、背後からピカピカの作業着やダウンベストを身にまとった側近ヒロインたちが、次々と感嘆の声を上げて集まってきた。
「若君……っ! ご覧ください、この圧倒的な収穫量! かつてのロベルト領では考えられなかったほどの黒字決算(豊穣)ですわ!」
財務主任のテレーゼが、知的で美しい丸眼鏡を興奮に光らせ、分厚い台帳を胸に抱きしめる。
「ルディ様の『安全第一』の教えと、大地の分子構造を柔らかくする魔法のおかげですね……っ!」
「ルディ様、お待たせいたしました! 今年の初物(新麦)を使った、ハサップ基準のふっくら焼きたてパンと、フロスト・ボアのお肉たっぷりシチューです!」
炊事主任のミリーが、サシャやリタたちと共に、湯気を立てるご馳走を山盛りに乗せたワゴンを運んできた。
広場に集まった五十人の乙女たちや、警備隊の男たちからも、「雷神ルディ様万歳!」「安全第一、ヨシ!」という地響きのような大歓声が上がる。
「さあ、みんな食ってくれ。労働の後の十分な栄養補給は、作業員の健康維持の基本中の基本だからな」
ルディが冷徹な管理者スマイルを浮かべて頷くと、領民たちは感涙しながら焼きたてのパンを頬張り、その美味しさに次々と平伏していった。
完璧な平和。完璧な福利厚生。
だが、その大収穫祭の空気は、ルディのすぐ傍らで、急速に淫らで危険な熱を帯び始めていた。
「はぁぁ……っ。ルディ様が土から育てたこの麦、とっても力強くて、甘いですわ……。まるで、毎晩私の炉心をかき回してくれる、ルディ様の『熱い電気』みたい……」
超高熱線魔術師のエルザが、パンを咥えながら、豊かな双丘をルディの腕にむにゅっと押し付けて蕩けた吐息を漏らした。
「ちょっ、エルザ、みんなの前で何を……!」
「ずるいですわ、エルザ様! 私だって……っ。若君、この圧倒的な大豊作の『特別ボーナス』として、今夜は私のガチガチに強張った自律神経に、若君の電撃パルスでたっぷりと極上の報酬を流し込んでくださいませ……っ!」
テレーゼが丸眼鏡を外し、薄いシュミーズの胸元をはだけさせながら、心地よいデトックスの汗でじっとりと濡れた太ももを擦り合わせる。
「ルディ様! 倉庫の物理セキュリティ(防犯)は、この私が完璧に維持しております! ですから……今夜は私の太ももの内側(放電痕)の警備(安全点検)も、朝までみっちりとお願いしたいのであります!」
現場警備主任のヒルデも、お尻をそわそわと揺らし、ズボンの下にある『魔力伝導パス』を激しく疼かせている。
「私も! 私も、ルディ様の美味しいパンを食べたら、急にお腹の奥がズクズクしてきちゃったの! だから、今夜の前方探知(特別お仕置き)、絶対に私からにしてね!」
斥候のセシルが、犬耳をピーンと立ててルディの足にすり寄り、甘いハーブの香りを漂わせた。
(……おいおい! 大収穫の喜び(モチベーション向上)が、なんで全部俺への『夜の過重労働(過剰なメンタルケアおねだり)』に全振りされてるんだ!?
これじゃ俺の腰椎が、収穫祭の夜にオーバートルク(過重負荷)で砕け散っちまうだろ!)
ルディの脳内スプレッドシートが、激しいタスク渋滞(ハーレム漏電暴動)のレッドアラートを点滅させる。
「お、お前ら! 暴飲暴食の直後の激しい運動(夜間操業)は、胃腸に負担をかける不安全行動だぞ! 今日は大人しくそれぞれの部屋で寝て――」
「「「ダメです!! 豊穣の神(ルディ様)に、私たちの身体の奥深くまで『感謝の奉納(極上の放電マッサージ)』を捧げなければ、このお祭りは終わりませんわ!!!」」」
絶世のヒロインたちからの、逃げ場のない狂信的な自律神経の漏電包囲網。
黄金色の麦畑が揺れる平和なロベルト領の夜は、ルディの絶望の悲鳴と、ヒロインたちの完全脱力の甘い悲鳴に包まれ、朝まで果てしなく豊穣の「マルチタスク操業」が続くのであった。
――大収穫祭および、夜間の豊穣アース(特別有給)、完全無災害にて完了ヨシ!!!




