表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世安全管理者の異世界ホワイト戦記~死にたくないので安全部隊を作ったら、勘違いで不敗の魔導名将に。夜の放電メンテナンスを求められて困っています【R15】~  作者: トール
第三章:地政学的報酬と、50人の乙女の「ホワイト領地改革」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/39

第029話:簡易寺子屋の開校と、農地改革(pH中和・二周目)

 


「――ルディ様、お目覚めになられましたか? お体に魔力の残滓(お疲れ)が残っていらっしゃるなら、このエリーゼが喜んで、朝のパトロール(調律)をいたしますわ……」


 旧ロベルト子爵邸、ルディの寝室。


 ふんわりとハーブの香りが漂うベッドの脇で、朝の光を浴びながら、絶世の氷の麗人エリーゼ・ヒルデ・フォン・ゼーフェルトが、心地よいデトックスの熱を漂わせながらルディを覗き込んでいた。


 ぴったりとした黒い潜入作業衣はすでに脱ぎ捨てられ、ミリーが用意したお揃いの「極薄の白いシュミーズ」だけを身にまとった彼女は、ルディ専用のアース端子となった太ももの内側の「放電痕(魔力伝導パス)」をそっと擦り合わせ、恥ずかしそうに頬を染めている。


 ゼーフェルト辺境伯閣下の冷酷な「監視役スパイ」としてのプライドは、前夜のルディの徹底的な【微弱放電アース】によって、自律神経のコリごとドロドロに溶かされ尽くしていた。


「あ、エリーゼ、おはよう。いや、朝のパトロールは、テレーゼが持ってきたリストの精査(タスク処理)が先なんだが……」


 ルディ・フォン・バウムガルトは、枕元に座るエリーゼの、あまりにも「寝起きとは思えぬ艶かしいおねだり信号」に引き攣りつつ、なんとかベッドから起き上がった。


 そこへ、部屋の扉がノックされ、財務主任のテレーゼ、現場警備主任のヒルデ、そして斥候セシルが、いずれも朝帰りのエリーゼの蕩けた顔を「若君の朝一番の調律、羨ましい……」と羨望の眼差しで見つめながら入ってきた。


「若君、おはようございます。……先日若君からご指示いただきました、二つの最重要名簿が完璧に完成いたしましたわ」


 テレーゼが、知的で美しい丸眼鏡をそっと光らせながら、二束の分厚い羊皮紙を長机に置いた。


 それは、ルディが命じていた「補償乙女・適性評価名簿(労働力リスト)」と、新生ロベルト領の生き残りおよび本家から転職した「独身従軍兵・戦功評価名簿(マッチング対象リスト)」であった。


「……できたか。ご苦労、テレーゼ」


 ルディは長机に向かい、提出された二つのデータシートをディテクターの視界(脳内スプレッドシート)へとインポートした。


 だが、その名簿のデータを走査した瞬間、ルディはあまりの「マッチング工程の複雑さ」に、こめかみを押さえて激しい頭痛に襲われた。


(う、頭が痛ぇ……。五十人の乙女を、俺の有給サボり傀儡生活を安定させるためのセーフティネットとして、ロベルト領の適所へ「適正配置(リソース配分)」しなければならない。……だが、誰をどの部署に付ければ、最も「労災ハザード(事故・暴動・スパイ行為)」をシャットアウトできるんだ?)


 ルディの脳内スプレッドシートが、激しく演算ソートを開始する。


「テレーゼ、ミリー。まずは、この五十人の乙女たちの『職能別スクリーニング結果(名簿)』から仕分けを行う。……これより、我が新生ロベルト領の『組織図(ホワイト組織)』を決定するぞ」


「「はっ! よろしくお願いいたします、若君(ルディ様)!」」


 テレーゼと、後ろに控えるミリーが、輝く瞳で平伏する。ルディは、羊皮紙を指でなぞりながら、冷徹に(本人は楽をしたい一心で)人員配置を明言していった。


「まずは『総務・財務補佐(テレーゼの部隊)』だ。

 オルテンシアで最低限の読み書きと、初歩的な算術(簿記)の素養がある、中流家庭以上のエリート娘五名を配属する。代表は、元貴族の娘のクレアだ。

 彼女たちをテレーゼの直属とし、領内の資材管理(5S監査)と、小麦の収穫量データの入力作業デスクワークに当たらせろ。これで、テレーゼの『残業ハザード(過労死)』は大幅にカットされる」


「ああ、若君……っ! 私の労働負荷を考慮し、最も知的な娘たちを私の懐へ入れてくださるなんて、完璧な労務管理ですわ!」


 テレーゼが頬を染めて震える。ルディは気にせず続けた。


「次に『現場警備主任補佐(ヒルデの女子警備隊)』。

 オルテンシアで多少の剣術や、体を動かす基礎体力(護身術)を身につけている、商家や職人上がりの引き締まった身体の娘五名を配属する。

 彼女たちをヒルデの直属(部下)とし、旧子爵邸や女子宿舎の『インナー・セキュリティ(不審者ハザード対策)』に当たらせろ。ヒルデ、お前のようなプロの安全指導マニュアルを、彼女たちに徹底的に叩き込め」


「はっ! ルディ様!」


 ヒルデが、太ももの放電痕をズボンの下でキュッと疼かせながら、感極まったように軍礼を返した。


「我が『黒鉄の百合』の血統マニュアルを継ぐ、最強のホワイト女子警備隊を、ルディ様のために一から調律して配備いたします! 漏れなく全員を、私と同じくルディ様の電気なしでは生きていけない『忠実な部下(社畜)』へと指導(コンプライアンス教育)してみせます!」


「いや、電気は通さなくていいから、普通の護身術を教えてくれ」


 ルディは冷や汗を流しながら、今度はセシルへ視線を向けた。


「次は『危険探知・斥候補佐(セシルの女子スカウト)』。

 目や耳が異様に良く、溶けきったセシルの元で気配を消すのが得意な商家や猟師上がりの娘三名。これを、セシルの下に付ける。

 セシル、お前が直々に、街道や国境周辺の『隠れたハザード(危険予測)』を嗅ぎ分ける術を教え込め」


「わ、わかりましたぁっ、ルディ様!」


 セシルが、短いリネンのシュミーズをそわそわと揺らし、ルディの足元へとはいよった。


「私と同じ、野生の耳を持つ娘たちですね……っ! 私の手で、ルディ様を不意打ちするあらゆる危険スパイを事前に咬み殺す、従順な猟犬部隊に育て上げてみせます!」


「よし、セシルは頼りになる。……そして『ミリーたち給炊班の部隊補給補佐』。

 元パン屋や農家の娘で、衛生的な作業ハサップにアレルギーのない、従順な娘五名。これをミリーたちの直属として、仮設の『中央給食センター』の釜番・配膳役(5S作業員)として配属する。これで、行軍時の食中毒(赤痢ハザード)の予防体制は完璧だ」


 ミリーは可愛い胸を突き出し、「はーい! ルディ様のハサップスープを、領内のすみずみに届ける給食部隊ですね! 完璧にこなします!」と元気に返答した。


 そして、ルディは「特異ハザード管理(魔法使いの素養持ち)」の項目に目を留めた。


「ミリー、この『ルシール』という元オルテンシア宮廷侍女の娘……。適性評価の際、ハーブバームの計量器に触れた瞬間、微弱ながら『熱と火を制御する魔力』をディテクターが検知したんだが……」


「あ、はい! ルシールちゃん、お風呂を沸かすときに、ほんの少し魔力で温度を調節できるみたいです!」


「よし、彼女は『特異危険物(エルザの魔導砲座補佐)』として、エルザの元へと配属オンボーディングする。

 エルザの『火気使用安全基準(最大出力30%制限手順)』を、彼女にも厳格に教え込み、将来の『非常用ボイラー冷却装置(バックアップ電源)」として育成するんだ」


 ルディの脳内では、魔力暴走という大事故(労災)を防ぐための「バックアップ(予備電源)」の重要性が弾き出されていた。規格外の魔術師エルザが万が一オーバーヒートした際、その熱を中和できる補助人員ルシールがいれば、二重のセーフティネットになる。


「さらに『エリーゼの侍女(コンプライアンス監査補佐)』として。

 身の回りの世話(家事)ができ、かつ、口が堅く辺境伯への『ホワイト報告書(偽装レポート)』の偽造を秘密裏にサポートできる、元地方役人の落ちぶれた貴族の娘二名。これを、お前の直属の侍女として付ける、エリーゼ」


 ルディがそう言って、エリーゼの頭を優しく撫でると、エリーゼは、冷徹な氷の麗人の目を蕩けさせ、あられもない吐息を小さく漏らした。


「あ……、あぁっ……、は、はい……っ、ルディ様……!

 私を、本陣から送り込まれた単なるハザードとして排除せず、辺境伯を欺くための『極秘コンプライアンス監査部隊』の最高責任者として、専用の侍女まで与えてくださるなんて……!

 これで、父上の監視の目を完璧に眩ます『ホワイト情報シールド(セーフティネット)』が、完璧に稼働アースしますわ!」


「うん、お前たちのチームの報告書が、俺の有給サボりライフの最大の盾だからな。頼んだぞ」


(……さて、ここからが本当の「マッチング地獄」だ。

 五十人の内、適性配置されたのは二十一名。

 残る「二十九名」の健康な農家・職人上がりの娘たち。

 そして、テレーゼが作成した「独身帰還兵リスト」。

 戦功レイティング順にソートされた、バウムガルトからの転職組およびロベルト領生き残り兵の独身男性……、奇しくもピタリと同数の「二十九名」)


 ルディは、戦功レイティングが最も高い「ハンス副官の直属の片腕・独身壮年兵」から、ソートされた戦功の高い順に、オルテンシアの娘たちの「身体・精神状態」を見極めながら、脳内で婚姻マッチング(福利厚生の組み合わせ)をガチャのように確定させていった。


「――よし、婚姻マッチング・ガントチャート、100%確定! これより、この二十九組の婚姻(トロフィー放出)を、ロベルト領の永久定着プロセス(リテンション向上)として執行する」


 ルディが冷徹にそう口にした瞬間、テレーゼが丸眼鏡の奥の目をそっと輝かせ、背後に立つエリーゼやヒルデと静かに視線を交わした。


 その瞳に宿っていたのは、他領主たちの預かり知らぬ、圧倒的な「特権意識」と、完璧なまでの「ハーレムヒエラルキーの教義ドグマ」であった。


「若君……。その二十九名のオルテンシアの娘たちを末端兵士たちの『妻』として放出されるお考え、実に見事な内政管理でございます。……ですが、あの子たちには、あらかじめ『絶対の線引き』を教え込んでおかなければなりませんね」


「線引き?」


 ルディが首を傾げると、エリーゼが薄い白いシュミーズの胸元にそっと手を添え、自慢げに唇を歪めた。


「ええ。あの子たちは、あくまで我が新生ロベルト領の繁栄(労働)を支えるための、ただの『末端の信徒』に過ぎません。……ルディ様の尊い御手から直接、身体の奥深くまで『微弱放電アース(メンタルヘルスケア)』を注ぎ込まれ、その愛のパルスに狂わされる絶対の特権は、私たち『幹部(特権階級)』だけに許された聖域。あの子たちが、ルディ様の夜の寵愛をねだるなどという不遜は、万に一つも許されない不安全行動ハザードですわ」


「その通りであります!」


 ヒルデも、自らのお尻をくねらせながら、勝ち誇ったように胸を張る。


「ルディ様のベッドの上で、その偉大なる電流に極限のリラクゼーションを与えられ、心地よいデトックスの汗をシーツに滴らせて完全脱力シャットダウンすることを許されるのは、若君の片腕たる私たちだけの特権!

 マッチングされた娘どもに与えられるのは、あくまで『ルディ様が構築された極上のホワイト就業規則(福利厚生)』のみ。彼女たちは、若君の支配(教義)を領民の家庭内へと伝道するための、ただの『伝道ツール』に過ぎないのですから!」


(……いや、何なんだその「幹部だけの直接調律マウント」は?

 俺としては、全員を直接ケアするなんて過労死寸前の超ブラック過重労働メンタルケア・ハザードに陥るから、むしろ適正に部下たちへマッチングできて「リスクヘッジ(保身)」が完了したと喜んでいるんだが?

 まぁ、メインヒロインたちがそうやって勝手に境界線を引いて、モブ兵士へのトロフィー放出を「これは高度な洗脳政策(福利厚生)だ」と大誤解してアレルギーを100%遮断してくれているなら、余計なトラブルが起きなくて実にヨシだな!)


 ルディは心の中で「読者アレルギー&ハーレム衝突リスク、完全ゼロ、ヨシ!」と深くガッツポーズをした。


「さて……、それではエリーゼ監査官。お前の『初仕事』に移ろうか」


「はっ……。ルディ様、監査官エリーゼ、直ちに業務(代筆報告)に入りますわ」


 ルディは、エリーゼの侍女として配属されたばかりの、元オルテンシア地方役人の娘二人に、執務用の羊皮紙と上質な黒インク、そして特製の魔導ペンを準備させた。


 これから行うのは、ゼーフェルト辺境伯閣下(エリーゼの実父)へ送る、週に一度の「定例内部監査報告書」の作成である。


「エリーゼ、お前は辺境伯への実務報告という重圧プレッシャー・ハザードにより、自律神経に軽い『過圧のコリ(ストレス)』が発生しているな?」


 ルディは【ガス・温度検知ディテクター】を起動し、エリーゼの細い肩の周囲に滞留する「緊張の熱対流」を正確に検知していた。


 スパイが実の親を騙すのだ。その精神的負荷は計り知れない。自律神経失調症による労働災害を未然に防ぐのが、安全衛生管理者の使命である。


「そ、そんなことは……、っ、ひゃあぅっっ!?」


 エリーゼが強がろうとした瞬間、ルディは彼女の細い腰を引き寄せ、自身の膝の上へと、対面でまたがるように強制的に座らせた。


「な、何を……ルディ様……、侍女たちが見て、いますわ……っ!」


「静かにしろ、監査官。これは業務中の『緊急ヘルスケア(自律神経の緩和アース)』だ。お前のプレッシャーを物理的にベント(開放)してやらなければ、報告書のクオリティ(精度)が下がる」


(いかん、新入社員に過激なメンタルヘルスケアの現場を見せるのは重大なコンプラ違反だ)


「おい、そこの侍女二人! お前たちは今すぐ壁の方を向き、両手で耳を固く塞いで『見ざる・聞かざる』の姿勢を維持しろ! 振り返ったら即刻減給だ!」


 ルディは、エリーゼの薄い白いシュミーズの裾を少しだけ整え、その白く、吸い付くような柔らかさを持つ太ももの内側へと、直接、手の平を這わせた。


 そして、前夜の調律で浮き彫りになった、薄紅色の「放電痕(アース線の目印)」へと、優しく、しかし確実に指先を押し当てた。


 ピチピチ、ピチチッ……!


「あ、はぁぁぅぅっっっ!!!??」


 ルディの指先から放たれた、精密な【微弱放電】の青白い火花が、エリーゼの皮膚の境界線を越え、神経系へと一瞬で侵入した。


 氷の姫としてのプライドなど、その極低周波の快感パルスの前に一瞬で瓦解する。


 エリーゼはルディの首筋にその細い両腕を必死に絡みつけ、ルディの肩にその美しいかおを埋めて、ビクビクと全身を震わせた。


「お前はただ、俺の指先の電気に身を任せ、辺境伯への報告書を口頭で代筆させればいい。……さあ、業務(裏切り)開始だ。

『ゼーフェルト辺境伯閣下。私エリーゼは、ロベルト領にて徹底的な内部監査を継続しております』――代筆を」


「は、はいぃっ……、あ、あぐぅっ、お、お父様……。

 エリーゼは、ロ、ロベルト領の、かん、さ……をぉっ、ひゃぅ、ひゃあぁぁっっっ!!!??」


 ルディが、エリーゼの「放電痕」を、潤滑バームの濡れた指先でピチピチと静電気を明滅させながら強くなぞる。


 極限のリラクゼーションによる心地よい汗がジュワリと滲み出し、ルディの膝や、薄いシュミーズをじっとりと濡らしていく。


 エリーゼの知的な脳髄の神経防壁は、ルディの指先のパルスによって完全に直接ハッキングされ、脳内は快感物質エンドルフィンでドロドロに書き換えられていた。


 実の父親である辺境伯閣下を騙し、裏切っているという「極限の背徳感」。

 そして、その裏切りの最中に、裏切る対象である実父への報告書を、自らを開発し支配した「魔王ルディ」の膝の上で、太ももの内側から自律神経をめちゃくちゃにアースされながら代筆させられているという「究極のリラクゼーション(わからせ)」。


「『ルディ・フォン・バウムガルトは、領地の安全と民の健康のみを管理する、極めて臆病で無害な聖領主。地政学的な領土拡大の野心は100%存在しません』――復唱しろ、エリーゼ」


「ル、ルディ様はぁっ……! と、とても、臆病でぇっ、あ、あはぁっ!

 む、無害な……っ、立派な、あぁっっ! 聖領主、様、ですぅぅぅっっ!!!

 お父様、バウムガルト家を、う、疑うなど……っ、ひゃあ! 愚の骨頂ですわぁぁっっっ!!!」


 エリーゼは、白目を剥き、涙目とよだれでぐちゃぐちゃになった絶世の美貌を悶えさせながら、ルディの指先の電撃に翻弄されて激しく腰を跳ね上げた。


 彼女の極限の疲労とストレスが、極上のデトックスの汗となって、ボトボトと音を立てて床へとベント(開放)されていった。


「『ロベルト領は、完全な安全管理下(ホワイト環境)にあり、一分の不穏な動きもなし。ゼーフェルト辺境伯軍の強力な盾としてのみ機能するでしょう。監査官エリーゼ・ヒルデ・フォン・ゼーフェルト、署名』――業務完了だ、エリーゼ。よくやった」


「あ、あはぁ……っ、お、お父様……、ごめんなさい……。

 私は、もう、ルディ様の電気、なしでは、スパイも、監査も、何もできない、従順な部下に……っ、あぅぅ……」


 エリーゼは、自らの署名(所有者の承認)がなされた偽装報告書を、涙に濡れた瞳で見つめながら、ルディの胸元に蕩けきった顔を擦り付けた。


 高慢だった氷の令嬢が、実父を裏切るという極限の「背徳プロセス」を経て、名実ともにルディのホワイト後宮の「完全な共犯者(奴隷監査役)」へと堕ちた瞬間であった。


(よしっ! 辺境伯への「情報遮断ハッキング(ホワイトレポート作戦)」、100%完了!

 これで辺境伯からの「不安全な政治的ハザード」は完全にシャットアウトされた!

 やはり、メンタルヘルスケアをエサにしたコンプライアンス管理は最強だな!)


 ルディは、エリーゼの背中をポンと叩いてベッドへ休ませると、いよいよ次の「簡易寺子屋の開校」と「農地改革・ pH中和二周目」のキックオフを宣言した。


「テレーゼ、ミリー、セシル、ヒルデ!

 これより、健康を回復した補償乙女五十人に対し、テレーゼを校長とする『簡易寺子屋ロベルト・ホワイト・アカデミー』を開校する!

 まずは、彼女たちに『座学(危険予知訓練:KYT)』と、最低限の読み書き、計算(簿記)を徹底的に教え込め!」


「初期、教育……、簡易寺子屋でございますか?」


 テレーゼが不思議そうに問うと、ルディは、前世の安全衛生管理者としての「究極の労務管理論」を展開した。


「当然だ、テレーゼ。中世の愚かな領主のように、無学なままでいきなり過酷な農作業(泥水路の清掃等)を強いるのは、労働災害(怪我・ボイコット・赤痢)の最大要因(ブラック現場要因)だ。

 知性(KY能力)を身につければ、作業中の事故率は十パーセント以下に激減し、労働生産性は三倍になる。

 彼女たちの労働効率が三倍になれば、俺の『サボり時間(有給消化)』も三倍に増えるんだよ。……これこそが、最上流におけるリスクアセスメント(根本対策)だ!」


「更に、座学を開始する前に、窓を全開にして採光を最大化しろ! さらに机の上には特大の魔導ランプを配置せよ! 読み書き時の照度不足は、眼精疲労と頭痛ハザードを引き起こし、作業効率を著しく落とすからな!」


「ああ……っ、若君……っ!」


 テレーゼは、丸眼鏡を外して、その場に崩れ落ちるように平伏し、感動のあまりボロボロと大粒の涙を流した。


「若君は、オルテンシアの乙女たちに『知性という最高の武器』を無償で与えておられます。

 旧来の愚かな領主のように、民を家畜として扱うための『愚民化政策』を一切とらず、彼女たちを一人の『尊い人間』として自立させようとしておられる……。

 学問とは、富裕な貴族だけの特権でした。それを、敗戦国の娘たちに等しく授け、この地の復興を『知の力』で成し遂げようとされるなんて……。

 やはり、若君は、中世の闇を照らす、本物の『知恵の神(聖メシア)』に違いありませんわ!!」


「え? いや、ただ計算させないと経費(固定費)の管理がサボれないからなんだが……」


 ルディは、テレーゼの「あまりにも巨大すぎる認知のバグ(狂信)」に冷や汗を流した。だが、テレーゼだけでなく、背後のエリーゼも、ヒルデも、ミリーも、全員が「ルディ様は、この大陸の闇を払う本物の神だ……!」と、蕩けた瞳に圧倒的な狂信を宿らせ、深く深くルディに向けてお辞儀を繰り返していた。


(……まぁいい。暴動ハザードが100%シャットアウトされるなら、神だろうがメシアだろうが、どう大誤解されても構わん。

 それに、もう一つのコア業務――『農地改革(pH中和・二周目)』の準備も万端だからな!)


 ルディの脳内ガントチャートは、すでに次の工程を指し示していた。


(ロベルト領の荒廃した農地は、長年の酸性雨と不適切な肥料投下によって、酸度(pH)が著しく悪化している。

 だが、俺には、昨年バウムガルト男爵領で完璧に成功させた「農地改革」のデータ(標準作業手順書:SOP)がある!

 SOP(標準作業手順書)はコピペだ。

 まずは石灰と木灰を徹底的に散布し、土壌pHを中性の『小麦にとってのホワイトな環境(pH6.5)』へと引き上げる。

 次に、【土壌安定ソイルコンパクション】魔法を分子レベルの結合イメージで「逆用」し、カチカチの酸性粘土を物理的に深耕破砕エアレーションしてふかふかに融かしていく。

 一度成功しているタスクだからな。

 手順のコピペ(標準化)と、寺子屋でKYTを学んだ五十人の乙女たちに『石灰の計量・記録』という軽いアシスタント(オンボーディング)を任せることで、驚異的なスピードで農地がホワイト改良されるはずだ!)


「テレーゼ、ミリー、エリーゼ、ヒルデ、セシル!

 簡易寺子屋の開校、および『農地改革・第二期コピペ操業』、これより同時にキックオフする!

 秋の空前の大増産(ゼロ災豊穫)に向けて、全タスク、安全第一で処理ソートするぞ!

 では、石灰の散布と計量を開始する! ただし、石灰の粉塵は眼球と肺を焼く危険物質(化学ハザード)だ。作業員全員、支給した『防塵用の麻布マスク』と『ガラス張りの保護ゴーグル』を確実に装着し、必ず風上から作業しろ!」


「本日も完全無災害で、操業開始。手順、ヨシ!!」


「「「「「"はっ! ルディ様(若君様)!!! 安全第一、ヨシ!!!"」」」」」


 旧ロベルト子爵邸に響き渡る、側近たちの狂信的で、そしてルディの「安全管理アース」の愛撫を心待ちにする、熱をはらんだ大合唱。


 周囲の、天を衝くような「認知のバグ(狂信)」に一切気づくことなく、ルディは、新生ロベルト領の広大なホワイト職場化(そして自分がいつの日かゴロゴロして暮らすための有給計画)に向けて、意気揚々と一歩を踏み出すのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ