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前世安全管理者の異世界ホワイト戦記~死にたくないので安全部隊を作ったら、勘違いで不敗の魔導名将に。夜の放電メンテナンスを求められて困っています【R15】~  作者: トール
第三章:地政学的報酬と、50人の乙女の「ホワイト領地改革」

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第026話:ロベルト子爵邸の開放と、5Sピカピカ寄宿舎

 


 ロベルト領の正式獲得が決まった直後、ハンスの指揮の下、ロベルト分遣隊(生存兵四十名)を先発隊として送り込み、徹夜で旧子爵邸の徹底的な5S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣)を完了させておいた。


 ◇


 ――隣国オルテンシア王国から、停戦の代償として割譲(身柄引き渡し)された、「うら若き乙女五十人」。


 バウムガルト男爵領から「新生ロベルト直轄領」へと帰還したルディ・フォン・バウムガルトを待っていたのは、オルテンシア側から一週間も経たずに超特急で送り届けられた、怯えきった少女たちの集団であった。


「――お、お父様、お母様……。どうか、クレアの魂が、神の御許へと召されますよう……」


 五十人の乙女たちの代表として先頭に立つ、オルテンシア王国の中流貴族の落ちぶれた娘、クレア・フォン・ロシュフォール(十七歳)は、夏の強い陽光の下で激しく身体を震わせていた。


 彼女たちの脳内にあったのは、中世の凄惨な常識そのものだ。

 敗戦国から「賠償(人質)」として差し出された処女。そんなものが待つ未来など、鎖に繋がれて不潔な奴隷小屋に押し込められ、一日に何度も野獣のような兵士たちの暴力に晒され、最後は疫病にかかってドブ川に打ち捨てられる地獄(ブラック災害)以外にあり得ない。


「……皆、泣くのはおやめなさい。私たちはオルテンシアの誇りを胸に、あの『雷神』のむごたらしい生贄として、静かにその肉体を捧げるのです……っ」


 クレアは、集まった商人や農家の素朴な娘たちを庇うように、自らの安物のドレスの裾をぎゅっと握りしめた。


 だが、そんな彼女たちの前に、ピカピカの作業着に身を包んだ、恐ろしく顔立ちの整った「四人の美少女たち」が立ちはだかった。


「――静かに! これより、ルディ様直属の生活安全・衛生教官たる私たち炊事班が、皆様の『初期オンボーディング(受け入れ工程)』を執行します!」


 先頭に立ち、凛とした声で宣言したのは、バウムガルト隊の炊事主任ミリーだった。

 その後ろには、サシャ、リタ、ニナが、いずれも清潔な白いエプロンと、ルディから支給された「衛生管理マニュアル」を誇らしげに手にして控えている。


「オンボー……、何ですって……!? 私たちを、これから虐殺する儀式(陵辱)を始めるというのね……っ!」


 クレアが青ざめて叫ぶと、ミリーは冷徹に(しかしルディへの信仰心に満ちた目で)首を振った。


「言ったはずです。ルディ様の管理領域(ホワイト職場)において、不衛生な「外部ハザード」の持ち込みは一例たりとも許されません。……サシャ、リタ! 手順通り、彼女たちのオルテンシア製の汚れた衣服をすべて剥ぎ取りなさい! そしてハンスたち男性兵士は、全員『後ろ向き』で待機し、飛んできた衣服だけを大釜へ放り込みなさい! 乙女たちの素肌を1ミリでも直視した者は、ルディ様に、セクハラ・コンプライアンス違反として即刻減給(お仕置き)していただきます!」


「「はっ! 5S活動(整理)、開始!!」」


「ひ、ひゃああああっ!? な、何を……、やめて、乱暴はやめてぇぇっっっ!!!」


 広場に、五十人の乙女たちの凄まじい羞恥とパニックの悲鳴が響き渡った。


 だが、訓練され尽くしたサシャとリタの細い手先は容赦がなかった。クレアを始めとする乙女たちの安物ドレスやリネンの下着は、あっという間にその滑らかな肢体から剥ぎ取られていく。


 剥ぎ取られた衣服は、即座にハンスたちによって、煮え滾る大釜の中へと投げ込まれ、「熱湯消毒および廃棄(完全な危険源排除)」が執行された。


「お、おのれ……っ! 辱めるだけでなく、衣服までその場で廃棄だなんて……っ、なんという邪悪な儀式なの……!」


 クレアは、夏の風に晒された自らの滑らかな白い胸を両腕で必死に隠し、内股をキュッと閉じて、涙ながらに広場にしゃがみ込んだ。五十人の美しく瑞々しい乙女たちが、一糸まとわぬ無防備な姿で、羞恥に顔を真っ赤に染めながら折り重なって震えている――その光景は、傍から見ればまさに「稀代の魔王による残虐な奴隷狩り」そのものであった。


 だが、ミリーたちの「初期プロセス」は、まだ第一工程に過ぎなかった。


「サシャ、リタ、ニナ! 彼女たちを、抗菌ハーブと自家製石鹸をたっぷりと調合した、巨大な温湯浴槽へ順番に沈めなさい! 爪の先から指の隙間、そして最も汗や汚れが溜まりやすい太ももの内側やリンパの集中する柔肌に潜む『目に見えないカビの呪い(雑菌ハザード)』に至るまで、徹底的に薬湯で洗浄スクラブするのです!」


「う、嘘でしょう……っ! 体の奥まで、そんな……っ、触らないで、そこは……ひゃぅっ!?」


 乙女たちは、ミリーたちが作った巨大な薬湯大浴場(簡易石化コンクリート製・温水循環式)へと容赦なく沈められた。


 サシャたちの手によって、上質なラベンダーの香る泡とハーブ温水が、彼女たちの豊かなお尻の肉や、太ももの内側の柔らかい皮膚、そして全身の隅々に至るまで、徹底的に擦り洗われていく。


 それは、中世の住人にとっては、羞恥の極みであると同時に、自らの心身の隅々までが「バウムガルトの支配色ホワイト」に強制的に染め上げられていく、凄まじい屈服のトリートメントであった。


「はぁ、はぁ……、もう、どこを洗われているのか、分からない……っ。お腹の奥が、極上のハーブ湯で芯から温められて……過緊張だった頭が、蕩けちゃいそう……っ!」


 クレアは、全身の汚れと、これまでの不衛生な行軍による角質を完璧に洗い流され、肌が熟れた桃のようにピンク色に上気するのを感じながら、湯船の中でぐったりと息を荒くさせていた。


「よし、洗浄工程、異常なし(オール・グリーン)! サシャ、リタ! 彼女たちの体格を瞬時に目視スキャンし、ルディ様が特別に設計された『伸縮性ハーブ・リネン』を用いたS・M・Lの三サイズのシュミーズから、最適なものを支給しなさい! サイズの合わない作業着は、転倒や血行不良ハザードの元です!」


 ミリーの号令と共に、全身をピカピカに滅菌された乙女たちに、薄く、しかし驚くほど滑らかな肌触りの白いシュミーズ(薄手のリネン肌着)が一括支給された。


 それを身にまとった彼女たちは、今や全員が「ルディの用意した真っ白な衣装」に身を包んだ、完璧に管理された均一な美少女軍団(ホワイト労働力)へと生まれ変わっていた。


「さあ、初期検疫オンボーディングは完了です。これより、皆様を『宿舎ユートピア』へと案内します。手順、ヨシ!」


 クレアは、薄い白いシュミーズ越しに、自らのツヤツヤに輝く肌と、ツンと尖った胸の突起を恥ずかしそうに隠しながら、ミリーたちの後をトボトボと追いかけた。


(ああ……、いよいよ、あの鎖に繋がれた暗い地下牢へ連れて行かれるのね……。お父様、クレアはもう、人間としての尊厳を失ってしまいます……)


 クレアが絶望の涙を瞳に浮かべ、ピカピカに磨き上げられた硬い石畳の廊下を、はだしで歩いていく。


 だが、ミリーたちが彼女たちを案内し、大きな両開きの扉を勢いよく開け放った、その瞬間――。


「な――」


 クレアの知的な貌が、驚愕と混乱によって完全にフリーズした。


 目の前に広がっていたのは、湿気臭い泥の奴隷小屋などでは断じてなかった。


 旧領主・ロベルト子爵が、自らの富を極限まで見せつけるために築き上げた、ロベルト領で最も豪華な「子爵邸メインハウスの貴賓客室群」そのものであったのだ。


「え、あ……? ここは……、子爵様の、本邸……!?」


「その通りです」


 テレーゼ・フォン・ベルンハルトが、執務用の丸眼鏡をそっと光らせながら、誇らしげに胸を張った。


「ルディ様は、この最高の間取りを持つメインハウスの客室群を細分化し、完璧な換気性能と採光を施した上で、皆様の寄宿舎として全面開放されました。さあ、皆様のベッドをご覧ください」


 クレアが震える足で部屋に踏み込み、そこに置かれた簡易寝台ベッドに触れた。


 中世の不潔な藁布団ではない。

 ミリーたちが「スノー・ロプ(雪綿鴨)の熱湯滅菌プロセス」を経て、フカフカに乾燥させた、世界初の「純白の羽毛シーツ&キルト(ダウン布団)」が、ノミ一匹いない完璧な5S環境で整えられていた。


「嘘……、ノミも、ダニもいない……。それに、このシーツ、ハーブの凄くいい香りがする……っ」


 一人の農家の娘が、たまらずベッドに倒れ込み、その天国のようなフカフカさに涙を流した。


「まだ驚くのは早いです!」


 ミリーが、輝く笑顔で大釜を指差した。


「ルディ様の『HACCPハサップ給食プログラム』に基づき、皆様の初めてのお食事が用意されています。サシャ、配膳を!」


「はい! 本日のメニューは、一度完全に沸騰消毒した水と、麦角菌(危険源)を100%排除した、ロベルト特製pH中和土壌のふっくら温かいハーブパン! そして、塩分とカリウムをミリグラム単位で計算したお肉たっぷりコンソメ温スープです!」


 配られた木のお皿には、湯気を立てる、これ以上なく美味しそうなスープとパンが盛られていた。


 クレアは、震える手でスプーンを握り、スープを一口、口に含んだ。


「あ――、う、あぁ……っ、お、美味しい……っ!」


 一口飲んだ瞬間、クレアの瞳から、大粒の涙がボロボロとシーツの上にこぼれ落ちた。


 不衛生な泥水でふやかされた干し肉や、石ころのように固くカビの生えた黒パンではない。温かく、清らかで、身体の隅々まで染み渡るような、滋味に満ちた奇跡の味わい。


「私たちが……、敵国の捕虜(人質)である私たちが、これほど温かいお風呂に入れられ、清潔な白い服を与えられ、このような王侯貴族のようなお部屋と、天国のように美味しいお食事をいただけるなんて……っ」


 クレアは、フカフカのキルトを抱きしめ、声を上げて泣き叫んだ。


「オルテンシアの使節たちは、ルディ様を冷酷非道な雷神の怪物と呼んでいました……! でも、それは大嘘です!

 ルディ様は、私たちを汚れた国から救い出し、そのお心(安全第一)を以て、心身の隅々まで清め、人間としての尊厳を100%守ってくださった……、本物の『救世主メシア』です……!!」


「ルディ様万歳! 私たち、ルディ様のために、命をかけて、どんなお仕事(事務・農作業)でも、喜んで5Sいたします!!」


 五十人の乙女たちが、一斉に涙を流し、薄い白いシュミーズの胸元を激しく上下させながら、ロベルト邸の廊下の先にあるルディの執務室に向かって、神仏を拝むように深く平伏した。


 その瞳には、もはや一分の一の迷いすら存在しない、極限の「狂信」の炎が滾っていた。


 一方その頃、同じ子爵邸の執務室において。 ルディ・フォン・バウムガルトは、テレーゼから提出された「バイタル・マネジメント報告書」を指差し確認し、心の中で大きくガッツポーズをしていた。


 実家で「ルディを次期当主に!」と狂信して騒ぎ出した父と兄たちを、「俺はロベルト領の事後処理(残業)があるから!」と適当な言い訳で強引に振り切り、逃げるようにして新生ロベルト領へと帰還していた。


(よしっ! 初期の検疫プロセス(全裸薬湯洗浄&衣服の熱湯廃棄)、100%完了!

 外部からの赤痢やコレラの「持ち込みハザード」は、これで完璧に遮断された!)


 ルディの脳内スプレッドシートは、安全管理者としての勝利ログで満たされていた。


(住環境の悪化は、労働者のメンタルおよび免疫力を著しく低下させる「最大ハザード」だ。

 あんな不潔な奴隷小屋やテントに女の子五十人を押し込めてみろ。一週間で集団食中毒(労災)が発生し、復興ガントチャートは一瞬で崩壊、俺の有給サボりライフは露と消える。

 だからこそ、旧領主の豪華な子爵邸メインハウスをそのまま「ホワイト寄宿舎」として開放し、ミリーたちの徹底したHACCP基準の給食システムを適用する。

 まずは彼女たちのバイタル(栄養・睡眠・精神状態)を完全な「第一種健康状態オールグリーン」に引き上げるのが、管理者としての最優先マニュアルだ。

 これで、彼女たちは過酷な労働(泥詰まり水路の清掃等)を強いることなく、極めて低い教育コストで、ロベルト領の「安全予備ホワイト事務要員」として稼働してくれるはずだ。

 いやぁ、本日も完全無災害、ヨシ!!)


「若君……」


 テレーゼが、ルディの背後にそっと忍び寄り、自らの丸眼鏡をそっと外して、心地よいデトックスの汗とハーブの香りを漂わせながらルディの首筋に白首をすり寄せた。


「五十人の乙女たち、今や全員が若君の白い衣服に包まれ、若君の『安全の教義(5S)』に、心身ともに、完全に屈服しておりますわ。……今夜は、その中の代表であるクレアを、若君の夜間パトロール(調律)の対象に指名されますか? それとも、このテレーゼが、先に若君のアースを受け持ちましょうか……?」


「えっ? いや、パトロールは、手順書通りに回すのが基本なんだが……」


 ルディは、テレーゼの「あまりにも過剰なアースおねだり信号ディテクター」に、内心で冷や汗を流しながら、新生ロベルト領のあまりにもホワイトすぎる(しかし周囲が勝手に狂信していく)領地改革の第一歩を、力強く踏み出すのであった。




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