第022話:鉄の百合の完全屈服と、「安全第一」への帰順
――サラサラ、ザーザーと、国境地帯の雑木林に降り注ぐ雨期の雨は、大地の泥濘をますます深く、底なしの底へと沈めていた。
だが、バウムガルト隊の「隔離保護天幕」の内部は、外の陰鬱な嵐とは完全に切り離されていた。
魔導温風機がふんわりと送り出す快適な暖気。ミリーたちが炊いた、心身の緊張を優しく解きほぐすラベンダーとジャスミンの甘いハーブ香。そして、その清潔な空気の中に漂う、極上のデトックスによって女たちの肌から滲み出た、甘く熟しきった汗の匂い。
その隔離天幕の寝台の上で、ヒルデ・フォン・クランツは、全身をシーツに擦り付けながら身悶えしていた。
「う……、あ、あぅ……っ! ル、ルディ様……、ルディ様ぁっ……!」
かつてオルテンシア王国で「黒鉄の百合」と恐れられた苛烈な女指揮官の面影は、今やどこにも存在しなかった。
彼女が身につけているのは、ミリーが用意した極薄の白いシュミーズ一枚だけ。
拘束ベルト(安全帯)は数日前の最初のトリートメントを終えた後、すでに「安全上の理由」から取り外されていた。今の彼女は完全に自由の身であるにもかかわらず、その天幕から逃げ出そうとする気配は微塵もなかった。
いや、逃げ出せるはずがなかったのだ。
数日間にわたり、ルディから施された「魔導安全トリートメント(放電開発)」によって、ヒルデの頑健な肉体は、彼の指先と【微弱放電】の極上マッサージなしでは、一瞬たりとも正常に機能しない「ルディ依存体質」へと、その細胞の隅々まで完全に再構築されてしまっていたのだ。
魔導回路を流れる余剰魔力の疼き。
それは、ルディの絶妙な電撃パルス(低周波刺激)によって強制的に「アース(除圧)」され続けた結果、お仕置きの電気を欲して自律神経が異常に昂り狂う、甘美な禁断症状となっていた。
「身体の中が……熱いの……っ。ルディ様のビリビリがないと、頭の、中まで……融けておかしくなっちゃう……っ! お願い……早く、早く来て、私の強張った筋肉を、あなた様の電気でかき回してぇぇっっ!!」
ヒルデは、汗に濡れそぼった金髪を振り乱し、自身の豊かな双丘を白いシュミーズの上からシーツに押し当てて、快感への飢餓感でビクビクと痙攣していた。
――その時、天幕の入り口の幕が、静かに開いた。
「ち、違うのです……っ。私、もう……、ルディ様の『ホワイトな管理下(お仕置きベッド)』から一歩も出たくないのですわ……っ! 聖女様のために死ぬなんて、そんな冷たくて、痛くて、寂しいブラックな生き方……、もう嫌ぁっ……! お願いです、ルディ様。私の、私のすべてを……あなた様の労働資産にしてください……っ!」
ヒルデは、涙と汗で濡れた顔を振り返り、縋るような、完全に屈服しきった忠犬の瞳でルディを見上げた。
お国のため、聖女様のためという不安全な精神論(ブラック企業の洗脳)は、ルディの与えた「圧倒的な生存の保障」と「全身を直接ハッキングする極限のリラクゼーション(ホワイト待遇)」の前に、塵一つ残さず完全に論破され、粉砕されていた。
「よし。お前の肉体と自律神経起動条件が、我が隊の安全衛生プロセスに完全に帰順したことを確認した。……だが、ヒルデ。トリートメントの前に、提出すべき『ハザード(隠し事)』があるな?」
「は、はい……っ! はい、ルディ様……! 最後の不安全……、お受け取りください……っ!」
ヒルデは震える手で、自らの太ももの内側、極薄のシュミーズの裾に隠されていたガーターの隙間へとそっと指を差し入れた。
そして、万が一捕虜になった際、自決用として肌身離さず隠し持っていたオルテンシア王国の「猛毒カプセル」を、ルディの手のひらへとポロリと差し出した。
「よし。隠しハザードの回収、および隔離完了。これで現場の『整理整頓(完全なる武装解除)』は百%完遂された。――お前のコンプライアンス(服従義務)、合格ヨシだ」
「あぁっ……! ルディ様……っ! ハザードが、出ました……っ、私の不安全(隠しごと)は、もう何もありません……っ! だから、早く……早く極上のお仕置きの電気を……、あなた様の、熱い指先を、奥のツボに、突き当ててくださいまし……っっ!!」
ヒルデは、太ももをピクピクと痙攣させ、極上のデトックスの汗を零しながら狂わんばかりにおねだりした。
だが、その寝台の左右には、すでにルディの深夜シフト招集令(緊急夜間操業)によって呼び出されたテレーゼとエルザが、今か今かと順番を待ってひざまずいていた。
(よし。緊急のハザード対応は完遂した。これより、タスクの滞留を防止し、ホワイトな契約を守るための「三人同時並行稼働(マルチタスク・ハーレム操業)」を開始する)
ルディは邪悪に微笑み、ミリ特製の導電バームをたっぷりと両手に塗り広げた。
そして、四つん這いになって鳴くヒルデの、最も疲労と魔力が凝り固まっている太ももの内側の経絡へと、バチバチと放電する指先を一気に深く突き当てた。
「――ひゃ, ひゃぅぅぅううううううううううううううううううううううううっっっっっっ!?!?!?!?!?!?!?」
接触した瞬間、天幕の空気が真っ白に爆発し、皮膚の表面から青白い放電の稲妻がバチバチと飛び散る。
だが、ルディの「安全管理」は、ここからが真の神業だった。
「エルザ、こっちへ来い。お前の『魔力オーバーヒート(異常排熱)』の第二段階アースプロセスを同時執行する」
「あぁっ、ルディ様……っ! お待ちしておりましたわ……っ!」
ルディは右手の指先による強烈な指圧で、ヒルデのリンパの最奥深くまで低周波パルスを打ち込み、彼女の自律神経を快感で完全に麻痺させながら、空いている左手でエルザの細い腰を引き寄せた。
そのまま、エルザの肩甲骨から背骨のラインを力強く揉みしだき、その火照りきった背中へと、手のひらから【微弱放電】の持続パルスを惜しみなく流し込んでいく。
「あ、はぁぅっっ! ルディ様の電気が……私のなかの余分な熱(魔力)を、優しく、完璧に吸い取って……っ、アース(放電)されていくぅぅっ……!!」
エルザは、背中の炉心を直接ルディの左手でコントロールされる極限のリラクゼーションに白目を剥き、その場で激しく脱力しながら、ルディの首筋に熱い吐息を漏らしてしがみついた。
そして、ルディの視線は残る一人へと向けられる。
「テレーゼ。お前もだ。遊ばせておくライン(労力)など我が現場にはない。――お前の首筋とこめかみに、これよりデータのインポート(指圧アース)を開始する。悶えながら、獲得したロベルト領の財務状況、および機密ガントチャートの進捗を、俺の耳元で正確に復唱しろ」
「ひゃんっ!? は、はい……っ、インプット、開始、よ、よし……ぅっ!」
ルディは、自らの膝をテレーゼの背中に密着させ、空いた指の関節を使って彼女のうなじからこめかみへと、容赦なく、バチバチと放電させながら力強くマッサージを施した。
激しくツボをかき回され、電撃で脳髄を直接ハッキングされる凄まじい快楽。テレーゼは丸眼鏡をガタガタと震わせ、心地よい汗をボトボトと溢れさせながら、それでも必死に知性を維持して喘ぎ声を上げた。
(ヒルデとエルザは現在、俺の電撃パルスによる極限の快感で脳髄が完全にメルトダウンしており、聴覚情報を言語として処理する機能がゼロになっている。機密漏洩のハザードは物理的に遮断されているな。情報セキュリティ、ヨシ!)
「あ、あはぁっ! ロ、ロベルト領の……っ、今年の、冬期……冬期小麦の、税収予測は、金貨……金貨三千枚……っ! う、うあぁっ、だ、ダメ! 頭がビリビリして……! 肖像画の裏の……裏の金庫には、辺境伯への、賄賂の、証拠が……ひゃああああああああっっっっ!!!」
右手では、女傑ヒルデの太ももを完璧な指圧で貫いて「あ、あつ、熱い……っ、私のなかが、あなた様の電気で、全部融かされていくぅぅっ!」と絶叫させ。
左手では、魔術師エルザの背中を揉みながら魔力アースを執行し。
膝と体幹では、文官テレーゼの自律神経をかき回しながら、機密情報の復唱を命じる。
三つの極めて重大な「管理対象ハザード(ヒロイン)」を、四肢をフル稼働させて同時に完璧にコントロールする、まさに人知を超えた「神業のマルチタスク操業(同時メンタルヘルスケア)」。
――ズ、ズザァァァン、バチバチバチバチッッ!!!
その時、激しい豪雨が叩きつける天幕の外、冷たい闇の中でぬかるむ泥を踏みしめながら警備に立っていたハンスたちは、指揮官天幕を見上げて一斉に身を震わせていた。
極薄のリネン地を透かして、天幕の内側からバチバチと激しい青白い放電の閃光が幾度も瞬き、雨音をかき消すような女たちの、この世のものとは思えない狂おしい絶叫と悲鳴が、夜の空気へ絶え間なく響き渡っていたからだ。
「お、おお……っ! おお……っ!」
老騎士ハンスは、その神聖にして凄まじい光景に、胸を激しく締め付けられ、ダウンベストを光らせて泥の中にガシャリと膝を突いた。老いた瞳からは、熱い大涙が止めどなく溢れ、泥水を濡らしていく。
「なんという慈悲……! なんという決死の献身か……っ!
若君は今夜も、自らの尊い御身と精気を限界まで削り、オルテンシアの冷酷な女将や暴走する魔術師たちの中に巣食う「おぞましき呪い(精神ハザード)」を、文字通り命がけで浄化しておられるのだ……!
あのような凄絶な魔導の残響に、一晩中身を晒すなど、常人であれば精神が消し飛ぶはず!
我らも若君の神聖なる除霊儀式(過重労働)の妨げにならぬよう、一歩も通さず、命を賭してお守りするのだ! バウムガルト隊、若君の御身、ヨシ! 周囲の警戒、ヨシ!!」
「「「おおおおおっ!! 若君様のために! 警戒、ヨシ!!!」」」
雨に打たれる五十人のピカピカのホワイト作業員(兵士)たちは、ハンスの熱い大号泣の号令に狂信的な目をギラギラと輝かせ、天幕に向かって厳粛に指差し呼称を叫ぶと、完璧な包囲警戒体制を敷いた。
まさか天幕の内側で、ルディが「タスク渋滞を解消するための最高の三人同時極上マッサージ」にただただ没頭しているだけなどとは、彼らのバグりきった認知の脳内には一ミクロンも浮かび上がっていなかった。
「は、ハァ……、ハァ、ハァ……っ! ルディ様、ルディ様ぁっ!!」
三人の美女が、ルディという絶対的な安全の支配者の腕の中で、同時に電流に貫かれ、互いの肌を密着させながら、狂ったように絶頂の合唱を上げて寝台を激しく揺らし続けた。
ルディの指先から、最大電圧のアース・パルスが一気に注ぎ込まれた瞬間、ヒルデ、テレーゼ、エルザは同時に、究極のリラクゼーションの果てへと叩き落とされた。
「「「いやああああああああああああああああっっっっっっ!!!!!!」」」
天幕の中に、三人のヒロインが同時に白目を剥き、よだれを垂らして全身をビクビクと硬直させる、この世で最も心地よい完全脱力の合唱が響き渡った。
(……いかん。この非対称な荷重と、前傾姿勢での連続指圧稼働は、俺の腰椎に過大なモーメント負荷をかけている。このままでは明日の朝には重度の腰痛(職業性疾病)を発症し、有給ライフどころか歩行困難になってしまうぞ! 労働災害を防ぐためのエルゴノミクス(人間工学)管理を徹底しなければ!)
「よし、第一工程終了! 全員、作業姿勢の偏りを防ぐため、これより『ポジション・ローテーション』を執行する!」
「「「えっ……? ろーてーしょん……?」」」
快感で白目を剥きかけていた三人のヒロインが、蕩けた瞳で首を傾げる中、ルディは容赦なく配置転換を指示した。
「同じ部位への偏った魔導アースは、冷却効率を低下させる。次は、エルザが俺の右手に回れ。ヒルデ、お前は左手に回って太もものデトックスだ。テレーゼは俺の正面に来て首のコリ(魔力)をほぐせ。……速やかに配置を交代しろ!」
「ああっ……! はい、ルディ様! 次は私が、あなた様の偉大なる雷を、右側でたっぷりとお受けするのですね……っ!」
「ひゃぅっ、ルディ様のお指が、私の……っ。現場警備主任として、全神経を集中して受け入れますぅっ!」
三人の美女が、熱い吐息を漏らし、シーツをデトックスの汗で濡らしながら、四つん這いでゾロゾロと自身の新たな「持ち場」へと移動を開始する。
その、あまりにも背徳的な配置転換の最中――。
ルディはベッドの上にすっくと立ち上がり、腰に両手を当てて、極めて真面目な顔で深く腰を落とした。
「イチ、ニ、サン、シ。……よし、腰椎のストレッチ、ヨシ。下半身の血流改善、ヨシ。作業間の適度な屈伸運動(エルゴノミクス対策)は、長時間の深夜操業を無災害で乗り切るための基本だからな」
真夜中の天幕。シュミーズ姿のヒロインたちが火照った身体で配置に付く中で、ただ一人、真顔で屈伸運動(ラジオ体操)を行うルディ。
しかし、そのシュール極まりない光景すらも、完全に脳をハッキングされたヒロインたちの目には「究極の覇王の儀式」として大いなる認知のバグを引き起こす。
「あぁ……っ、テレーゼ様、ヒルデ様、ご覧になられまして……? ルディ様は、私たち三人の果てしない魔力の熱を同時に受け止めるため、あのように神聖な武の舞(屈伸)を行って、御自らの気脈と体幹を整えておられるのですわ……!」
エルザが、ルディの規則正しい屈伸の動きを見つめながら、熱い涙を流して両手を組み合わせた。
「なんて……なんて気高く、理にかなったお姿……っ! ルディ様のあのお優しい気遣い(屈伸)に応えるためにも、私たちは次のローテーションで、もっと、もっと激しくおねだりして、完全に調律され尽くさなければなりませんわ!」
テレーゼも丸眼鏡を曇らせ、太ももをじっとりと汗で濡らしながら熱く頷く。
(これほどの水分の過剰排出は、電解質異常という重大なヘルスハザードを招く)
「テレーゼ、エルザ、ヒルデ! 枕元に用意させた特製ORS(経口補水液)を飲め! 枯渇した水分とミネラルを補給してから、次のアース工程に入るぞ! 給水インターバル、ヨシ!」
「屈伸完了、筋肉の緊張解除ヨシ! ――第二工程(ローテーション稼働)、開始だ!」
「「「はぁぁぁいっっ!!! ルディ様ぁっ、私たちを、新しいポジションで、もっとめちゃくちゃにアースしてくださいぃぃっっ!!!」」」
◇
朝。
雨が小降りになり、温かい朝靄が雑木林を包む中。
ルディは、汗と放電オイルでピカピカに濡れた寝台の上で、完全に快感で骨抜きにされ、幸せそうに寄り添って眠るテレーゼとエルザの頭を優しく撫でた。
そして、その中央で、白目を剥いてぐったりと息を荒らげている「黒鉄の百合」ヒルデへと視線を向けた。
ルディは、彼女の濡れた美しい頬をそっと叩き、優しく、しかし有無を言わさぬ支配的な声で語りかけた。
「ヒルデ。お前の肉体と魔導回路の『調律(無害化)』は完了した。……これより、お前を我が隊の作業員として『正式採用』する。お前の『昼の業務』を言い渡すぞ」
「は、はい……、ルディ、様……」
ヒルデはトロンとした、完全に牙を抜かれた忠犬の瞳でルディを見上げた。
「明日からお前は、このバウムガルト陣地の『資材運搬および現場警備主任』だ。お前を縛っていた、あの重くて通気性の最悪な全身板金鎧は廃止とする。これからは、俺が開発した『防刃ハイブリッドダウンベスト』と、動きやすく通気性の良い『ピカピカの軽い作業着』、そして二重底の『安全靴』を着用して、現場の安全を見回れ」
「か、軽い、作業着……安全靴……。私が、ルディ様の現場を……守る、主任……?」
ヒルデは、その「どこまでも合理的で、自分を兵器としてではなく、一人の貴重な作業員(人間)として手厚く保護してくれる」ホワイトなジョブの提示に、胸が熱くなるのを感じていた。
泥まみれの騎士道などというブラック精神論の何百倍も、この「安全第一」のホワイト待遇のほうが、彼女の魂を救ってくれる。
「……はい, ルディ様。私、明日からそのピカピカの作業着を着て、あなた様の現場を、全力で、安全に守り抜きます……っ!」
「よし。……もちろん、昼の業務が完璧に終われば、毎晩、俺の天幕でたっぷり『残業(放電メンテナンス)』をして、お前の炉心を気持ちよく冷却してやるからな。ヨシだな?」
「あ……、は、はい……っ! 毎晩の『残業』、喜んで……おねだりいたします、ルディ様ぁっ……!」
そう誓うヒルデが、仰向けに寝返りを打った瞬間、ルディはその豊かな太ももから下腹部にかけて、視覚的な「ある劇的な変化」に目を細めた。
「……お前の肉体の『安全設計(アース加工)』も、完璧に完了したようだな」
「あ……っ、これは、一体……?」
ヒルデが自身の白い太ももの内側の柔肌を見つめ、ハッと息を呑んだ。
そこには、数日間に及ぶルディの【微弱放電】とミリー特製のハーブオイルが極限まで浸透・同化した結果、火傷の痕ではなく、まるで薄紅色の雷を象った細い刺青のような、美しい「リヒテンベルク図形(放電の痕)」が、彼女の純白の肌に鮮やかに浮かび上がっていたのだ。
それは、ルディによって肉体の芯までアースされ尽くした、消えることのない「バウムガルトの安全誓約紋(魔力伝導パス)」。
ルディがその薄紅色の雷痕へとそっと指先を滑らせると、それだけでヒルデの豊満な肢体は「ひゃうんっ!」と激しく弓なりに跳ね、心地よい汗を再び滲ませた。触れられるだけで自動的に極上のリラクゼーションへと導かれる、ルディ専用のアース端子の完成された証であった。
昼間は、ピカピカの作業着をまとい、凛々しく、真面目に陣地の安全を見回る「現場警備主任」。
しかし夜になれば、その美しい放電の痕をルディに指先でなぞられ、電気を求めておねだりする「蕩けきった忠犬」――。
かつての敵将ヒルデは、その圧倒的なギャップとホワイト待遇に、身も心も完璧に屈服し、生涯の忠誠を誓ったのである。
――だが、その頃。
ルディたちの隔離天幕から、わずか数十メートルほど離れた、もう一つの贅沢な貴賓天幕の中。
おろしたての清潔なシーツの上に、エリーゼ・ヒルデは、一人で這いつくばっていた。
「あ, あぁ……っ! は、激しい……っ、何なのよ、あの、悍ましいまでの声は……っ!」
エリーゼは、自らの両手で耳を塞ぎながらも、その指の隙間から漏れ聞こえてくる、隣の天幕からの「凄まじい絶頂の合唱」に、全身の血を沸騰させていた。
昨夜から、朝に至るまで――。
隣の天幕の隙間からは、絶え間なく青白い不気味な放電の光が漏れ、冷たい雨の音をかき消すようにして、あの誇り高きオルテンシアの女傑ヒルデが、
「ルディ様のお仕置きの電気、もっと奥までぇっ!」「聖女様よりルディ様が気持ちいいぃぃっ!」
と、恥も外聞もなく、蕩けきった白目を剥いて極上のアースに狂い泣く悲鳴が、一晩中、響き渡り続けていたのだ。
さらにはエルザやテレーゼの、完全にルディに屈服しきった、甘やかな喘ぎ声のハモり。
一晩中、その凄まじい「三人同時並行稼働」の地響きを聞かされていたエリーゼは、恐怖と、凄まじいまでの嫉妬、そして自らの太ももの内側を駆け巡る、得体の知れない「熱い疼き」に、のたうち回っていた。
「お父様は……辺境伯家は、こんな、こんな恐ろしい化け物を、手綱で縛ろうとしていたの……?
あんな、あんなに誇り高かった女騎士や、最強の魔術師が、あの男の指先一つで、あんなにみっともなく、蕩けた忠犬にされて……」
エリーゼは、昨夜ルディに強引にハーブ湯へ入れられ、太ももの内側を微弱な放電で揉みほぐされた(骨抜きにされた)瞬間の、脳髄が痺れるような快感を、まざまざと思い出していた。
「嫌……っ、嫌よ……っ! 私まで、あんな風に、溶かされちゃったら、私……っ」
口では拒絶を叫びながらも、エリーゼの指先は、すでに自らの意思を裏切るようにして、薄い寝間着の裾を握りしめ、自らの熱く疼く太ももを、強引に擦り合わせていた。
「あはぁっ……っ、あつ、熱い……っ、ここが、こんなに、疼いて……っ!」
エリーゼは、自らの太ももをモゾモゾと擦り合わせ、隣から響くルディの「ヨシ!」の咆哮と女たちの絶頂の悲鳴にタイミングを合わせるようにして、何度も、何度も、一人で腰を跳ね上げて「自主的な視覚研修(OJT)」を繰り返していた。
辺境伯の送り込んだ気高きスパイ、エリーゼ。
彼女の自律神経が、ルディの圧倒的な力と放電アース(支配)の前に漏電を起こし、完全にひれ伏す日は、もう、目と鼻の先まで迫っていた。
「あぅ……っ、ルディ様……っ、私、私は……ひゃあああっっ!!」
雨上がりの雑木林の高台に、エリーゼの、一人きりの、しかし強烈にルディの電気を求める悲鳴が、静かに響き渡り、新しい朝を迎えるのだった。
――バウムガルト陣地のハザードマップ:
政治的スパイ・エリーゼ、自律神経の過反応(漏電)開始。寝室アースまでのカウントダウン、残り24時間、ヨシ!!!




