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幕間 彼の地にて 3

 これはヴォルフィーネが旅立つ直前の話。


 入口以外継ぎ目のない立方体の部屋。光源は見当たらないが、不思議と明るい空間の中央には青く光る転送陣。ダークエルフの里、出立の間と呼ばれるそこで、旅立つ娘に族長ヴィーナ=ストラトスは声をかけた。


「フィーネ。あなたが冒険者になって望む景色が見られることを願っているわ。…それとは別に、外の世界に行ったらやってほしい事があるの」

「それはなあに?母様」


 小首をかしげるヴォルフィーネを愛おしく思いながら、彼女は告げる。


「男を捕まえてきてほしいの」

「おとこを、つかまえる」


 真面目な顔になった娘に、彼女は手を振って言い直す。


「ああ、さらって来いって訳じゃないの。あなたの旦那様を見つけてきてほしい、ということよ。私とあの人みたいな、ね」

「母様と父様みたいな…」


 ヴォルフィーネは少しの間目線を下げて思案する。そして顔を上げると、母親と目を合わせて言った。


「分かった。私、おとこをつかまえてくる」


 つかみどころがない時もあるが、素直で真面目な、愛しい子。ヴィーナは娘の頭をなでながら微笑む。


「絶対ってわけじゃないの。フィーネが、これは!って思った相手なら誰でも構わないわ。もちろん出会わなかったとしたら、それでもいい」


 何より、と一息つくと、


「あなたがやりたい事をやって、無事に帰ってくること。それが一番なのだから」


 そこまで言うと、ふっと力を抜き笑みを浮かべる。


「まあ、道中の事は心配していないわ。フィーネは私よりも強いのだから。じゃあ気をつけて。行ってらっしゃい」

「うん。いってきます、母様。」


 そう言うと母娘は抱き合い、ヴォルフィーネは旅立った。

 まさか里を出て早々森で行き倒れになろうとは、この時の二人には知る由もないのであった。





タイトルに 幕間 とつけるのを忘れていたため修正しております。

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