番外編 報告
「…以上が、今回あった事だ」
ギルドマスターの部屋、ユルグが事の顛末を説明していた。話を聞き終えたゴルドーはあごに手をあて、「それだけフィーネが大切になった、ってことかねえ…」とつぶやいた。
ユルグが首をひねるのを見て「何でもねえ」と言った後、ゴルドーは労いの言葉を口にする。
「ありがとよ、先輩。おかげで大事になる前に解決出来たぜ」
「…、…それだけか?」
「それだけっつーと…?…ああ、報酬はもちろん」
「そうじゃない」
ユルグの深刻な顔つきを見て、ゴルドーは彼が続きを話し出すのを待った。
「…俺は、魔物用の毒を、人に使った。ギルド職員として、許されることではない」
「…だから処罰が必要、ってか?」
うなずいた彼に、ゴルドーはため息一つ。
「なあユルグ。俺達ギルドの者が武器を扱う際、気をつけなきゃならんことは?」
「…?人々を巻き込まぬよう、慎重であること」
その答えに首を縦に振ると、大男は話を続ける。
「じゃあ、俺たちが敵と戦う際、気をつけなきゃならんことは何だ?」
「…素早く敵を無力化し、周囲に危険が及ばぬようにすること」
応とも、とゴルドーは笑う。
「事が起こったその日に迅速に敵を拘束、さらわれそうになっていた2名は無事。周囲に被害もなく目的を達成。奴らの治療も完璧。ギルドから咎めるようなことは、何もねーよ」
「だが…」
彼の表情が晴れないのを見、「先輩は真面目だからなぁ」と苦笑するゴルドー。
「奴さん、ある程度は毒に耐性があったんだそうな。それに魔物よりもよっぽど強え。なら、先輩が奴さんのことを魔物扱いしても構わんだろ」
おどけた彼の言葉に、ユルグはようやく、
「その理屈はどうかと思うが…あと、先輩はやめてくれ」
そう言って笑ったのだった。




