表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドのお手伝いさん  作者: にわそーじ
第三章 帝都への旅立ち
31/39

幕間 帝都にて

 肥沃な草原と、豊富な鉱物を産出する鉱山を領土に有する帝国ガラルザンド。その帝都アルガミスの宮殿の一室で、陶器の割れる音がひびいた。


「また毒かしら」


 うんざりしたように言うと、美しい狐の獣人ビーストは倒れた下男に近づき手をかざした。温かみのある緑色の光が男を包み、苦しんでいた男の表情が落ち着いていく。


「…ありがとうございます、エラリア様」

「どういたしまして。あなたも毎回大変ね」

「仕事ですから」


 そう言って、男は割れた陶器の破片などを掃除して退室した。様子を見ていた部屋の主が、憤慨して口を開く。


「全く、いつもいつも…!食べ物を何だと思っているのかしら!」

「最初に怒るところがそこなの?」


 狐の獣人エラリアは、苦笑しながら部屋の主の方を向く。整った顔立ち、その眉間にしわを寄せて、猫の獣人が唸っている。エラリアは肩をすくめて息をはいた。


「セルテ。言っては何だけど、身を隠すことも考えた方がいいわ。皇帝に相談しましょう」

「相手のしっぽも見えてないのに、あの人に言うなんて恥ずかしくて出来ないわ!全くアイツ、外面と隠すのだけは上手いんだから…!」


 セルテと呼ばれた猫の獣人は歯ぎしりをして悔しがる。そして、「問答無用で首をはねてやろうかしら…」と物騒なことをつぶやきだした。


「皇帝の妃たる者、軽々しくそんな風に言わないの」

「分かってる。だから、皆の前では我慢してるじゃない」


 むくれるセルテを見て、仕方ないといった風の笑みでなだめるエラリア。

 しばしの後、やや落ち着いた様子で、


「確かに、あの子は避難させた方がいいかもね…。実家にかくまってもらおうか」


 とセルテは口にする。エラリアはそれにうなずきつつ、自らの意見を言う。


「神殿長様に協力してもらうのが確実だと思うわよ。私としては、貴方にも一緒に行ってほしいのだけど?」

「…やっぱり実家でいいんじゃないかな。ゼーウ様のお手をわずらわせるのは、気が引けるし。それに私は大丈夫よ。元Aランク冒険者、簡単にやられたりなんてしないわ!」


 自信に満ちた様子の幼馴染をジト目で見つめるエラリア。政治での立ち回りに、冒険者の等級はほとんど役に立たない。しかし、この子は一度言い出したら聞かないから、と彼女はため息をついた。


「それじゃあ、ゼノをノースビレッジにかくまってもらうよう手配するわ。問題は、道中を誰に頼むかだけど…」

「あら、そこはエラリアに任せるわよ」


 セルテは信頼のこもった笑みを向ける。貴方を一人にする方が心配なのだけれど…、とエラリアは再び嘆息。


「…分かったわ。でも、私が戻ってくるまで無理をせず、大人しくしていること。いいわね?」

「もう。私、子供じゃないのよ?大丈夫だって!」


 胸を張る幼馴染に、一抹どころではない不安を感じながら、狐の獣人エラリアは目的を果たすため、自治区エルトナへと向かうのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ