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幕間 彼の地にて 4
ダークエルフの里、族長の部屋。宇宙船の艦長室のような場所で、部屋の主は来客にお茶を用意しながら口を開いた。
「めずらしいですね。姉さんがこちらへ来るのは」
「どうもアイツらが、また動いてるみたいでね」
ため息交じりのその言葉に、族長の手が止まる。
「生き残りがいた、ということですか?」
「どうかな。でも、一人見かけたら30人はいると思えって感じだよね。しつこさはゴキブリ並みだよ本当」
うんざりしたような姉の様子を見て、しかし族長は首をかしげた。
「ゴキブリ、とは?」
「ああ、ごめん。昔々の、異常なまでに生存能力の高い虫の名前でね。食料を駄目にしたり、不潔の象徴みたいなものだったから、皆から嫌がられてね。名前を言うのも嫌だ、なんて人もいたものさ」
はあ…。と、きょとんとする妹を愛しく思いつつ、来客であるフォレスティアナの神殿長ゼーウは居住まいを正した。
「帝都での調査を、君たちに頼みたい」
「調査、ですか?始末ではなく?」
物騒な妹の言葉に彼女は苦笑する。「気持ちは分かるがね」と肩をすくめ、話を続ける。
「それは最後の手段かな。人の問題は人が解決した方が、向こうも納得するからね。ボクらは必要な情報を、必要な時に渡せるようにする。そのための準備をしておきたいんだよ」
そう言って、彼女は微笑むのだった。




